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■北京モーターショー2016で中国専用車アヴァンシアが登場

2016年(平成28)年5月4日、北京モーターショー2016で中国向けの新型「アヴァンシア」が公開された。上級SUVのアヴァンシアは、1999年から2003年に日本で販売、その後継続車は登場しなかったが、今回中国専売モデルとして登場した。

北京モーターショー2016で公開された「アヴァンシア」
北京モーターショー2016で公開された「アヴァンシア」

ワンランク上の快適性を追求した上級ワゴンのアヴァンシア

ホンダは、1990年代日本で起こったステーションワゴンブームの中で、他のモデルとは一味違うワンランク上の上級ワゴンとして、セダンのような高級感とワゴンの広い室内空間を融合した「アヴェンシア」を1999年に投入した。

ホンダ「アヴァンシア」
1999年にデビューした上級ワゴン、ホンダ「アヴァンシア」

米国生産のシビックのプラットフォームをベースに、4ドアにテールゲートを備えた高級感を意識させる流麗なスタイリング。最大の特長はゆとりの車室空間であり、後席は大人がゆったりできるスペースを確保し、さらに前席の中央に空間を持たせることで前後席間のウォークスルーができることだった。

パワートレインは、最高出力150ps/最大トルク21kgmの2.3L直4 VTECと4速AT、および215ps/27.7kgmの3.0L V6 VTECエンジンと5速ATの組み合わせが選べ、駆動方式はFFが基本だが、2.3L仕様にはリアルタイム4WDが設定された。また、前後ともダブルウィッシュボーン・サスペンションによって、高級セダン並みの乗り心地が実現された。

翌2000年2月には、力強い走りのV6エンジンを搭載し、大型化された前後バンパーとオーバーフェンダー、車高が上げられたサスペンション、大径タイヤ、ルーフレール等が装備された、クロスオーバーSUVのような雰囲気のV-4モデルが追加された。

しかし、スポーティなステーションワゴンブームの中で異彩を放った上級ワゴンのアヴァンシアだったが、やや大き過ぎたこともあり、市場では評価されずにわずか4年後の2003年に生産を終了してしまった。

中国でのSUVブームに対応してフラッグシップSUVアヴァンシアを投入

2016年5月のこの日、“北京モーターショー2016”において、ホンダと広州汽車の中国合弁である広州ホンダは、2代目となる新型SUV「アヴァンシア(中国名:冠道)」を初公開した。

中国は日本とは異なりセダン人気が依然高いが、2015年以降は世界的なSUV人気の影響で中国でもSUV人気が加速している。このようなSUV人気の高まりを受けて、モーターショーでもSUVの展示が増え、ホンダは中国のフラッグシップSUVとしてアヴァンシアを中国に投入することにしたのだ。

アヴァンシアは、中国人好みの厳ついフロントマスクで、初代同様に上質な走りと広々とした空間を実現。パワートレインは、最高出力261psを発揮する2.0L直4 DOHCターボエンジンと9速ATの組み合わせ、駆動方式は4WD。さらに、最新の安全支援技術“ホンダセンシング”の搭載もセールスポイントだった。

アヴァンシアは、中国市場に2016年第4四半期に発売。ホンダは、この時点で中国において100万台の販売を達成し、今後ハイブリッド車やターボエンジンを積極的に投入し、現地化をさらに加速させるという発表もあった。

ホンダのフラッグシップSUVとして存在感を示すアヴァンシア

この数年、中国での日本車販売は減速しているが、2000年頃までは好調に推移していた。当時の中国市場の乗用車ランキングトップを飾っていたのは、ブルーバードの流れを汲んだ日産「シルフィ」であり、続いてトヨタ「カローラ」と「カムリ」が上位を占めていた。

2代目日産「シルフィ」
2019年中国上海モーターショーで発表された2代目日産「シルフィ」。乗用車販売トップに輝いた
10代目トヨタ「カムリ」
北米や中国で人気の2017年発売の10代目トヨタ「カムリ」

一方のホンダは、「アコード」と「CR-V」を主力に製品競争力を高めることで、2020年には日本勢トップのトヨタに肉薄するまでになった。アヴァンシアは、2023年に3代目を発売して、ますます迫力あるスタイリングで注目を集め、2025年現在も中国のフラッグシップSUVとしてそれなりの存在感を示している。

CR-V
2017年にデビューし、人気を得た「CR-V」

シルフィやカムリ、アヴァンシァのように日本では比較的地味な存在で販売を終了しても、中国や他国で人気を獲得しているようなモデルが結構あるのだ。

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2020年頃まで順調だったホンダの中国事業は、売れ筋の「アコード」や「CR-V」の勢いが減速して、2024年には9年ぶりに100万台を割り、トヨタの1/3程度まで落ち込んでしまった。コスト競争やNEV(新エネルギー車)対応の遅れが、ここになって顕著になっているのかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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