ステーションワゴンは車中泊に最適なパッケージング
2025年3月、シリーズ4モデル目として登場したクラウンエステート(以下、エステート)。トヨタのホームページでは「ワゴンとSUVの融合から生まれた新しい形」と表現しているが、基本的には世界でも日本でも希少な存在となってしまったステーションワゴンに違いない。そんなエステートと同じく、後席を倒せばワゴンのように広い空間を簡単につくれる、クラウンスポーツ(以下、スポーツ)と2台で車中泊へ。
まず想像以上に驚きの連続だったのがエステート。ミニバンやSUVなど様々なジャンルに分けられるクルマのなかで、最も快適に車中泊できるクルマだと個人的に思っているのがステーションワゴン。広いラゲッジスペースを備え、後席を前に倒すことで就寝スペースを確保するスタイルは、身長170cm程度の大人が足を屈めることなく寝転ぶことができるパターンが多い。エステートも同様のかたちで就寝スペースをつくれるが、車中泊や外出先での快適性を高める装備や機能がとにかく満載。後席を倒すとラゲッジとフラットなスペースが広がるだけでなく、後席の背面部分の長さを延長する「ラゲージルーム拡張ボード」を装備することで、長さ約2mの完全フラットスペースが完成する。しかも寝転ぶ場所がシート背面なのに、肌触りの良い素材を採用しているので、このまま寝られそうなほどの心地良さ。とはいえ一晩を過ごすには少々硬いと気になったが、エステート専用のフルフラットラゲージマットがオプションで用意! さらにラゲッジ側面にはテーブルに変形するデッキサイドカバーが装備されているなど車中泊派にとっては至れり尽くせり。車中泊した翌朝の疲れなんてまったくなく、格安ビジネスホテルのベッドよりも快適かも!? と思うほどぐっすり眠れた。
対するスポーツでの車中泊は、基本的にエステートと同じ手法で就寝スペースをつくれるが、そのまま寝転ぶには少々難しかった。空気で膨らませるインフレーターマットや段差を整えるキャンプマットなどが必要となるが、それらの準備さえあれば快適に一晩を過ごすことができる。トランクルームが独立しているクラウンクロスオーバーやクラウンセダンでは難しいが、車中泊できるクルマの選択肢としてはスポーツも十分ありだ。
車中泊を突きつめると、いずれはベッドキットなども導入したくなりそうだが、このままでも全然OK! そう思えるほど、エステートの快適性と充実装備はサイコーでした。


拡張ボードを広げると長さ2m車中泊としては最高の広々空間【エステート】


全長×全幅×全高(mm):4930×1880×1625
室内長×室内高×室内幅(mm):1930×1540×1200
車両価格:810万円







【車中泊の結果】
リラックス度 ★★★★★
快眠度 ★★★★★
疲れにくい度 ★★★★★
開口幅が広く積み降ろし楽々なラゲッジルーム





凹凸が少なく床面はフラットひと手間プラスで快適車中泊に【スポーツ】


全長×全幅×全高(mm):4720×1880×1565
室内長×室内高×室内幅(mm):1850×1540×1175
車両価格:590万円






車中泊の結果
リラックス度 ★★★★☆
快眠度 ★★★★☆
疲れにくい度 ★★★★☆
ラゲッジは荷物の積み込み方法に注意






※数値は編集部調べ。撮影地「Campsite TORAMI(千葉県長生郡一宮町) https://www.campsite-torami.com
STYLE WAGON(スタイルワゴン) 2025年8月号 No.356より



