植物由来素材の艶感で魅了 親しみある外装意匠に大改良

ついつい「デミオ」と呼んでしまったりするマツダ2。それもそのはず、1996年8月から19年7月までの23年間、日本ではデミオと呼ばれていたのだ。マツダ2と呼称変更してから、まだたったの4年間である。ちなみに四世代目となる現行モデルは、2014年に登場。改良を繰り返しつつ、23年1月にもまた、大幅商品改良が行なわれた。

エクステリア

2023年1月の大幅改良ではデザインをリフレッシュ。前後バンパーやフロントグリルの形状が変わり、これまでのプレミアム路線からカジュアル路線へスイッチした印象を受ける。最小回転半径は4.7m。

今回の改良の目玉は、198通りも用意されたカラーコーディネーションである。ホイールキャップ、インパネ、ルーフフィルム、ドアミラーetc。パーツ類を自由にコーディネートすることで、自分だけの一台がつくり出せるという寸法だ。ボディカラーとのコーディネートが限定されている場合もあるので、すべて自由にとはいかないが、198通りもあればほぼ思いどおりのチョイスが可能だと思う。しかし、さすがにこれだけ選べるとなると、迷い過ぎてなかなか決まらないという方も多いであろうということで、お手本となるコーディネートも提示されているので、そういうのは苦手という方もひと安心だ。

乗降性

このさまざまなチョイスができるパーツ類は、樹脂パーツが多いのだが、この樹脂パーツの多くに、バイオエンジニアリングプラスチック(バイオエンプラ)が使われている。樹脂パーツといえば、これまで石油系由来の乳白色の樹脂素材を成型し、塗装を施したものが使われており、例えばピアノブラックに代表される艶ありのパーツも、実は塗装で表現されていた。このバイオエンプラは、植物由来の樹脂で色も無色透明のため、材料を溶かした際に色を混ぜこみ、色付けされた樹脂を金型に流しこむという手法が取られている。

インストルメントパネル

2014年に「デミオ」として登場した際に「クラスを超えた」と驚いたのが上質感のつくり込み。それは今でも健在だ。大径のアナログタコメーターを中心に添えたメーターはスポーティな印象。現行車のナビ画面は8インチだ。

塗装せずに同様か、それ以上の艶感が実現できるのは、この金型の方を鏡と同じくらいのレベルのものに、ツルツルピカピカに磨き上げているからとのこと。型を磨き上げることで、普通に成型しただけで、ピアノブラックのような表現までできるというから、お見事のひと言だ。この塗装という工程が省けるバイオエンプラは、トータルコストで見れば費用を抑えることができ、環境への負荷も少なくなる。また、細かな表現もできるということで、もはやメリットしかない。

居住性

さて、今回の大幅改良は、このようにデザイン性の向上に力が入れられているが、それには理由がある。これまでのマツダ2は、身近なコンパクトカーというよりも、きちんと走れるクルマというイメージ、つまりマニッシュな面が強く伝わっていたらしいのだ。マツダというと「人馬一体」というキーワードが頭に浮かぶため、走りがスゴイ=私には無理、と思われることが多かったらしく、特にマツダ2のようなコンパクトカーは、親しみをもって手元に置いて、毎日乗って楽しく過ごして欲しい。つまり、まずは乗ってみてもらいたいという思いが強かったらしい。

うれしい装備

「BD」系と「Sunlit Citrus」のフロントドアにはスーパーUVカットガラスを採用。紫外線を約99%カットし、日焼けを防いでくれる。フロントウインドウも含め、肌に当たると暑さの原因となる赤外線もカットしてくれる。
月間販売台数    683台(22年11月〜23年4月平均値)
現行型発表     19年7月(大幅改良23年1月)
WLTCモード燃費    25.2km/l ※「XD SPORT+」のFF/6速MT車

ラゲッジルーム

走りにこだわるからこそ、きちんと操れる性能をもっているのは確かだが、それは誰もがフレンドリーに操れるということ。お気に入りのカラーコーディネーションで、身近なアイテムとして楽しんでほしい。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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