Persson博士はゴム摩擦を含む接触、摩擦、摩耗、潤滑に関する研究の世界的権威であり、ペーター・グリューンベルク研究所(ドイツ)や蘭州化学物理研究所(中国)に所属しているほか、ゴム業界をはじめ、様々な課題を抱える企業を支援するコンサルタント会社「マルチスケールコンサルティング」(ドイツ)を運営している。Persson博士が唱えた接触力学とゴム摩擦に関する独自アプローチは、多くの査読付き学術誌に掲載されたほか、他の科学者によって検証され、様々な課題解決に有効であることが証明されている。

横浜ゴムは長年のゴム研究における実績と高い技術開発力が認められ、マルチスケールコンサルティングと契約し、Persson博士と共にゴムと路面の摩擦・摩耗に関する研究が進められてきた。今回、世界で初めて、理論化が難しかった凹凸路面上のマルチスケール(ナノ~センチレベル)におけるゴム摩耗挙動の理論モデルが構築された。ドライおよびウェット滑走下でのゴムの摩耗挙動を様々な接触圧と速度で計測した結果、理論モデルが予測する摩耗率(単位滑走距離あたりの質量損失)と摩耗粉粒子のサイズ分布が実験結果と合致し、本理論がそれらの予測に使用できることが確認された。

Bo Nils Johan Persson博士
凹凸路面上を滑るゴムの摩耗プロセス