マツダさん……マジっすか!?

自分だけの「マフラー」をつくって音のひみつを探ってみよう!

キッズエンジニアのwebサイトに掲載されていた各社のプログラム確認するなか、一瞬……でなく、幾度か自分の目を疑った。マツダさん? まじ!? まさか溶接とかしないよね?

いったいどんなプログラムなのか? 取材に向かう我々取材班もワクワクしながらキッズエンジニア2022の会場・パシフィコ横浜へと向かったのだった。

夏休みの宿題終わった? エンジニアの手づくりイベントは自由研究の宝庫だった!【キッズエンジニア2022】

自動車関連技術の発展や振興を目的とした学術団体、公益社団法人 自動車技術会(自技会)が主催し、加盟する名だたる自動車メーカーとサプライヤーが協力してつくり上げられる小学生向けの参加型イベント「キッズエンジニア」。ニッポンの最先端のクルマ開発に関わるエンジニアたちが、自動車の仕組みや制御といったメカニズムを小学生でも楽しく理解できるよう創意工夫したプログラムは、まさに自動車特化型キッ○ニア! 大人の我々が見ても興味津々のイベントが、数年ぶりにパシフィコ横浜で開催された(7月29~30日)。 TEXT & PHOTO:森田 準(Jun “ MJ ” MORITA) PHOTO:生江 凪子(Motor-Fan.jp)

https://motor-fan.jp/mf/article/74348/
イベントの模様はこちらからどうぞ(別ウインドウで開きます)。
これがマツダ製子ども自作マフラーの全貌! 紙コップにつながれたパイプで声を箱の中に導き、反対側の排気管から放出される音を計測する。内部には隔壁、箱の外にはレゾネーターとしてペットボトルが装着されている。

と、現地に着いて実際に目にしたものは、写真のとおり紙の小箱(ひと安心?)であった。
エンジンの排気音を小さくするための方法は5~6種類あって、車両とエンジンのタイプや排気量などに応じて効果的なものを組み合わせて設計されているが、このプログラムでは、実際にマツダ・ロードスターのマフラーにも使われている「吸音」「拡張」「共鳴」と、3つの消音方法(構造)がマフラーに見立てた箱に再現されています。

「吸音」には実車の吸音材であるグラスウールの代わりにティッシュペーパーを使用。
「拡張」は箱の中を仕切る穴の空いた隔壁があり、
「共鳴」には共鳴室としてペットボトルが箱に差し込まれるといった具合です(なんとお見事!)。

排気音の代わりは参加者の声です。紙コップに口に当て、「ロードスター!」を発話した音を計測します(紙コップはさしずめエキマニといったところでしょうか? 笑)。

そして、なんと、マフラーの音を測る計測機と、消音効果を解析するアプリケーションは実際にマツダが開発で使用している機材を使っているというこだわりよう。こんなところにもマツダさんの本気具合が伝わってきます。

さて、マフラーを完成させ、最初の計測を行なった後は開発者さながらの”仕様変更”を行なって実験です。
吸音材として使っているティッシュペーパーの量を調節したり、箱の中を仕切る孔の開いた隔壁を孔の開いていないものに取り替えたり、共鳴室として使っているペットボトルの大きさ(=容量)を変えてみたり……キッズエンジニアたちの技が光ります。

思い思いのチューニングを施して再度音を計測!

先生と一緒にパソコン前に並んで座り、「ほら、ここら辺の音が小さくなっているでしょ」と、子どもと一緒に画面の波形を見ながら、全体の音量や周波数帯ごとの音の増減など、自分でつくったマフラーの消音効果を確認します。

もちろん本物は模型ほど単純ではないが、基礎的な部分が似通っていることが、この写真からもわかっていただけるだろう。

いかがでしょう?
実車開発を行なっている現役エンジニアに教えてもらい、実際の機器を使って車両開発さながらの実験ができるのは、なかなかできる体験ではありませんよね。

これで興味をもった少年少女が、十数年後にマツダの入社試験を受けるかもしれません。
いや、ぜひそうあって欲しいと願ってやまない筆者なのでした。

とにかくエンジニア魂を感じる、素敵なプログラムでした。我が子も是非! と思われる小学生の親御さんは、来年のキッズエンジニアに参加してみてください!

オンラインイベントも公開中!

録画配信プログラム|キッズエンジニア

https://www.jsae.or.jp/kidse/program/ten.php
オンライン(録画配信)イベントはこちらからどうぞ。コンテンツは順次追加されます(外部サイト)
本イベントでは、自動車関連企業や団体がさまざまな教育プログラムを企画・提供し、子どもたちに自動車を中心としたさまざまな科学技術に触れ、モノづくり体験をする機会を提供しています。本会は、このイベントを体験した子どもたちが科学や技術に興味を持ち、将来の日本を支える技術者になってくれることを願い、本イベントを企画・運営しています。(公益財団法人 自動車技術会)