Lamborghini Temerario GT3

大成功を収めたウラカン GT3の後継モデル

「ランボルギーニ テメラリオ GT3」のエクステリア。
世界中で200台以上が販売され、様々なシリーズで活躍したウラカン GT3の後継モデルとして、テメラリオの開発初期段階から、GT3仕様の導入が決定されていた。

ランボルギーニのモータースポーツ部門「スクアドラ・コルセ」は、2024年に発表されたウラカンの後継モデル「テメラリオ」をベースに、カスタマー向けレーシングカー「テメラリオ GT3」を開発。現在、世界中のGTシリーズで活躍するウラカン GT3 エボ2に替わり、2026年シーズンから実戦に投入される。

GT3規程に則り、高負荷のレースに耐え、メンテナンス性を満たすよう改良されたアルミニウム製スペースフレームシャシーを採用。ベースモデルからハイブリッドパワートレインが取り外された4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、レース条件下におけるピークパフォーマンスを発揮するべく、過給システムに再設計が加えられたターボチャージャーが導入されている。

開発は2026年シーズン中に完了し、その後、世界中のカスタマーに向けて販売が開始される。初実戦は、2026年3月に開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のセブリング12時間レースを予定している。ランボルギーニはテレメリオ GT3の移行期間中もウラカン GT3でレースを続けるすべてのカスタマーチームに対し、技術サポートを提供し続けることを約束している。

アウトモビリ・ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマン会長兼CEOは、テメラリオ GT3の発表を受けて次のようにコメントした。

「テメラリオ GT3 は、テメラリオ・プロジェクトとしては最初のモータースポーツ用モデルとして開発されました。これはランボルギーニが、今後もモータースポーツをブランドプロモーションの重要なツールとして活用していくことを示していると言えるでしょう」

「ウラカン GT3プロジェクトはスポーツ面と商業面で大成功を収めました。世界各地で96勝を挙げ、さらに200台を超える販売実績を記録したのです。これを受けて、私たちはテメラリオの開発初期段階から、レース派生モデルの展開を構想してきました。テメラリオ GT3は、公道仕様のテメラリオがそうであったように、ライバルのベンチマークになると確信しています」

モーターレスの4.0リッターV8ツインターボ搭載

「ランボルギーニ テメラリオ GT3」のエクステリア。
パワートレインは、GT3規程によりハイブリッドシステムが搭載できず、ターボとコンプレッサーに改良を加えた4.0リッターV型8気筒ツインターボを搭載する。

アルミニウム製スペースフレームシャシーは、テメラリオの生産ラインから導入され、軽量化と装備の簡素化を徹底。特にフレームは、ピット作業時の前後サブフレームの迅速な取り外しと再取り付けを可能にするため、簡素化が図られた。取り外し可能なリヤのサブフレームは、スクアドラ・コルセがが専用開発し、エンジンと新しいトランスミッションのコンポーネントがここに収められる。

市販仕様ではハイブリッドコンポーネントを支えていたブラケット類は、レース仕様ではハイブリッドが使用できないため、全て撤去された。アルミニウムフレームのセンター部には、FIA GT3安全規程に準拠したロールケージが結合される。フロントサブフレームも変更され、テメラリオ最大の特徴である電気モーターが取り除かれた。

ランボルギーニが独自開発した、生産車由来の4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンをリヤミッドに搭載。ターボチャージャーとコンプレッサーユニットはテメラリオ GT3のために新規開発された。BoP(性能調整)により変更されるもの、最高出力はハイブリッドシステムを搭載する公道仕様の800PSから、550PSに引き下げられている。

レース中の整備性が大幅に向上

「ランボルギーニ テメラリオ GT3」の走行シーン。
シャシーやボディコンポーネントの開発には、レースの準備期間や実戦中の整備性が重視された。

ボディワークは、軽量化を徹底するため、カーボン複合材を積極的に導入。このボディワークは、スクアドラ・コルセのエアロダイナミクスチームと、ランボルギーニのデザイン部門であるチェントロスティーレが共同開発を行った。市販仕様が持つ特徴的なデザインを維持しつつ、新しいエンジンとブレーキ冷却システムの要件に適合。さらに、ダウンフォースとドラッグの最適なエアロダイナミクスバランスを実現している。

ボディワークはレースウイークの迅速な分解と組み立てを可能にするよう設計され、レース中はアクシデントに遭遇した際の修理時間を大幅に短縮した。ボディワークの前後コンポーネントが単一のパーツで構成されており、リヤディフューザー、エンジンカバー、ボンネットも簡単に取り外すことが可能。ヘッドライトにクイックコネクタシステムが採用され、こちらも迅速に取り外すことができる。

給油システムが刷新され、タンクへの燃料流量が向上。また、燃料タンクのデザインも変更され、正確に燃料残量を計測できる、最新の燃料センサーの使用が可能になった。エアロダイナミクスが最適化されたことで、ブレーキ時の安定性が向上し、コーナリング時のバランスがアップデート。フロントラジエーターのデザインも改良され、ラジエーターへのエアフローも改善されている。

コクピットのレイアウトは、ランボルギーニのワークスドライバーを務めるマルコ・マペッリとアンドレア・カルダレッリの協力のもと開発。彼らがもたらしたフィードバックは、高性能走行時のエルゴノミクス、コントロールレイアウト、操作系の最適化に不可欠な役割を果たしたという。コクピット内の電子機器も最新仕様に更新され、ステアリングホイールは、ワークスドライバーとカスタマードライバーからのフィードバックを反映した専用設計が導入されている。

「ランボルギーニ テメラリオ GT3」を動画でチェック!

6月28日から29日にかけて開催されたスパ24時間レースにおいて、「ランボルギーニ ウラカン GT3 エボ2」63号車が総合優勝を飾った。

「テメラリオGT3初披露直前なのに」ランボルギーニ ウラカンGT3エボ2がスパ24時間を制覇【動画】

6月28日から29日にかけて、IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第3戦/GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第5戦「スパ24時間レース』が開催され、GRTグラッサー・レーシングから参戦した「ランボルギーニ ウラカン GT3 エボ2」の63号車(ミルコ・ボルトロッティ、ジョーダン・ペッパー、ルカ・エングストラー)が勝利を飾った。伝統のスパ24時間をランボルギーニが制するのは、今回が初となる。