サーキットマシンらしからぬ実用性のシビックタイプR、重厚感のあるスカイラインNISMO




シビックタイプRは、全長4595mm×全幅1890mm×全高1405mmという数値からもわかるように、ワイドかつ低いフォルムを特徴としている。その外観からは想像しにくいが、室内長は1915mm×室内幅1545mm×室内高1145mmと、Cセグメントハッチバックとしてはかなり余裕がある。
前後席ともに大人が無理なく着座できるスペースが確保されており、ホットハッチでありながら日常的な実用性も兼ね備えている点がシビックタイプRの特徴だ。
一方のスカイラインNISMOは、全長4835mm×全幅1820mm×全高1440mmと、セダンらしい伸びやかなプロポーションを持つ。
室内長は2000mm×室内幅1480mm×室内高1180mmと、数値上ではシビック タイプRと大きな差はないが、全体の空間には余裕が感じられる。特に後席の居住性においてはスカイラインNISMOの方が優位であり、リアトランク構造であることから遮音性やセキュリティ面でも優れる。
ホンダ シビックタイプR RACING BLACK Package
ボディサイズ=全長4595mm×全幅1890mm×全高1405mm
ホイールベース=2735mm
車両重量=1430kg
タイヤサイズ=265/30ZR19(前後)
日産 スカイラインNISMO limited
ボディサイズ=全長4835mm×全幅1820mm×全高1440mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1760kg
タイヤサイズ=245/40R19(前)265/35R19(後)
排気量も駆動方式も異なる2台、走りのキャラクターに現れる明確な違い


シビックタイプRに搭載されるのは、2.0L直列4気筒VTECターボで、最高出力330PS、最大トルク420Nmを発揮する。駆動方式は前輪駆動(FF)、トランスミッションは6速MTのみという構成が貫かれており、クルマを操る楽しさに徹した仕様といえそうだ。
対するスカイラインNISMOは、3.0L V6ツインターボを搭載し、420PS/550Nmという圧倒的なパワーとトルクを誇る。トランスミッションは7速ATで、駆動方式はFR。強烈な加速性能を持ちながらも、高速域での安定感や上質なステアリングフィールを追求した設計だ。
最高出力では劣るものの、トルク値で大きく上回るスカイラインNISMOは低中速からの加速力で明らかにシビックタイプRを上回る。
ホンダ シビックタイプR RACING BLACK Package
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボ
排気量=1995cc
最高出力=330ps/6500rpm
最大トルク=420Nm/2600〜4000rpm
トランスミッション=6MT
駆動方式=2WD(FF)
日産 スカイラインNISMO limited
エンジン形式=V型6気筒ガソリンツインターボ
排気量=2997cc
最高出力=420ps/6400rpm
最大トルク=550Nm/2800~4400rpm
トランスミッション=7AT
駆動方式=2WD(FR)
高性能モデルとしての位置づけと、それぞれの価格が意味する価値




専用の黒内装となるシビック タイプR レーシングブラックパッケージの価格は、599万8300円。対してスカイラインNISMOの最高グレードであるスカイラインNISMO limitedは、価格が947万9800円に設定されており、シビックタイプRとの価格差は350万円以上にも及ぶ。
この価格差は、手作業で丁寧に組み立てられたエンジンにはじまり、艶消しガンメタカラーのエンケイ製ホイールやRECARO製シートなど、limited専用に数々の手が加えられているためだ。
なお、通常のスカイラインNISMO(約788万円)は1000台限定、「スカイラインGT」誕生60周年を記念したスカイラインNISMO limitedは100台限定だった。シビック タイプRは注文できない状態が続いているが生産数量は限定されていない。
それぞれの性能や装備の内容と方向性を考慮すれば、単なる高い/安いではなく、求める価値に応じた合理的な価格設定とも捉えられそうだ。
操る楽しさと日常性能のバランスを求めるならシビック、ラグジュアリーと高性能を両立した特別な1台を所有したいならスカイラインNISMOという選択肢が見えてくる。
車両本体価格
ホンダ シビックタイプR RACING BLACK Package:599万8300円
日産 スカイラインNISMO limited:947万9800円