ヴァンキッシュのV12エンジンが搭載される可能性も

アストンマーティン DB12 S ヴォランテ プロトタイプ スパイショット

DB12は、「DB11」後継モデルとして2023年5月に発表されたモデルだ。昨年はゴールドフィンガー・エディションを発売しているが、よりパフォーマンス志向の「DB12 S」がクーペ、ヴォランテに投入されそうだ。

アストンマーティン DB12 S ヴォランテ プロトタイプ スパイショット

同ブランドは、パフォーマンス攻勢に打って出ており、ミッドシップ・スーパーカーや驚異的なハイパーカーを投入しているほか、人気SUVのパワーをさらに向上させ、マニュアルシフト搭載モデルの追加も約束している。そして、いよいよDB12もパフォーマンスアップとなる。

カーブの多い郊外の田舎道で捉えたプロトタイプは、フロントバンパー下端に新しいリップ、改良されたサイドシル、そして巨大な4本出しエキゾーストシステムを備えたまったく新しいリヤディフューザーが特徴だ。また、エアロダイナミクスを強化し、サスペンションをローダウンしている。これは、標準のDB12に搭載されている4.0L・V8ツインターボエンジンの680psから大幅にパワーアップしていることを示唆している。

実はアストンは、DB11をDB12へとアップグレードした際にV12エンジンのオプションを廃止したが、AMG製の4.0L・V8エンジンは依然として680psの最高出力と、800Nmの力強いトルクを発生する。これは旧型のV12エンジンを上回る数値であり、DB12を0-62mph(時速約97km)まで3.6秒で加速させ、最高速度202mph(時速約325km)に達するのに十分な性能となっている。

しかし、DB12にもう少しパワーを求め、そのために多少の快適性を犠牲にしても構わないと考える顧客は常に存在する。今回紹介するモデルは、サーキット走行に特化したシンプルなモデルではない。DB12のラグジュアリーな特性はそのままに、デザインからボディコントロール、直線性能に至るまで、あらゆる面で改良が加えられ、よりエンスージアスト向けのモデルへと進化を遂げている。プロトタイプの両端に3つの角型ベントホールを備えた奥行きのあるフロントスポイラーと、大型の卵型グリルにより、よりアグレッシブな印象を与えている。新型DBX S SUVにも、両側にふたつのベントホールを備えた同様のスポイラーが装備されている。

アストンマーティン DB12 S ヴォランテ プロトタイプ スパイショット テールパイプは上下に配置される。

これらの変更点に加え、より硬めのサスペンションによる車高の低下は、街中でも容易に見分けられるはずだ。また、DBX Sのようにテールパイプが上下に配置され、標準のDB12のように横並びになっている新しいエキゾーストレイアウトと差別化される。

注目の心臓部だが、標準のDB12に搭載されている4.0L・V8ツインターボエンジンの最高出力680psから大幅にパワーアップしていることは間違いなく、ヴァンキッシュの835馬力V12エンジンが搭載されても不思議ではない。その場合、デチューンされ、最高出力は720psが予想されるが、ベースモデルから大幅に強化される。

このパフォーマンスモデルは以前「DB12 AMR」と呼ばれていた。しかし、DBX SUVの最高出力バージョンを「S」と呼ぶことを発表したため、クーペとヴォランテのDB12「S」も採用される可能性が高いだろう。

これらのDB12パフォーマンスモデルの少なくともひとつは、年末までにデビューすると予想されるが、発売は段階的に行なわれ、まずクーペが注目を集める可能性が高いとみられる。

アストンマーティン DB12 S ヴォランテ プロトタイプ スパイショット