アルファロメオ115周年記念の節目に上陸したBセグメントSUVのジュニアとは?

ダイナミックなウエストラインとリヤ(テールエンド)をスパッと切り落とした「コーダトロンカ」と呼ぶ空力処理が目を惹く

今回のアルファロメオ・ジュニアの試乗車は、日本市場でメインになりそうな48Vマイルドハイブリッドだった。BセグメントSUVのジュニアは、全長4195×全幅1780×全高1585mmで、ホイールベースは2560mm。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット、リヤがトーションビームになる。

同じプラットフォームを使うフィアット600(ハイブリッド)のリヤまわり

ブランド違いの兄弟車であるフィアット600ハイブリッドは、全長4200×全幅1780×全高1595mmで、ホイールベースはジュニアと同じ2560mm。サイズのわずかな違いは、デザインによるもの。サスペンション形式も同じだ。

アルファロメオらしいスポーティなコクピット

100kW(136PS)/230Nmのアウトプットである1199cc直列3気筒ガソリンターボに、16kW(22PS)/51Nmのフロントモーターと6速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせるのも同じ。この1.2Lガソリンターボと48Vマイルドハイブリッド、6速デュアルクラッチトランスミッションの組み合わせは、ステランティス各ブランドの内燃機関(ICE)の主力を担っていくことになる。

アルファロメオ・ジュニアのリヤビュー

車両重量もアルファロメオ・ジュニアが1330〜1340kg、フィアット600ハイブリッドが1300〜1330kgとほとんど差はない。試乗車のジュニア・イブリダは、「ペタリ」と呼ぶアルミホイールで、タイヤは215/55R18サイズを装着。OEタイヤの銘柄は、グッドイヤーの「EfficientGrip Performance 2」だった。なお、筆者が以前乗ったフィアット600ハイブリッドも同サイズ、同銘柄を装着していた。サスペンションセッティングの違いがあるのか、ジュニアの方がやや硬めという印象で、スポーティに振っているようだ。

1.2Lガソリンターボと48Vマイルドハイブリッド、6速デュアルクラッチトランスミッションの組み合わせ

また、パワートレーンもスペックも同じだが、ジュニアの方が比較的エンジン始動のタイミングが早いのが印象的で、6速デュアルクラッチトランスミッションも変速比は若干異なる。個体差なのか、ブランドによる差別化なのかは不明だが、ジュニアの方が低速域での活発な加速感をわずかに抱かせた。ただし、走行中でもコースティング(滑走)状態になり、回生ブレーキによる比較的強い減速感が得られるのは同等だ。

アルファロメオ伝統の「DNAドライブモードセレクター」を用意する

走りで大きく異なるのは、ジュニアにはアルファロメオ伝統の「DNAドライブモードセレクター」が備わること。フィアット600ハイブリッドには、切り替えられる走行モードは用意されていないため、ジュニアのドライブモードを「Dynamic」にすると、フィアット600ハイブリッドでは味わえない鋭いダッシュを享受できる。ただし、同モードでアクセルを不用意に踏むと、前にグイッと押し出されるような感覚で、少し演出過剰に思える方もいるかもしれない。スポーティと受け取るか、不自然に感じられるかは人によるだろうが、好みは分かれそう。個人的には、首都高速の短い合流レーンなどでは重宝した反面、ストップ&ゴーの多い市街地ではノーマルモードの「Natural」か省燃費モードの「Advanced Efficiency」が走らせやすかった。

215/55R18タイヤを装着

ハンドリングは、フィアット600ハイブリッドよりも明らかにスポーティ志向で、やや引き締まった足まわりとスピーディな操舵フィールが合っている。少し油断していると進路が定まらないようなピーキーさはないものの、アルファロメオらしく軽快さをより演出している印象。

アルファロメオ・ジュニアのフロントシート

385Lの荷室容量を確保するフィアット600ハイブリッドは、BセグSUVの中でも大きめだが、ジュニア(ハイブリッド)は415Lとさらに大容量を誇る。ブラックを基調としたスポーティなインテリアも同ブランドらしい味付けだが、少し気になったのは、10.25インチのタッチスクリーンナビゲーションの位置が低いことと、右ハンドル化のネガと思われる運転席の左足まわりが狭く、少し押されたような感覚になることだ。

荷室容量はBセグメントSUVでは大きめの415Lを誇る

こうしたいくつか細かい点が気になるものの、ミトやジュリエッタが廃止されているいま、貴重なコンパクトモデルであるジュニア。アルファロメオの既存ユーザーだけでなく、流行のコンパクトSUVということもあり、新規顧客の獲得にも寄与するはずだ。

アルファロメオ115周年のその日に日本で発表された新型ジュニア