低燃費かつ安全装備は高水準 大キャビン仕様は使用感が◎

軽トラといえば農家の方の必需品だが、最近はそうした方々の仕事兼用だけでなく、あえてプライベートカーとして「軽トラ」を使う人が増えているという。

エクステリア

撮影車両の「スーパーキャリイ」は標準車とキャビンの形状が異なる。室内に荷物が置けるスペースを確保することを目的とし、キャビンを後方に広げているのだ。その分リクライニングも可能。最小回転半径は3.6m。

なるほど1〜2名乗車で高速道も基本的に使わないなら、これほど気兼ねなく便利なシティコミューターもない。空荷なら走りも活発。超絶に小回りが利くし、見切りが最高なので、どんな場所でもぎりぎりまで寄せられる。そしてイザとなれば引っ越しまでできる。そんなニーズを見越してか、最近の軽トラはボディカラーも豊富だ。

インストルメントパネル

収納スペースが多いだけでなくダッシュボードに埋め込むようにナビを装着できるなど実用性が高い。カーナビスペースの上には「ひさし」があり、画面に直射日光が当たって見えにくくなるのを抑えているのも親切だ。

そんな軽トラ市場は現在、このキャリイとダイハツ・ハイゼットによる完全一騎打ち状態。他社も軽トラを販売するが、すべてがどちらかのOEM商品だ。新しさでいうと、2021年末に新開発CVTを搭載するなどの大幅改良を受けたハイゼットに分があるが、フルモデルチェンジの時期はハイゼットが14年、キャリイが13年なので、基本設計的な部分には大差ない。

居住性

全長の中で最大限の荷台の長さを求めたトラックならではの設計で、運転姿勢は独特。着座位置に対して低いハンドルやブレーキペダルが右寄りな足元など運転には慣れが必要だ。

キャリイも22年に全車4速AT化や安全機能の強化で対抗。静粛性はハイゼット優勢だが、予防安全機能では引けを取らず、燃費はキャリイの方が良い。

うれしい装備

ハイルーフによる高い天井のデッドスペースを有効活用。頭上にある棚状の収納部は広さもあって実用的だ。
キャビン後方の下部が洞窟のように抉られ、荷台の一部として活用できる。脚立など長尺物の積載に役立つ。
月間販売台数   4625台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表     13年18(一部改良22年4月)
WLTCモード燃費  18.2km/l ※「KX」、「KC」系の5速MT車

ラゲッジルーム

乗用ユーザーにお薦めなのは大きい「スーパーキャリイ」だ。このようなキャビン拡大モデルはダイハツのハイゼットジャンボが元祖なのだが、さすがは後発らしくシートスライド幅や背後の荷物置き場などはキャリイの方が優秀だ。軽トラの覇権争いに終わりはない?

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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