ワイドレンジのトゥイーターでサウンドバランス向上
音の最終的な出口がスピーカー。いくらメインユニットの性能を上げていっても、出口の性能が高められなければ意味はない。だからこそ、スピーカー開発には燃え上がるような情熱が注がれるのである。
カロッツェリアのカスタムフィットスピーカーの開発には、あるエピソードがあった。開発に至るヒントとなったのは、担当設計者が休日にふと見かけた陸橋だったという。細い橋を地震が起きても倒れさせないように頑丈に支えているのは、柱を三角形に組んでいくトラス構造だ。ウーファーのポテンシャルを上げるにあたり、極めて高い強度のあるフレーム構造を研究。トラス構造が最も効果が高いことを確認しカロッツェリア独自のこの構造が生まれた。

中音域を拡大したトゥイーター、実質口径の拡大を図ったウーファー、そして新開発となるネットワークを備える。
また最大のポイントは、トゥイーターの守備範囲を拡大したこと。オープン&スムースが今回開発のコンセプトを基に、より幅広くボーカルなどの周波数域をを高位に定位させることで、音の滑らかなつながりと、ワイドな音場を実現した。単に特性改善だけでなく「良い音楽とは何か」という原点を突き詰めたものであり、それがサウンドとして心に沁みてくる製品に仕上がっていることを確信できるものだ。

効果の期待できるはじめの一歩がベース作り
良いサウンドを実現する中で、必須となるのが制振や防音だ。少し地味なだけに注目はされにくいが、必ず通るべき道であることは間違いない。そして効果がまた高いのも、この作業の特徴ではないだろうか。
「まるで高級車のオーディオみたい」というのが、オーディオテクニカのドアチューニングキットAT―AQ405を施工したトヨタ・アクアのオーディオを試聴してみた印象だ。この製品は、カーオーディオ用の制振材、吸音材、防音材をセットにしたキット。フロントドア内側に施工することで、オーディオの音質を一気に向上させることができる。

ドアチューニングの防音、制振、吸音の3つの対策用キットで、ドア2枚分の施工が可能。
多くの純正オーディオのサウンドがイマイチな原因は、スピーカーのマウント部分がしっかりしていないことで音を出しきれていないこと。このドアチューニングキットは、ドアのアウターパネルの内側とインナーパネルの制振、吸音、防音を行なえるトータルキットだ。専用工具不要でDIYでも施工が可能なものとなっている。

試聴したトヨタ・アクアは、純正のフルレンジスピーカーを採用しながらも、特にボーカルのニュアンス的な部分が明確化されるなど音の解像度が高まっていることが容易にわかる。これは微細なことではなく、おそらく誰もが理解できるだろう。施工後はこんなにもワイドレンジで安定した音が出せるのか、と驚いてしまうほどだ。このようにオーディオの性能アップには、音の出口となるベース部分をしっかりと仕立てることから始めるのが、ベストな対策であることを実感。