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エムファク三保田さんがチューンの楽しさを語る!
エムファクトリー代表 三保田さん
スクーターチューニングの世界で知らぬ人はいない、無段変速ビークルの求道者。生真面目なナイスミドル。結果にコミットしましょう!
スクーターマイスターの三保田さんに、スクーターチューニングの醍醐味についてお話ししてもらった。
「ひと言で言うと『イジれる楽しさ』がスクーターの駆動系チューンにはあります。純正/社外を問わず様々なパーツチョイスに始まって、無数にあるベストセッティングへのアプローチ、そして(良きにつけ悪しきにつけ)結果の体感のしやすさ。無段変速のCVT機構ならではのイジりやすさが、チューニングの楽しさの前提にあると思います。パーツが安価なのもうれしいですよね。
YAMAHA シグナスX(2型
歴代シグナスXの中でもチューニングの効果が体感しやすい1〜3型の中から今回は2型をチョイス。アフターパーツも豊富だ。
トライする上ではまず工具を揃えましょう。車種によって差はありますが、ケースを開けるためのドライバー、ボックスレンチ類、プーリーやクラッチを外すための専用工具であるプーリーホルダーなどが必要です。ただしまったく初めてであれば、詳しい知人やショップにレクチャーしてもらう方が失敗がなくて得策です。基礎をきちんと教えてもらった上で、チューニングを探求していくのは謎解きのようできっと愉快なはず。インターネットにもたくさんのヒントがあります。
BEFORE IMPRESSION
「こんなに遅かったっけ?と思うくらい、発進でモタついてしまってパワー感がない。いちばん力が出て欲しい60km/h前後で加速が鈍くなる。とにかく低中速がタルいわ~」
【CHECK!】交換したのはプーリーとクラッチシューのみ!
MFRプーリーⅡ 5025円
MFRクラッチ 6050円
駆動系はパーツを交換するだけでここまで変わる!という例として、MFR製プーリーとクラッチを用意。ノーセッティングで装着した。パワーが上がったその理由や製品に関する詳しい説明は次のページをCHECKせよ!
見た目ノーマルで7ps→8.9psに実用域では3psもアップ!
フルノーマル状態から「プーリー」と「クラッチ」をMFR製に換装すると……たった2つのパーツ交換だけで、ご覧の通りパワーカーブは一気に改善。ピークパワーの上昇もさることながら、実用域での高出力化が頼もしい!
AFTER IMPRESSION
「加速も最高速もまるっきり別モン!高回転でバシッと力強くクラッチミートするようになって、アクセル操作に対するツキがバツグンに良くなった。これならキビキビ走れるよ!」
「ライダーの体格や好みよって正解がひとつじゃないことも、作業していてきっと気づくと思います。悪戦苦闘しているうちに……あなたはきっとスクーターチューンの虜になっていることでしょう(三保田)」 チューンすることでメンテサイクルは必ず短くなる。そうしたリスクも知っておこう。
実走テストで再び検証0-50m加速テストby シグナスX(2型)
[0-50m加速タイム]
【BEFORE】5秒31(50m地点速度53km/h)→【AFTER】6秒00(50m地点速度49km/h
[最高速]
【BEFORE】107km/h→【AFTER】105km/h
信号待ちからのスタートや渋滞などのストップ&ゴー性能はストリートを気持ちよく走る上で重要な要素。そんな加速力の目安となる0-50mダッシュを計測。なぜ速くなったのか? シャシダイ結果と併せて探ってみましょう。
今さら聞けない?速さのナゾを徹底解説
理由その1:変速域が広がって加速と最高速の両方に効く!【ドライブプーリー】
ドライブプーリーを純正パーツから適正な社外製に換えることで、マシンの加速性能と最高速性能の両方を同時に引き上げることが可能になる。なので「まずはプーリーから」がチューニングにおけるセオリーだ。デメリットとしては常用回転数が上がるため、燃費が落ちることと、各パーツの耐久性が下がること。
【今回装着したアイテム】MFRプーリーⅡ/5025円 (問)エムファクトリー
ノーマルφ113mm/360gに対してMFR製はφ117mm/284gと、大径かつ軽量に仕上げられている。フェイス角は14°で同じ。WRは7gを推奨(別売)。
左がMFR製、右が純正プーリー。大径化することで変速域が広がり最高速アップが期待できる。
ウエイトローラー(WR)が移動する坂(溝)の傾斜具合や長さによって変速特性が変わる。マフラーを交換すれば最高速がさらにアップ!
理由その2 密着度が上がって加速に効く!【強化クラッチ】
クラッチを変えるメリットとして挙げられるのは、ミート力のアップ(滑りによるパワーロスを抑える)だ。今回装着したクラッチはノーマルより硬いスプリングが組まれており、クラッチミートの回転数を高くできる。4スト車の場合はトルクがあるので軽量化してもそれほど変化しない。最後の味付けといったメニューと覚えておこう。
【今回装着したアイテム】MFRクラッチ/6050円 問エムファクトリー
使用マテリアルを厳選することによって各部の剛性を引き上げるとともに、クラッチの密着度をアップさせて加速性能に貢献している。
シューの素材(これは食いつきの良いメタル配合)によって圧着力をアップさせる。
クラッチは2〜3個のクラッチシューが小さなスプリングによって引っ張られて固定されている。
駆動系の分解には専用工具が必要です
プーリーホルダーや大径のボックスレンチなど、普段のメンテナンスではほとんど使うことのない特殊なツールが必要になってくる。チューンに先立ってあらかじめ揃えておこう。
駆動系交換時のひと手間ポイント
【POINT1】ランププレートはヤスリで修正
ランププレートのエンド部分にはバリが残っていることが多いので、金ヤスリなどを使ってスムージングしておこう。
【POINT2】クラッチアウターは必ず清掃
アウターの中は走行距離に比例して徐々に汚れてくるので、パフォーマンス維持のためにも定期的なクリーンナップが大切になる。
【POINT3】ワッシャには裏と表があります
ドライブ側を固定するワッシャーには明確に表と裏がある。パーツをバラして再度組み込む際は、しっかり注意を払おう。
エムファクトリー
埼玉県越谷市川柳町1-2-17
☎048-987-0940 10:00~18:00(火曜日休み)
ダイノスター社製シャシダイによるパワーチェックも随時OK!