トヨタは、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」と、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として、日本国内のスーパー耐久シリーズを含むモータースポーツの厳しい環境下で水素技術を磨いている。また、業界内外のパートナーのと連携し、水素の生産、輸送、利用の拡大を進めながら、カーボンニュートラル社会の実現を目指している。

日本のスーパー耐久シリーズで、ルーキーレーシングが走らせている水素エンジンカローラは、2021年のデビュー時は気体水素を燃料としていたが、2023年からは液体水素を搭載するようになった。 2022年には、GRヤリスH2がFIA世界ラリー選手権(WRC)のイプルーラリーでデモンストレーション走行を行い、ラリーの世界における水素エンジンの可能性が示された。2023年には、水素エンジンカローラがル・マンの舞台でデモンストレーション走行が行われ、また将来的に導入される可能性のある水素カテゴリーを想定し水素エンジンを搭載したコンセプトカー、「GR H2 Racing Concept」がル・マンで発表された。

さらに技術開発が進む中、液体水素を燃料とするGR LH2 Racing Conceptが新たな段階として披露された。このテストカーは、現在FIA世界耐久選手権(WEC)で戦っているGR010 HYBRIDをベースに開発。GR LH2 Racing Conceptは、今後の実走テストを通し、トヨタの水素技術やインフラの継続的な開発を担うとともに、モータースポーツへの挑戦を通じた水素の可能性を広げるための仲間づくりを行っていく。

未来を見据えて開発されている「GR LH2 Racing Concept」のカラーリングは「未来」を象徴しており、トヨタのル・マン参戦40周年のコンセプトである「過去」、「現在」、「未来」を結びつける3つ目の重要な要素となる。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースがドライブするGR010 HYBRID 7号車は、1998年のル・マンを戦った伝説的なトヨタGT-Oneとして知られるTS020をモチーフにした赤と白のカラーリングをまとい、そして、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は「現在」を象徴し、勝利への決意を示すマットブラックのリバリーをまとっている。このカラーリングはまた、チームの精神である「負け嫌い」という思いを表現し、GRロゴを中心に、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」と進化を続ける「プロトタイプ」コンセプトを反映している。

パワートレーン 水素エンジン+ハイブリッドシステム
搭載燃料 液体水素
仕様 全長 5100mm
全幅 2050mm
GR LH2 レーシング・コンセプト車両概要