
2月28日~3月2日に愛知県蒲郡市で開催された「ラリー三河湾」の取材に出かけた。ラリー三河湾は、2023年まで開催されていた新城ラリーに代わって蒲郡市を中心としたエリアで24年から始まったラリーだ。格式は全日本選手権。今シーズンの全日本ラリー選手権の開幕戦にあたる。
私は、1990年代後半にオートスポーツ誌のラリー担当として、WRC(世界ラリー選手権)の取材をしていた。その時の経験で、欧州ではラリーというスポーツが地域に根付く、ある種のお祭りであることを身をもって知った。が、当時の日本のラリーは、それとはまったく違ったものだった。全日本ラリーはマイナースポーツで、注目度も低かった。

ところが、ここ数年、その状況が大きく変わった。2022年のラリージャパンが大きな契機になったのは間違いない。ワークスとして参戦するトヨタの活躍は大きな話題だ。だがそれだけではなく。トヨタ(GR)が、WRCや全日本ラリーを自動車開発の舞台に使うだけでなく、ラリーというスポーツの魅力を伝える活動をしてきたことが大きい。
WRC、全日本ラリーだけでなく、参加型の入門カテゴリーであるラリーチャレンジ、若手育成、ラリーの活性化を目的にしたMORIZO Challengeなどの魅力的なプログラムを推進してきたことが奏功しているのだ。



さて、ラリー三河湾である。晴天に恵まれたラリー初日、蒲郡市のラグーナエリア周辺は、多くの観客で賑わっていた。マリーナ周辺のリゾート感満点のこのエリアには、ラリーの会期中に8万5800人の来場者があった。初開催の昨年が5万900人、その前の新城ラリーと比べても過去最高の盛り上がりだったのは間違いない。
注目したいのは、ラリーの楽しみ方の多様化だ。
従来のコアなラリーファンに加えて、ライトなファンが増えている印象だ。老若男女、家族、カップルでお祭りとしてのラリーを楽しむ。ラリー三河湾のラグーナエリアはそのためのさまざまな工夫が凝らされていた。

ラリーのサービスパーク周辺には多くのキッチンカーが並ぶ。ステージではトークショーなどのイベント、マリーナでは「蒲郡マリンフェスティバル」が併催されている。
ラリーカーとドライバー&コドライバーに手を振る。蒲郡名物のガマゴリうどんをすすりながら、ラリーの戦況は大きなモニターで見る。

朝から夕方まで、のんびり楽しめるのだ。
欧州のWRCは(取材したのはだいぶ昔だけれど)、一年に一度やってくる村祭りのようだった。祖父祖母世代に息子・娘・孫までがコースサイドにテーブルを並べ、のんびり日がな一日ラリーカーが走り抜ける時間を楽しむ。日本のラリーシーンも、そうなってきているように感じた。ラリー三河湾(ラリージャパンもそうだ)を親と一緒に連れられてきた子どもたちは、モータースポーツに自然と触れあい、クルマとのちょうどいい距離感を身につけていく。その子ども達が成長したら、同じように新しい家族とラリーを楽しむようになる。そういうサイクルが生まれ始めているように感じた。





これは、ラリー関係者、とりわけトヨタのサポートの成果と言っていい。ラリー三河湾でも、モリゾウこと豊田章男トヨタ自動車会長がGRカローラ・ラリーコンセプトを、WRCラリースウェーデンで2位となった(もう少しで優勝だった!惜しいっ)勝田貴元選手がGRヤリスRally1をデモランして大きな喝采を浴びていた。世界レベルの走りを間近で見られたわけだ。モリゾウ選手がデモランを披露するとなれば、モータースポーツメディアだけでなく、新聞・テレビなどの経済メディアも取り上げる。こうした活動が着実に実を結びつつあるように思う。
全日本ラリーは
第2戦 ツール・ド・九州2025 in 唐津(佐賀県 4月11~13日)
第3戦 Rally 飛鳥(奈良県 5月16~18日)
第4戦 MONTRE 2025(群馬県 6月6~8日)
第5戦 2025 ARK ラリー・カムイ(北海道 7月4~6日)
第6戦 RALLY HOKKAIDO(北海道 9月5~7日)
第7戦 久万高原ラリー(久万高原愛媛県 10月3~5日)
第8戦 ラリーハイランドマスターズ2025(高山 岐阜 10月17~19日)
と続く。
また、WRCラリージャパンは
WRC 第13戦 ラリージャパン(愛知・岐阜 11月6~9日)
に開催される。
ラリーはコアなラリーファンだけのものではない。ぜひ、一度ラリーを体験してみていただきたい。


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