電動化に加え装備も充実 走りも侮れない働くBEV

クルマ業界の今年の顔と言える2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーはホンダ・フリードが受賞したが、ホンダには軽商用車にも大注目の一台がある。

エクステリア

軽自動車規格の高 さ上限である2mに迫る、スクエアなフォルムはボンネットバンとしての理想を突き詰めたパッケージであることの証。カラードの電動格納ドアミラーは「e:FUN 」グレードの差別化アイテム。最小回転半径は4.6m。

それが軽商用車のN-VANをベースにBEV(電気自動車)化されたN―VAN e:だ。配送業を中心とする企業、法人向けを基本としたひとり乗り、タンデムのふたり乗りの「e:G」、「e:L2」(ホンダの法人営業部、およびホンダのオンラインストアのリース契約のみ)、そして個人事業主、一般ユーザーの乗用ユースにも向く4人乗りのスタンダードモデル「e:L4」、そして仕事にも一般ユーザーのレジャーユースにも適する「e:FUN」(ホンダの法人営業部のリース契約/売り切りとホンダのオンラインストアのリース契約)を用意する。最大積載量は300㎏。段ボール箱を最大71個積める大容量の積載性が自慢だ。

乗降性

N-VAN e:はガソリン車のN-VANをただBEVに仕立てただけではない。新装備やパッケージを備え、働きやすく、楽しめる一台に仕上げられている。気になるバッテリー容量と一充電航続距離は、それぞれ29.6kWh、245㎞(WLTCモード)。軽電気自動車の日産サクラが同20.6kWh、180㎞だからその差は歴然。ちなみにホンダ車特有のECONスイッチ=エコモードはN-VAN e:では航続距離を伸ばすモードとなる。充電ポートはフロントにあり、「e:FUN」には普通充電ポートと急速充電の2ポートを用意している(「e:L4」は普通充電のみ)。

インストルメントパネル

エクステリアのボディパネルはエンジン車と共通だが、インテリアは完全に別物。ボタン式セレクターやエアコンパネルなどは最新のホンダ車らしい意匠となる。ドアトリムも専用デザインとなっている。

コンテナを思わせる、ルーフを塗り分けたツートーンボディも用意されるエクステリアは、サスティナブルな素材を採した機能的なデザイン。一方、同じくコンテナ型のスクエア空間にデザインされたインテリアは軽商用車らしからぬ先進感のあるものだ。メインスイッチはプッシュボタン式となり、メーターもフルデジタル仕様となるほか、シフトセレクターはレジェンドやNSXから採用されたプッシュボタン式なのである。N-VANとは大違いの部分だが、パーキングブレーキはコスト減のためか足踏み式のまま。他の操作系やデザインの先進性からするとちょっと違和感アリではある。

居住性

車内のスクエアな大空間は、働くクルマとして定評あるN-VANと同じ。最大フロア奥行き2645㎜、天井高1370㎜だから、仕事の荷物、レジャーやアウトドアの荷物をたっぷり積めることは間違いなく、さらに大人が真っ直ぐ寝られる車内空間が確保されるのはうれしい。N-VAN e:は走りもサプライズカーだった。モータートルクは1.6ℓガソリン車に匹敵する16.5㎏mもあり、出足からスムーズかつトルキー。シームレスな加速感が味わえる。驚かされるのが段差の乗り越えをしなやかにいなし、一般道、高速道路ともにフラットで想定外に快適な乗り心地を示してくれること。

うれしい装備

リヤシートを格納したときにフラットになるだけでなく、助手席をダイブダウンすることで2.5mを超える長尺物も置けるラゲッジフロアが生み出される。格納する作業もシート脇のレバーを操作するだけと簡単だ。
新規デビュー       24年6月13日 
月間販売台数      2677台(24年6月~11月平均)
一充電走行距離    245km

ラゲッジルーム

N-VAN比170㎏の重量増が乗り心地とカーブでの安定感に効く低重心パッケージが活かされているのだろう。ただ、動力源が静かなだけに商用車用タイヤが発するロードノイズが目立つものの、軽商用車であることを思い出せば、納得もできるというものだろう。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.165「2025年 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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