“ストリートではNG”そんな常識を覆す!

完全合法チューニングに新たな選択肢が登場!

ここ10年ほどで、ビレット(アルミ削り出し)ブロックは主に周回レース用のマシンを中心に一気に普及が進んできた。軽量かつ高剛性、そして従来の鋳鉄製純正ブロックでは不可能だった排気量アップが可能になるなど、性能面におけるアドバンテージは計り知れない。

しかし国内においては、あくまで“サーキット専用パーツ”という認識が強く、実際「ビレットブロックで構造変更を通した」という前例は、これまで一切聞かれなかった。

この“常識”を打ち破ったのが、埼玉県に拠点を構える“ナンバー7”だ。

これまで、カーボンパーツや旧車用レストアパーツの製作を中心に手がけてきた同ショップだが、自社所有のハコスカ&ケンメリGT-Rを通して、かねてより問題視されていた“エンジンブロック絶版”という壁に直面する。入手困難なS20ブロックに代わる選択肢として、L型エンジンに引けを取らないパフォーマンスを求め、独自にビレットブロックの開発をスタート。構想から数年を経て、ついにその構造変更公認を現実のものとした。

製作は海外メーカーと共同で進められ、日本のストリート環境に最適化すべく綿密なディスカッションを重ねた。最終的な仕上げや検査は国内で行うなど、細部まで徹底的に品質を追求している。

そして最大の関門となる「車検取得」は、構造変更における実績豊富な「ガレージ34」とのタッグにより実現。行政機関との調整、書類手続きなどを綿密に進めた末に、公認取得に成功したのだ。記念すべき第1号車は、北米仕様の240ZをベースにZ432仕様へと仕立てられた、サファリブラウンの初期型モデルである。

現在も複数の車両でテストが継続されており、耐久性やセッティングに関する検証が進行中。将来的にはカタログモデルとしての正式販売も視野に入れつつ、「すぐにブロックが必要」「今すぐチューニングを始めたい」といった声に対応するかたちで、すでに受注もスタートしている。

今後はS20用3.0L〜3.6L仕様に加え、RB26用や2JZ用のビレットブロックについても構造変更公認を視野に入れて開発を進めていく予定だ。完全合法のハイエンドチューニングが、いよいよ現実味を帯びてきた。今後の展開に、要注目だ。

●取材協力:ナンバー7レーシングプロダクツ 埼玉県川口市領家3-21-7

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