連載
今日は何の日?■世界初の技術スマート・ルームミラー
2014(平成26)年2月28日、日産自動車は一般的な鏡を使ったルームミラー画像と、車両後方に設置した高性能挟角カメラを通して映し出す液晶ディスプレイの後方画像を任意に切り替えられる世界初となる“スマート・ルームミラー”を開発したことを発表した。

日産が提唱するインテリジェント・モビリティ
日産は、クルマによる移動をより安全、よりスマートに、より楽しくすることを「インテリジェント・モビリティ」を通して実現することを提唱。インテリジェント・モビリティは、次の3つの領域から構成される。
・インテリジェント・ドライビング
高いレベルの安全性、操縦性と快適性を追求。自動運転技術の「プロパイロット」や自動運転を支援する「インテリジェント・アラウンドビューモニター」や「インテリジェント・ミラー(スマート・ルームミラー)」などがこの領域に含まれる。
・インテリジェント・パワー
クリーンで効率的なパワーのパワートレインで、運転する楽しさを高める。内燃機関の効率向上や様々なニーズに対応する電動化技術を推進。EVやe-POWER(シリーズハリブリッド)」やFCEV(燃料電池車)などが該当する。
・インテリジェント・インテグレーション
乗っている人を社会ともっとつなげる。「Nissan Connect」や「Vehicle-to-Home」のような便利で繋がるコネクティッド技術を指す。
さまざまな悪条件でも鮮明な後方視界が得られるスマート・ルームミラー
2014年2月のこの日に発表されたスマート・ルームミラーは、さまざまな走行環境においてドライバーにクリアな後方視界を提供する液晶モニターと、通常のルームミラーとを任意に切り替えることができる世界初の技術である。
スマート・ルームミラーは、後方を確認する新開発の高性能狭角カメラと、ルームミラーに内蔵した新開発の特殊形状液晶モニターで構成。リアウインドウに設置されたカメラによる鮮明な画像を液晶モニターに映し出すため、後方や斜め後ろを走行する車両などの交通状況を鮮明に映し出す。リアシートの乗員や背の高い荷物、ピラーなどで後方視界を遮られないことも大きなメリットである。
さらに、スマート・ルームミラーは、後方視界が見難くなる降雨時や降雪時のリアウインドウの曇り、また夜間などの悪条件でも、さらに朝夕の逆光や後続車のヘッドライトの光に対しても、高度なカメラ制御と画像処理プログラムによって、クリアな後方視界を映し出すことができる。
スマート・ルームミラーは、液晶モニターとミラーの2重構造になっている。通常は、液晶モニターと一般的なミラーを重ねて使用すると、鏡の反射と液晶モニターへの光の透過による二重像現象が起こり、映し出される像がぼやけて見えるなど、クリアな視界を得ることはできない。スマート・ルームミラーは、特殊な内部構造にすることで、世界で初めて2重像現象を発生させずに、液晶モニターと通常のミラーとの切り替えを可能にしたのだ。
スマート・ルームミラーは、セレナやリーフ、ノートなどに採用されたほか、レーシングマシンにも採用された。
アラウンドビューモニターも日産が開発した世界初の技術
日産は、これまでも独自の高性能カメラと高度な画像処理技術を用いて、ドライバーの視界を広げる数多くの技術を開発してきた。

代表的なのは、2007年に「エルグランド」に搭載された世界初のアラウンドビューモニターだ。アラウンドビューモニターは、車両の前後左右に取り付けた4個の180度広角高解像度カメラから得た映像を処理し、車両を真上から見ているような周囲360度の映像をディスプレイに表示させる。
これにより、縦列駐車、車庫入れなどを行なう際、自車と路面の駐車枠との関係が一目で分かり、ドライバーのスムーズな駐車ができる。その後もアラウンドビューモニターは進化し続け、見通しの悪い交差点や駐車場から後退して出庫する場合に、左右約180°の映像をモニターに表示する「フロントワイドビュー」と「リアワイドビュー」、クルマの周囲で動く物体を検知してドライバーに知らせる「移動物検知機能」なども実用化されている。
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カメラと画像処理を使ったモニター技術の実用化によって、クルマの運転はますます楽になり、安全になってきた。ふと思う、バックミニターなしに狭い駐車場に上手く入れられるか、クルマの進化とともに人の運転技術が退化するのが心配だ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。








