中国の自動車メーカー・GACモーターとは?
首都ハノイで開催された「ベトナムオートエキスポ2025」では、三菱自動車以外の唯一の乗用車メーカーとして、中国のGACモーターが出展していた。GACモーターは、広州汽車集団(GACグループ)が2008年に設立した自動車メーカーであり、EVブランド「AION」も同社が手掛けている。

ベトナムには2024年8月より参入を始めたばかりで、最上級ミニバン「M8」と最上位SUV「GS8」を同時に投入。高級車ブランドとして展開しており、走行距離15万キロを上限としながらも、7年間保証、7年間24時間365日の無料ロードアシスタンス、7年間の定期メンテナンスパッケージを付帯することで、手厚いサービスを売りとする。さらに2024年10月には、ミドルサイズミニバン「M6プロ」も追加し、全3車種を展開中だ。


アルファード/ヴェルファイアより大きい高級ミニバン「M8」
ベトナムオートエキスポのブースでは、3車種のフルラインアップを展示した。今回は、そのビジュアルにもインパクトがある高級ミニバン「M8」を紹介しよう。

そのエクステリアの押し出し感は、アルファード/フェルファイアやレクサスLMにも負けない勢いを感じさせるギラついた高級感に溢れるもの。


ボディサイズは日本の高級ミニバンよりひと回り大きいもので、全長5212mm×全幅1940mm×全高1823mm。さらにホイールベースが3070mmもあるのだ。





運転席まわりは最新車らしくデジタライズされたもので、14.6インチのインフォテイメントディスプレイを中心に構成される。メーターパネルも12.3インチのカラー液晶パネルがおごられている。



インテリはゴージャスな寛ぎ空間
内装には肉厚なトリムが使われており、豪華さを感じさせる。センターディスプレイでは、車載機能の様々な設定もできるようで、ビジュアルも綺麗で分かりやすそうだ。
運転席の座り心地も良く、コクピットからの視界も良好だ。


シートレイアウトは2+2+3の7人乗りとなっており、2列目には豪華なキャプテンシートを装備する。キャプテンシートはフル電動式となっており、操作パネルには静電式スイッチが並ぶ。


シート機能は図で分かるようになっており、シートに着座してフルリクライニングボタンを押してみると、瞬く間に寛ぎモードに。


頭上に広がる大型のムーンルーフには、なんとアンビエントライトによる装飾も施されているなど芸も細かい。2列目シートには、ベンチレーション、ヒーター、マッサージ機能も備わるなど、おもてなし上手だ。
3人乗りとなる3列目だが、シートはしっかりしたものなので、快適な移動が楽しめそうだ。



パワートレインはシンプルでオーソドックス
パワートレインは、ガソリンエンジンの前輪駆動車のみ。2.0L直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載しており、最高出力248HP、最大トルク400Nmを発揮する。トランスミッションは8速ATで、なんとアイシン製だそう。
先進安全運転支援機能はレベル2相当で、オートパーキングアシスト機能まで備えている。


日本円でも1000万円クラスだがベトナムオートエキスポでの注目度は高い
展示車は最上級グレードの「2.0T GXマスター」。注目の価格は、21億9900万ドン。日本円では約1229万円という超高級車。ちなみに装備が少しシンプルになるエントリーグレード「2.0T GLマスター」でも16億9900万ドン(約950万円)という1000万円級の価格設定なのだ。

ただ、ボディカラーはクリスタルホワイトとエレガントブラックの2色のみ。非常に高価なことから、まずは公用車やビジネスカーなどのニーズを狙っているのかもしれない。

来場者の少ないベトナムオートエキスポであったが、高級ミニバンの関心度は高いようで、3車種の中で最も人が集まっていたのがM8だった。現在、ベトナム国内には10拠点のディーラーが展開されており、2026年までには30拠点までの拡大を目指しているという。

まだ少数派であるが、ベトナム市場にも中国車ブランド参入の動きがあるため、同地での中国車の可能性を知る上でも重要なブランドのひとつと言える。ただ参入1年目の新参かつ高級車中心の展開であるため、具体的な成果はあまり見えていないのが現状のようだ。
「ベトナムオートエキスポ2025」に行ってみた!注目の展示車両は?ベトナムの自動車事情は?