GT-Rの走りを極めた集大成の2025モデル

2007年の誕生以来、GT-Rは毎年のように進化と深化を続けてきた。25年モデル(MY25)は「ファイナル……」と付かないが、事実上の最終版となるようだ。

エクステリア

最新の2025年モデル(MY25)も、エクステリアに関しては2024 年モデル(MY24 )を継承している。M24ではフロントバンパー、リヤバンパー、そしてリヤウイングの形状が見直され空気抵抗を増やさずダウンフォースを増加。最小回転半径は5.7m。

大掛かりな変更のあったMY24ですでにやりきった感もあったが、MY25では、これまで「NISMOスペシャルエディション」のみに与えられていた「高精度重量バランスエンジン部品」であるピストンリング、コンロッド、クランクシャフトが、ふたつの「Tスペック」にも採用されたのが注目すべきポイントだ。もはや説明の必要はないほど圧倒的な実力をもつVR38DETT型のスペックに変わりはないが、レスポンスとスムーズさがさらに向上し、トップエンドに掛けてより伸びやかに吹け上がるようになっている。

乗降性

新車外騒音規制対応の新構造マフラーの採用により、MY23以前に比べて音量は控えめになったものの、それでもアクセルを踏み込むと加速に合わせてサウンドが巧みに変化して、いかにも高性能車をドライブしているという高揚感をこれまでどおり味わわせてくれる。「プレミアムエディションTスペック」には、専用のカーボンセラミックブレーキやアルミ鍛造ホイールが標準装備され、サスペンションチューニングも専用となる。フロントホイールが標準モデルよりも太い10Jとなるため、拡幅とともにアウトレットダクトを備えた専用のフロントフェンダーが装着されている。

インストルメントパネル

超高性能スポーツカーながら、完全なる機能性重視のデザインではなくラグジュアリーな雰囲気とのバランスを重視している印象。レザーやバックスキン調素材の使い方もプレミアムカーを感じさせる仕立てだ。

「Tスペック」の「T」には、時代を牽引する「Trend Maker」と、しっかりと地面を捉え駆動する「Traction Master」のふたつの思いが込められている。専用の足まわりは引き締まっていながらもよく動き、まさしく路面にタイヤを上手く追従させて車体をぶれさせずフラットな姿勢を保つ。段差を乗り越えたときの衝撃もよく抑えられている。R35になってずっと指摘されていた乗り心地において、このモデルだけ快適で上質なドライブフィールが際立っている。軽快でスッキリとした回頭感もかつてなかったものだ。

居住性

当初のGT-Rは高性能だが乗せられているような感じと評されがちだったところ、徐々にその感覚は払拭され、最近のGT-Rは走りの精度と意のままに操れる感覚がどんどん高まってきたように感じている。刺激的でありながら不安なく高い性能を引き出して安定して走れて、そこに大きなドライビングプレジャーがあり、それがモデルイヤーごとに引き上げられてきた。集大成となるMY25は、GT-Rの最終章を飾るに相応しい、すばらしい仕上がりであった。

うれしい装備

MY25にも継続されている「Premium edition T-spec」はインテリアも特別な仕立て。グリーンを基調としたカラーをコーディネートし、ルーフはアルカンターラを張った上で刺繍を施す。
年次改良発表     24年3月14日 
月間販売台数      80台(24年6月~11月平均)
WLTCモード燃費  7.8km/ℓ

ラゲッジルーム

一方の「NISMO」は、MY25モデルにおける変更点はごく小さい。サーキットで記録を残すべく心血を注いだ走りは他のR35とは一線を画しており、派手な空力付加物の数々によるエアロダイナミクスの効果を、車速を増すにつれて高まっていくグリップ感やオンザレール感覚のコーナリングで体感できる。そんなMY25の価格は約1444万円〜3000万円超とさらに上がった。思えばR35の発売当初の777万円という価格がいかにバーゲンプライスだったことか。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.165「2025年 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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