新世代の1.0ℓエンジン 力強い加速やボディ剛性も◎

かつて「コンパクトカーのメートル原器」と呼ばれたのは、フォルクスワーゲン・ゴルフだが、世代を重ねるごとにボディサイズが大きくなり、装備も豪華になって上級移行してしまった。代わってそのポジションを担うのがポロである。特に2018年にフルモデルチェンジした現行モデルは、プラットフォームにMQBを使用。上級移行したゴルフと同じフィジカルをベースに仕立てられており、それだけで基本性能が高いというわけだ。

エクステリア

エントリーグレードはスチールホイール+キャップの足元だが、グレードが上がるにつれ、15インチ、16インチ、17 インチのアルミイールとなるのは識別点のひとつ。最小回転半径は5.1m。

Bセグメントのハッチバック車というと、国産車なら5ナンバーサイズが当たり前だが、ポロは全幅が1750㎜あるため3ナンバー。全長も国産同クラス最長のマツダ2より20㎜長い4085㎜ある。とはいえ最小回転半径は5.1mと国産車同等なので、乗ってしまえば大きさは感じないと思う。グレード展開は標準車系4種類+スペシャルモデル「GTI」の合計5種類。標準車系は全グレードが1..0ℓ直列3気筒ターボ、「GTI」は2.0ℓ直列4気筒ターボを搭載。標準車系は最高出力95㎰/最大トルク175Nmと1.8ℓ自然吸気エンジン並みのパフォーマンスを発揮。「GTI」は最高出力207㎰/最大トルク320Nmに達するハイパワーが持ち味だ。

乗降性

標準車系は22年6月のマイナーチェンジでエボ仕様にアップデートされている。吸気弁遅閉じのミラーサイクルと、ガソリンエンジンではまだ少数派のバリアブルジオメトリーターボを組み合わせ、燃費の改善とターボラグの縮小を図ったものだ。内外装や装備類も大幅なアップデートを実施。例えば「スタイル」以上のヘッドランプはハイビーム用のLEDを格子状に並べ、対向車や先行車のいる部分だけを減光する〝IQ.LIGHT〞を標準装備。テールランプも兄貴分ゴルフを思わせる大きな仕様に変更されている。

インストルメントパネル

全体的にはオーソドックスなデザインのインパネだが、10.25インチディスプレイを使ったデジタルメーターはコンパクトカーとしては贅沢かつ最新トレンドといえる。運転席からの視界は広いが、ノーズ位置を把握するのは難しい印象だ。

内装ではアナログ式だったメーターパネルをフルデジタルに換装。エントリーグレード以外には、純正ナビの画面をメーターパネルにも表示できる〝デジタルコクピットプロ〞が標準装備される。スマホのワイヤレス充電器も全グレードに標準装備されるなど、装備面でもゴルフに遜色はなくなっている。

居住性

1.0ℓエンジンの動力性能は、普通のアクセルワークをしている分には〝必要十分〞にしか感じられない。これはおそらく、燃費を優先したシフトスケジュールやスロットル応答にしていることと、早閉じミラーなので吸気の応答が微妙に遅れるためだ。アクセルペダルを深めに踏めば、DCTが素早くダウンシフトして、力強い加速を提供してくれる。

うれしい装備

パンク修理キットを標準装備するが、フロア下にはスペアタイヤを収めるスペースがありアンダートランク的に活用できる。三角表示板がテールゲート内側に格納できる空間の有効利用もうれしい。
月間販売台数   447台(22年11月〜23年4月平均値)
現行型発表    18年3月(マイナーチェンジ 22年6月/「GTI」追加 22年11月
WLTCモード燃費  17.1km/l ※「TSI 」系

ラゲッジルーム

乗り味はドイツ車らしく、ガッシリとしたボディ剛性が好印象。スポーツサスを装備する「R-ライン」の硬めの脚も、不快感なくしっかり受け止める。ただし街乗りを重視するなら、65タイヤを装着する「アクティブ」がベスト。55タイヤを装着する「スタイル」は、街乗りからワインディングまでオールラウンドプレイヤーだ。「R-ライン」は脚が勝ち気味なので、レスポンスとパワーに不満を覚えるかもしれない。とはいえ「GTI」は、一般ユーザーには〝やり過ぎ感〞がある。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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