黒柳徹子女史の自伝的小説『窓ぎわのトットちゃん』が大ヒットし、気だるげな寺尾聰氏の『ルビーの指輪』の歌声が街角に流れた昭和56年(1981年)に登場したトヨタ・ソアラ(初代)は、高級車市場に新たな風を吹き込んだ一台でした。特にバブル経済前夜の日本において、高級車がますます魅力的な市場となる中、ソアラは“走り”と“ラグジュアリー”を両立させたクーペとして、登場から大きな注目を集めました。

ソアラは、当時のトヨタの技術力を集結させた、度が過ぎると言っても良いほどの高級クーペで、スポーティな走行性能を有しつつも、上質な内装と先進的な機能(電子制御システムや豪華なインテリアなど)を搭載していました。特に、内外装のデザインには高い評価が集まり、当時の他の日本車とは一線を画す洗練された印象を与えました。

ソアラは登場当初は直列6気筒の2.8Lと2.0Lの2種類のエンジンを用意していましたが、後に3.0Lエンジンや、様々なスポーティ・モデルも展開し、走行性能にも優れていました。その後のレクサス・ブランドに繋がる高級車路線の先駆けとなり、後のトヨタの高級車ラインアップにも大きな影響を与えることになります。

2.9L DOHCエンジン