”オプカン”のハイウェイテレーンが日本初登場

TOYO TIREの「OPEN COUNTRY」シリーズのようなSUV向けタイヤでは、得意とするステージをネーミングで表現する傾向がある。たとえば、ガチガチのオフロード志向のタイヤにはマッドテレーンの略称である”M/Tが名前に使われがちであるし、オンロードとオフロードのバランスを取ったタイプにはオールテレーンの略称である”A/T”というアルファベットが付けられることが多い。
ちなみに、トーヨーのSUV向けタイヤが『オプカン』という愛称で親しまれるようになった背景には、M/TとA/Tの中間的な性能を持つR/T(ラギッドテレーン)という新カテゴリーを生み出したことが大きい。オフロード性能をアピールするアグレッシブなトレッドデザインと日常使いでの性能をバランスさせたR/Tは、クロスオーバーSUVのムーブメントと合致したことで、一気に広まった。
そんなSUV向けタイヤのカテゴリーにおいて、もっとも舗装路向けのタイヤに使われるのが「H/T」というアルファベットだ。これがハイウェイテレーンの略称だと知れば、テクノロジーでのうんちくを聞かずとも、オンロードでの走りを得意としていることを理解できるだろう。
今回、試乗することになったオプカンの最新タイヤの名前は、「OPEN COUNTRY H/T II(オープンカントリー エイチティーツー)」。すなわち、ハイウェイテレーンであり、高速走行での快適性を重視した設計となっている。なお、商品名は”H/T II”となっているが、日本向けのオプカンとしてはハイウェイテレーンの投入は初めて。グローバルモデルとしてH/Tが設定されていた関係で、初登場ながら2世代目となっている。

2世代目であるから、ハイウェイテレーンとしての進化も遂げている。
M+S(マッド+スノー)タイヤとしての性能を示すブロックパターンながら、全サイズが「低車外音タイヤ」となっているのは、その一例。燃費性能に影響する転がり抵抗についても低減が図られ、一部のサイズは低燃費タイヤとして認められる性能を実現しているという。
耐摩耗性についても新しいアイデアが投入された。断面形状を工夫した「ディンプル付きワイドグルーブ」がその象徴で、摩耗が進んだときの排水性能に配慮したデザインとなっている。トレッドデザインにストレートグルーブが目立つのは静粛性を考慮したことを示している。
ファッション性についても新提案がある。
オプカンといえばホワイトレター(白いロゴ)で知られているが、H/T IIの一部サイズには古き良き時代を思わせるホワイトリボン(白い帯)をサイドウォールに入れた仕様が用意されている。オプカンらしいファッション性をオンロードメインで味わいたいというユーザーには打ってつけのニュータイヤといえる。
今回の試乗では、話題のホワイトリボンの入った165/60R15サイズを三菱デリカミニに履かせて、試すことができた。


オプカンの定番「R/T」と乗り比べてみた

オプカンのニューモデルであるH/T IIを味わうにしても、はたしてハイウェイテレーンが従来モデルとどのように違うのかは気になるところ。今回は、SUVにおけるカスタマイズの定番といえる「OPEN COUNTRY R/T(以下、オプカンR/T)」との比較によって、その違いや特徴を確認してみることにしよう。

まずはオプカンR/Tから味わってみた。もちろんサイズは同じ、クルマもデリカミニと同一条件での比較試乗だ。
ご存知のように、オプカンR/Tはオフロード走行への期待を高めるワイルドなトレッドパターンとなっており、高速走行に特化したタイヤではない。それでも100km/hオーバーで走ったからといってなんら不安なところはないし、高速走行からの急ブレーキでもタイヤがよじれてしまうような感触もない。カスタマイズの定番タイヤとしての人気も納得の、オールマイティな性能を有していることが確認できた。
正直、これほどオプカンR/Tにオンロード走行の高い満足度があるとなれば、「OPEN COUNTRY H/T II(以下、オプカンH/T2)」がどれほど舗装路性能に優れているのか期待が高まる。はたしてオプカンH/T2は、どんな走り味を実現しているのだろうか。
誤解を恐れず記してしまうと、オプカンH/T2の第一印象は「フツーのタイヤじゃん」というものだった。
ここでいう”フツー”というのは、舗装路向けのストリートラジアルのこと。この手のストリートラジアルというのは、多くが標準装着タイヤより少しスポーティで、なおかつ静粛性にも配慮した設計となっている。
オプカンH/T2は、SUV向けタイヤでありながら、そうしたストリートラジアルと同等の静粛性と高速安定性を有していることが確認できたというわけだ。オプカンR/Tの高速走行にも不満はなかったが、比べてしまうとオプカンH/T2の静粛性は際立っている。
視点を変えると、どこかクラシカルな雰囲気を持つホワイトリボンタイヤとしては期待以上の舗装路性能を持っていると表現できる。ファッション性重視で選んだからといって走りが犠牲になっていないタイヤということだ。
いずれにしても、高速道路を使ったロングツーリングをする機会が多いSUVオーナーであれば、静かで安定したタイヤを選ぶのが正解といえる。その意味で、オプカン・ファミリーの新メンバーである「OPEN COUNTRY H/T II」には大いに注目してほしい。

14インチから18インチまで全20サイズを設定

今回はデリカミニに履かせて試乗したが、「OPEN COUNTRY H/T II」のラインナップは155/65R14から225/55R18までの全20サイズのラインナップとなっている。
ホワイトリボン仕様が用意されるのは、155/65R14、165/65R15、165/60R15という軽自動車向けサイズのみで、ほかのラインナップの多くはホワイトレターが設定されているサイズが主流となっている。
さらに、205幅まではラウンドショルダーだが、215幅以上になるとSUV向けタイヤらしい迫力を強めたスクエアショルダー(リムプロテクター付き)となっているなど、サイズに応じて最適なデザインとなっている。
SUVらしいスタイリングを強調しながら、街乗り快適性や高速走行での安定性を求めるオーナーであれば、「OPEN COUNTRY H/T II」は見逃せないタイヤとなりそうだ。
「OPEN COUNTRY H/T II」設定サイズ
155/65R14 75H
165/65R15 81H
185/65R15 88H
165/60R15 77H
185/60R15 84H
215/70R16 100H
265/70R16 112H
195/65R16 92H
205/65R16 95H
225/65R17 102H
265/65R17 112H
195/60R17 90H
215/60R17 96H
225/60R17 99H
205/55R17 95H
225/60R18 100H
235/60R18 103H
265/60R18 110V
285/60R18 116V
225/55R18 98H
