Audi A6 e-tron
Q6に続きPPEを採用



アウディ ジャパンは、新世代フル電動モデル「A6 e-tron」を日本初披露、同日より全国のアウディ正規ディーラーで販売を開始した。A6初のフル電動モデルで、日本においてもアウディのEV戦略を象徴する存在となる。アウディは近年推し進めていた電動化計画において、奇数モデルを内燃機関車(ICE)、偶数モデルをフル電動車(BEV)と位置付けていたが、今年に入ってそれを撤回。欧州ではすでに内燃機関を搭載するA6のMHEV車がラインナップされている。
4月に日本導入したばかりの「Q6 e-tron」に続いて、ポルシェと共同開発されたEV専用アーキテクチャー「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」を採用。ボディ形状は2種類で、ベーシックなRWD(最高出力280kW〈381PS、ローンチコントロール時〉、最大トルク565Nm)の5ドアハッチバック「A6 スポーツバック e-tron」と、同じくRWDステーションワゴンの「A6 アバント e-tron」が用意される。さらにそれぞれのボディに高性能仕様AWDモデル(最高出力405kW〈551PS、ローンチコントロール時〉、最大トルク580Nm)「S6 e-tron」がラインナップされ、4グレード展開となる。
最大846kmに達する航続距離



特筆すべきはその航続距離で、もっとも標準的なモデルの「A6 スポーツバックe-tronパフォーマンス」でレンジプラスパッケージ(エアサス、バーチャルエクステリアミラーなど)を選択すると最大846km(WLTP)に達するという。これは全モデルに搭載される総電力量100kWhのリチウムイオンバッテリーも貢献するが、全長5mのミドサイズサルーンとしては優秀な電力消費率127Wh/km(7.8km/kWh)という数値の賜物でもある。ちなみにラインナップ中、最もベーシックなA6 スポーツバック e-tronパフォーマンスの通常航続距離は769km(WLTP)、同アバントでも734kmを実現している。一方、前後2基のモーターで4輪を駆動するクワトロシステムを搭載する「S6 e-tron」の航続距離は、スポーツバックが726km、アバントが706kmとなっている。
最大135kWの急速充電に対応。わずか10分間の充電で最大310kmの走行距離を確保でき、10〜80%の充電は約35分で完了すると謳う。さらに、強力な最大220kWという回生ブレーキ機能も備えており、ブレーキ使用時の約95%を回生ブレーキでカバーするという。
徹底的に煮詰められた空力




新型A6 e-tronのエクステリアデザインは、Cd値0.21(アバント=0.24)というスペックからも分かるように、空力を徹底的に煮詰めつつも、エレガンスとスポーティさを融合させている。空力性能はもちろん航続距離に寄与する。スポーツバックのボディサイズは全長4930mm、全幅1925mm、全高1470mm(エアサス仕様、アバント=1510mm)、ホイールベース2950mmとなっている。
ワイドで滑らかなフロントフェイスには、e-tronファミリーのアイデンティティを象徴するシングルフレームグリルを採用。デイタイムランニングライトと幅広グリルが先進性を主張すると謳う。アバントは傾斜の強いDピラーとフラットなルーフラインにより、ワゴンでありながらスポーティな佇まいを実現。一方でアバントの荷室容量は502〜1422L(スポーツバック=502〜1330L)、27Lのフランク(フロントトランク)も装備され、実用性も疎かにしていない。
インテリアは、11.9インチのバーチャルコクピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイを組み合わせた「MMIパノラマディスプレイ」を採用。他にも視線移動を最小限に抑えるARヘッドアップディスプレイや助手席前方に10.9インチのパッセンジャーディスプレイ(いずれもオプション)が装備できる。
BEVの技術革新が進む中で、航続距離はひとつの指標となっている。プレミアムEセグメントにおけるラグジュアリーBEVとして、抜群の数値を示したA6 e-tronは電動グランドツアラーの新基準を打ち立てたかもしれない。
車両本体価格(税込)
A6 Sportback e-tron performance 981万円
S6 Sportback e-tron 1440万円
A6 Avant e-tron performance 1012万円
S6 Avant e-tron 1471万円

