全国のライダーが未支援地域に集結、珠洲市仁江町で復興支援活動

一般社団法人日本ライダーズフォーラム(JRF)が主催する「にっぽん応援ツーリング」が、7月5日石川県珠洲市仁江町にて復興ボランティア活動を行った。能登半島地震の爪痕が色濃く残る同地は、国道の復旧が遅れ支援が届きにくかった地域。全国各地から集まった11名のライダーたちは、自らのバイクで被災地に入り込み、生活再建に向けて汗を流した。彼らが掲げるスローガンは「走る喜びを社会の喜びへ」。単なるバイクツーリングではなく、社会貢献を伴うツーリングとして活動を続けるその姿勢は、バイク文化の新たな価値を示している。
泥に埋もれた家財を搬出、ライダーならではの機動力とチームワーク

今回ライダーたちが作業を行ったのは、昨年9月の豪雨による土砂崩れで甚大な被害を受けた個人宅。家屋に大きな損壊はなかったが、1階部分は乾いた泥に埋もれ、家財の搬出が困難な状態だった。参加ライダーたちは、泥にまみれた家具や家財を一つ一つ丁寧に運び出し、分別しながら軽トラックで災害ゴミ集積場まで何度も往復。チームワーク抜群の作業により、当初数日かかると見込まれた作業をわずか1日で完了させた。バイクで鍛えた行動力と連携は、こうした現場でも遺憾なく発揮されている。
被災地の住民と弁当を囲み、サザエでもてなし受ける温かな交流

昼の休憩時間には仁江集会所で弁当を広げ、集まった地元住民と交流を深めた。被災地の現状や住民の思いを直接聞くことで、参加ライダーたちは活動の意義をより強く実感。作業の終盤には、家主のMさんから目の前の海で獲れたサザエがふるまわれた。新鮮なサザエを口にした参加者からは「こんなに美味しいサザエは初めて」と感嘆の声があがり、Mさんは「家が再建できたらぜひまた来てバーベキューを」と笑顔で語った。バイクがきっかけで結ばれた絆が、地域に小さな希望を灯した瞬間でもある。
「走る喜びを社会の喜びへ」 にっぽん応援ツーリングは続く

この活動は単なる一過性のボランティアではない。JRFの代表・風間深志は2011年、東北の全被災地をバイクで走り、災害支援の手が届きにくい地域へも自ら赴いた。それを起点に、2015年から2019年にはMFJ主催の「走ろう東北!MFJ東北復興応援ツーリング」に発展。2020年からは再びJRF主催で「にっぽん応援ツーリング」として受け継がれ、今年は4月26日から11月2日まで全国を舞台に開催されている。今回の能登での活動は、その象徴的な取り組みだ。バイクの機動力、行動力、そしてライダー同士の強い絆があるからこそ、困難な現場にも果敢に踏み込める。にっぽん応援ツーリングは、これからも「走る喜び」を「社会の喜び」に変えるために走り続ける。バイクに乗る者だからこそできる社会貢献、その価値が今、確かに広がっている。