連載

バイクの法律

「泥はね運転違反」に問われ、反則金は5000円~

クルマやバイクが今ほど普及していなかった頃、地方はもちろん、都市部でも未舗装の道路は当たり前でした。未舗装の道路は路面が凸凹しており、雨が降った後は凹部に雨水が泥水化して滞留。水溜りの近くを歩いていると、クルマがはね上げた豪快な水しぶきを頭から被り、全身泥だらけになったという経験も珍しくありませんでした。

映画やドラマでも頻繁に描かれたこのシーンは、全国の道路が舗装されてゆく中、徐々に消滅。筆者の体験上、歩道を歩いていても、クルマやバイクに水しぶきをかけられることは極めて少なくなりました。

昨今の道路は水はけがよく、クルマやバイクで走行していても、深くて大きな水溜りにでくわすことはあまりありません。ただしトラックやダンプカーの往来が多く、路面がわだちになるなど傷んでいる道路。また、ゲリラ豪雨によって排水が間に合わない時などは、道路や路肩に池のような、深くて大きな水溜りができる場合があります。

もしもクルマやバイクで走行中、歩行者に雨水・泥水・雪などをかけてしまったら、「泥はね運転違反」の対象となります。なお、道路交通法第71条1号では、

「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること」

と制定。運転者の遵守事項として、クルマやバイクが歩行者に泥土・汚水などをかけないように努める義務が課せられています。

違反名:泥はね運転違反/違反点数:なし/反則金:5000円~

「泥はね運転違反」で検挙されると、反則金は大型車7000円、普通車6000円、二輪車6000円、原付5000円が課せられます。なお違反点数はありません。

泥はねや水はね運転は通常、警察官によって直接確認された場合(いわゆる現行犯)に即適用。被害者・他の運転者・他の歩行者等による目撃証言、また監視カメラの映像などにより確認された場合は、後日違反が適用されます。

水溜りを通過する場合、突然ハンドルを取られるなど危険を招く可能性あり

基本的に「泥はね運転違反」は、歩行者にケガをさせた等、余程悪質でない限り、直接確認されなければ反則金が科せられるケースは少ないのが実情。

とはいえ、クルマやバイクで深くて大きな水溜りを通過する場合、突如ハンドルを取られて挙動を崩すなど、危険を招く可能性大。特にバイクは転倒することもあり、単なる自損事故では済まない、大事故へとつながることがあります。

もしも誤って歩行者に泥水や水しぶきをかけてしまった場合は、安全な場所に車両を停め、素直に謝ること。誠意を持って対応しましょう。

歩行者の有無にかかわらず、できれば水溜りは避けて走行したいところ。どうしても避けられない場合は、水はねや泥はねが最小限に留まるよう、可能な限り速度を落として通過すること。「泥はね運転違反」を避けることで、自分自身はもちろん、他の道路利用者の安全も守ることができます。

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