新発売のCB650R・CBR650Rに採用されるホンダ・Eクラッチを簡単解説! 【動画・モトチャンプTV】

6月13日に発売されるホンダCB650R/CBR650Rには、クラッチを自動制御するHonda E-Clutchが設定される。このホンダEクラッチとはどのようなシステムで、どのような作動をするのか、改めて簡単に紹介しよう。
新発売されるホンダCB650R(写真)とCBR650Rに設定されるEクラッチ仕様とは?

2024年6月13日にホンダから新型CB650R/CBR650Rが発売される。両モデルは外装を一新するだけでなく、クラッチ操作を自動制御する「ホンダEクラッチ」を新設定したことが話題になっている。ではこの「Eクラッチ」とはどのようなシステムなのか、改めて紹介してみたい。

MT操作をより楽しめそうなホンダEクラッチを編集長のチャボが解説。

今回も例によってYOUTUBEで動画を無料配信しているモトチャンプTVの中に上がっている「【簡単解説】半クラも自動!? ホンダのEクラッチを簡単解説」という回をダイジェストにしている。解説は編集長のチャボが担当して、雑誌の読者だけでなく視聴者にもわかりやすく語ってくれている。詳しくはモトチャンプ3月号にも掲載されているので、併せて読んでいただくとより深く理解できるはずだ。

ホンダEクラッチの特徴

ホンダEクラッチノ操作をまとめたイラスト。

Eクラッチの操作はとても簡単。システムON時ならクラッチレバーを操作することなく、ライダーはシフトチェンジとアクセル・ブレーキ操作をするだけ。発進時はギアを1速に入れてスロットルを開けるだけで半クラッチから完全に繋がるところまで、システムが自動で行ってくれる。また停止する時も同様にブレーキ操作をしてマシンが完全に停止するとシステムはクラッチを完全に切ってくれる。

従来からあるシステムと比べたイラストで赤い部分がホンダEクラッチ。

ホンダには従来からDCT(デュアルクラッチ)や自動遠心クラッチなど、クラッチ操作が不要なシステムが存在する。それらと比べて今回登場したEクラッチは前述したようにクラッチ操作が不要なだけでなく、マニュアル車同様にクラッチレバーを使えるようにシステムをOFFにすることもできることが相違点。またDCTはシフトチェンジも自動で行うがEクラッチが自動になるのはクラッチ操作だけでシフトチェンジはライダーが行う必要がある。

システムの構成

ライダーの足元を邪魔しないサイズにまとまっている。

ホンダEクラッチは非常に小型なことも特徴。従来のクラッチを装備するモデルに追加して装備できるよう、システム自体をコンパクトな設計にしている。実装されたのが上写真のCB650Rで、クランクケース右にあるクラッチカバーの上へEクラッチを追加装備している。

システムには2つの小型モーターが収まっている。

システム内には2つの小型モーターが内蔵されているが、これはシステムを小型化するための手段。直径φ32mmという小型モーターでクラッチを自動制御してくれる。もちろんエンジン制御ECUが車速やスロットル開度、エンジン回転数やシフトポジションなどをセンサーから拾い、これらの情報をもとに最適なクラッチ制御をモーターに伝えるのだ。

エンジン側クラッチレバーを3分割している。

モーターからの駆動は3分割されたエンジン側クラッチレバーの中央部分に伝わる。上写真だと赤い部分で、ここが作動することでクラッチを最適な状態にコントロールしている。もちろんシステムOFF時には上の青い部分がライダーからの入力で作動して、クラッチを任意にコントロールするのは従来からのMT車同様だ。

上がシステムON時、下がシステムOFF時の画面表示。

一連のクラッチコントロールはモニターで管理している。上写真だと上側でグリーンに点灯している画面がシステムON時で、同じ部分が黒く表示される下側がシステムOFF時。通常だとシステムは自動でONになっているが、ライダーがクラッチレバーを操作することでシステムをOFFにできる。

画面左に最適なギアはさらに低いと黄色く表示される。

システムON時に走行中、例えば今のシフトポジションが適切でないとECUが判断すると画面左のように黄色い表示が現れシフトダウンを促してくれる。シフトチェンジ自体はライダーが操作するためで、ここがDCTと異なる点。DCTはシフトチェンジ自体をマシンが行ってくれるため、適切なギアでないと判断すれば自動でシフトダウンが行われる。だがEクラッチはライダーがシフトチェンジしなければならないため、このようにマシン側が情報で補ってくれるのだ。

Eクラッチの優れた点

小型シンプルなシステムのため今後採用車種が増えると予想される。

シフトチェンジをライダーがするEクラッチだが、クラッチ操作はマシンが行ってくれる。例えば1速や2速で細い路地などを走っているとしよう。このような場面だとクラッチを繋ぎっぱなしにするのは難しく、半クラッチを多用することになりライダーの疲労に繋がる。ところがEクラッチは半クラッチが必要だと判断すれば瞬時にクラッチを自動制御してくれる。そのためライダーはスロットルとブレーキ操作、マシンの安定などに専念できる。

さらに坂道発進する場合、ライダーはブレーキとスロットル操作だけで簡単に発進できる。自動で半クラッチから完全に繋がるまでをマシンが行ってくれるので、スロットルを開きながらブレーキをリリースすればマシンはスルスルと前進してくれる。

チャボは小型モデルにも採用してほしいと力説。

このようにホンダEクラッチはMT車の楽しい部分とクラッチ操作から解放してくれる安楽さを併せ持っている。チャボが言うようにMTとATのいいとこ取りな技術であり、ツーリングライダーだけでなくサーキット走行時においても優れた制御をしてくれる。またシステム自体は後から付け足すことができるように設計されているので、今後はCB650R/CBR650Rだけでなく、ほかのホンダ車にも順次設定されることだろう。モトチャンプとしてはぜひ小型モデルへの採用をお願いしたいと締めくくってくれた。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…