EVで蘇った〝現代版ワーゲンバス〟ID.Buzz(アイディーバズ)は最長554km走行可能

 フォルクスワーゲン(VW)には、ビートル(タイプ1)、ワーゲンバス(タイプ2)という名車があり、前者はザ・ビートルの車名で2011年に蘇った。現代に復活した後者は、日本唯一のEVミニバンで、ID.Buzz(アイディーバズ)と名乗る。「ID」は、VWのEVに与えられるシリーズ名で、「バス」ではなく、「バズ」なのは、バズることを願って命名されたという。ID.Buzzは、01年、11年、17年の3度に渡って徐々にデザインを変えたコンセプトカーの市販車だ。全長4715㎜、ホイールベース2990㎜のノーマルホイールベース版と全長4965㎜、3240㎜版のロングホイールベース仕様を設定。前者は2列目が2人掛けになる3列6人乗り、後者は2列目が3人掛けの3列7人乗りとなる。ロング版には91kWhを、ノーマル版には84kWhの駆動用バッテリーを搭載し、航続距離はロング版が554㎞、ノーマル版が524㎞となる。

充電は200Vの普通に加え、チャデモ規格の急速充電にも対応する。90 kWの急速充電器の場合、約40分でバッテリー残量20%から80%までの充電が可能で、受電能力の向上により徐々に増えてきた150kWの急速充電器を使えばより速い充電が可能だ。給電機能の「V2L」「V2H」には対応していない。

RRだったタイプ2とメカニズムは別物だが、リアモーターの後輪駆動を採用するのもオマージュといえるかも。日本に導入されているSUVタイプのID.4も後輪駆動。モーターの最高出力は210kW(286㎰)、最大トルクは560Nmで、両仕様ともに同値だ。

駆動用のリチウムイオンバッテリーを床下に積むため、ステップから一段高い位置に床面があり、日本の低床ミニバンと比べるとフロアは若干高め。1列目から3列目まで頭上まわりに余裕があり、とくにロング版は3列目の足元も広い。脱着可能な3列目のシートサイズは小さめだが、子ども用、非常席としては十分。2列目のレバーを操作すると、座面が前下がりになりながら前にスライドするゴルフ・トゥーランと似た方式のウォークインを採用。2列目と3列目はフラットに前倒しが可能で、ロング版であれば車中泊にも対応しそうだ。3列目を外し、2列目を倒すとノーマル版は2123L、ロング版は2469Lという広大な荷室容量が出現。3列目と2列目の背もたれを前倒しするだけでもかなりのスペースを確保できる。

12.9インチの大型タッチスクリーンを中心としたインパネは、水平基調で足元も広い。エアコンやナビなどの設定が可能な音声操作機能の「IDAボイスアシスタント」を標準装備する。先進安全装備も充実していて、ACCとレーンキープなどを組み合わせる同一車線内全車速運転支援システムの「トラベルアシスト」をはじめ、歩行者と自転車に対応するプリクラッシュブレーキシステムの「フロントアシスト」、4つのカメラ映像を合成したアラウンドビューカメラ「エリアビュー」などを標準化している。価格は900万円級と1000万円級と決してお手軽とはいえないが、ミニバンもEV化される時代に突入した。最先端技術をまとっても内外装の遊び心あふれるデザインは注目の的になるだろう。

LINE UP
▶ID.Buzz Pro(NWB/6シーター) 888万9000円
▶ID.Buzz Pro(LWB/7シーター) 997万9000円

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STYLE WAGON(スタイルワゴン) 2025年8月号 No.356より