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今日は何の日?■米国の最上級FFセダンであるアバロンをプロナードとして発売
2000(平成12)年5月7日、米国で開発・生産されたトヨタの最上級FFセダン「プロナード(米国名:アバロン2代目)」が発売された。アバロンは、1995年に誕生した米国におけるトヨタの最上級FFセダンだが、初代は日本でも車名アバロンで輸入販売されたが、2代目は日本ではプロナードと車名を変更して販売された。

米国のトヨタブランド最上級セダンのアバロン
アバロンは、米国におけるトヨタブランドの最上級セダンとして1994年に米国でデビューし、翌1995年には日本でも輸入車として販売された。開発は、米国TTC(トヨタ・テクニカル・センターUSA)で行ない、マンハッタン北米工場で生産された米国産モデルである。

「カムリ」ベースのプラットフォームを拡大して、全長4845×全幅1785×全高1435mmの堂々たるフルサイズボディで、後席はカムリやレクサスESよりも広い空間を確保。前席がベンチシートの6名乗り仕様(コラムシフト)と、セパレートシートの5名乗り(フロアシフト)の2種が用意された。


パワートレインは、最高出力200psを発揮する新設計の小型・軽量化したオールアルミ製3.0L V6 DOHCエンジンと4速ATの組み合わせのみ。

アバロンは、FFレイアウトを生かした広い室内が支持され、北米トヨタの旗艦セダンとしてその後2000年に2代目、2005年に3代目、2012年に4代目、そして米国では最終モデルとなる2018年の5代目へと進化を続けた。
2代目アバロンをプロナードと名乗り日本投入
2000年5月のこの日、アバロンが初めてのモデルチェンジで2代目に移行。日本に輸入されているアバロンは、これを機に車名がプロナードに変更された。

プロナードは、初代よりもさらに大きなボディとなり、初代同様FFパッケージを生かした広い室内と快適装備が特長。スタイリングは、トヨタがいうところのワンモーションキャビンで、ピラー底部の前後を広げて室内の広さを大きくし、大柄な人が乗車しても充分なクリアランスを確保していることをアピールした。


パワートレインは、パワーアップした最高出力215ps/最大トルク30.5kgmを発揮する3.0L V6 DOHCエンジンと電子制御4速ATの組み合わせ。またパワーステアリングには、車速によりステアリングの重さを自動制御する「新PPS(プログレッシブパワーステアリング)」が採用された。
さらに豪華仕様のGパッケージには、路面の状況や車速に合わせてショックアブソーバーの減衰力を自動制御する「スカイフックTEMS」が標準装備され、安全面では前席デュアル/サイドエアバッグはもちろん、ABS、トラクションコントロール、衝突安全ボディGOAなどを採用し、高級車らしい装備と安全機能が満載だった。

車両価格は、標準グレード315万円/Gパッケージ380万円に設定。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約368万円/444万円に相当する。

当時日本の高級セダン市場は縮小しており、プロナードは存在感を放つことなく1代限りで2004年に販売を終えた。3代目以降は、アバロンが日本へ投入されることはなかった。
FFはやはり高級車には向かないのか
プロナードが販売を終え、以降日本の高級車でFFレイアウトを採用したクルマは、セダンではないが「レクサスRX&NX」、セダンの「レクサスHS」ぐらいで、非常に少なく他には見当たらない。

FF高級車として注目されたのは、1985年にデビューしたホンダ「レジェンド」がある。ホンダには、伝統的に引き継がれているMM思想(マンマキシマム・メカミニマム)という考え方があり、広い室内や荷室空間を確保するためにはFFレイアウトを採用することが得策だったのだろう。
現在は合理的なスペース効率、すなわち居住性の観点からFF車が主流になってはいるが、高級車については、やはりFRと4WDが多い。かつて問題視されていたFFの機能的な課題は改善されているが、根本的にはステアリングフィールと振動について言えば、やはりFRに較べてFFが不利というのは否めない。
さらに、軽や大衆車がFFを採用していることもあり、FFは大衆車向き、FRは高くて高級車とスポーツ車向きというイメージが定着していることも、高級車でFFが採用されない要因となっている。
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米国も日本ほどではないが、最近はセダン人気が徐々に低下している。アバロンは、2023年に「クラウンクロスオーバー」の導入を受けて生産を終了し、現在はまだセダン人気が高い中国専売車になっている。比較的セダン人気が高い米国、欧州、中国も、少しずつSUV人気に押されているようだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。