ステップアップチューンで乗り味と速さの変化を楽しむ!
ストリートとサーキットの両立を図る高バランス仕様!
購入直後にフルノーマルで走らせた鈴鹿2分40秒台から、物足りなく感じた部分のチューニングを少しずつ進めていき、今回はスーパーチャージャー装着の330ps仕様で2分31秒台へタイムアップを果たしたオーナー、戸田さんのZN8。日常の使い勝手が犠牲にならない快適性と耐久性を大前提に、まずは2分30秒切りを目標に掲げるストリートチューンドだ。

「若い頃にカートを走らせていましたが、市販車でのスポーツ走行は全くの未経験。会社の同僚に誘われて借り物のロードスターで袖ヶ浦フォレストレースウェイを走ってみたら楽しかったので、ボディサイズや走りのバランスが良さそうと感じたGR86を購入しました」。
戸田さんはブランクこそあるものの、現役時代には現在スーパーGT500クラスを戦うレーシングドライバーの関口雄飛選手と全日本カート選手権でシリーズチャンプを争っていたほどの腕前を持っている。

ただ、カートと市販車では動きが別物。パッド交換のみでは連続周回で制動力に不安が生じたブレーキをキャリパーキットに変えたり、NAでは物足りなく感じたパワーを過給機チューンで底上げしたりと、着実なステップアップでGR86のパフォーマンスを高めているのだが、当の本人はカートで感じることのなかったコーナリング時のロールにジレンマを抱えているようだ。
「走り込みを重ねて少しずつ慣れてはきましたが、S字のような振り返しでロールが大きくなるとカート時代の感覚が邪魔して思うように攻め切れない。高速領域を安定させるためのGTウイングや足回りの引き締めも考えるのですけど、速さを求めてストリート仕様から離れてしまうことは避けたいので悩みどころですね。今は鈴鹿2分30秒切りという目標をどのように達成するのか、チューニングによって変わる乗り味や速さ、そしてドライビングの試行錯誤も含めて楽しんでいます」。


マシンメイクを担当しているのは名門“カンサイサービス”。現在は330ps仕様だが、エキマニの投入やリストリクターの取り外しで簡単にモアパワーが引き出せる状態。エンジンの制御はECU-TEKで行なっている。

パワーだけを求めるのではなく、安心して連続周回が重ねられるようにオイルクーラーを投入。また、HKSレーシングプロ(0W-40)といった油脂類チョイスにも拘った。

ボリュームのあるGRリヤバンパーに、左右W出しの柿本レーシング・クラスKRをチョイス。カンサイサービスのECUTEKで制御しているが、冷間始動時での音量を抑制したマネージメントが図られている。

シート表皮がウルトラスエード×本革となるRZグレードとのバランスを重視し、エディルブ172をブラックの6点式ハーネスとともにインストール。キルティングレザーやレッドステッチの高級感は抜群だ。

当初はインテリアカスタムに興味はなかったが、ステップアップチューンで変化する愛車に合わせて高級感あるスポーティさが楽しめるカーボンパーツも投入。エクステリアと同じく、濃色で巧みに見映えを引き締めている。

「GR86を購入する前はSUVに乗っていましたけど、やっぱりスポーツカーは良いですね。カンサイサービスでチューニング内容を話し合って、その効果をサーキット走行会で体感するのは最高に楽しいです。鈴鹿2分30秒切りを目指して、進化させていきます」。
LSDやエキマニなどは手つかずで、マシンの伸び代は十二分に残されている。最大の悩みであるカートの乗り味とのギャップが解消されれば、トータルバランスに優れたパッケージングと一線級のドラテクを武器に、さらなる速さを見せつけてくれるに違いない。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
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カンサイサービス
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