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全てが新設計された「スカウト」。今回デビューしたのは全5機種。左から順にSCOUT BOBBER、SCOUT CLASSIC、101 SCOUT、SPORT SCOUT、SUPER SCOUT。
7月11日に開催された発表会
羽田空港近くのおしゃれなカフェを会場にし、まずはメディア関係者を対象に開催された発表会。撮影会やトークショーとパーティ。そして翌日の先行試乗会を組み合わせた2日間の大イベントとなった。発表会ではポラリスジャパン株式会社の藤原裕史代表の挨拶に始まり、ミネソタ州ミネアポリスにあるUS本社から来日したGRANT BESTER副社長、チーフデザイナーのOLA STENEGARD、そして商品開発チームのKYLE GOEDEの3名が登壇し、熱のこもった開発話を披露した。
まずGRANT BESTER氏は、2011年にポラリスインダストリーズがインディアンブランドを買収し、オリジナルモデルをリリースしてから10年、右肩上がりのシェア拡大を続ける同ブランドの業績を披露。ユーザーはグローバル市場で今や20万人を超え、85カ国に600店を超えるディーラー網を構築。生産工場はアメリカ本国だけではなく、アジア(ベトナム)とヨーロッパ(ポーランド)にも設けられアメリカ以外での販売が40%に及ぶそう。オーナーイベントも積極的に開催され、カスタムを楽しむ人気にも支えられ、過去5年間で事業規模は倍に膨らんだ。こうした成長の牽引力となったのは、スカウトの人気が大きかった。特にアメリカ以外での人気は同ブランドの50%に及ぶと言う。
開発時のエピソード
新型スカウトに乗って登場したOLA STENEGARD氏はデザインについて解説。開発で大切にしているのは、なるべくシンプルなデザインをキープする。実はそれが難しい。例えばタンクやフェンダーデザインなどがそれで、そこにはカスタムのしやすさにも配慮しているからだと言う。今回の開発には、ユーザーの声を徹底的に調査してスタート、革新ではなく、進化をもたらすことに注力。全てを一新したがスカウトらしさは大切にした。
まずエンジンは完全に新設計。クレイモデルを削って細部まで美しさを追求しクリーンに仕上げた。これをベースに車体のデザインへ移行。離れたところから見た第一印象を大切にし、一目でスカウトであることがわかる「それらしい」デザインにこだわった。タンクからのなだらかなラインは往年のスカウトをモチーフにし、それは他のモデルにも生かされている。またクレイを使って手作業で仕上げていく古典的手法を大切にした。CAD頼りよりプロトタイプを前に肌で実物を感じながら丁寧に仕上げていくことを大切にしたそう。
気持ちとしては50年代前後のアメリカ(の雰囲気)を感にさせるデザインを採用し、徐々に洗練化し今回の5バリエーションに昇華した。仕上げ精度の高さにインディアンのクラフトマンシップを感じられると思う。と、熱く語ってくれた。
10年ぶりのフルモデルチェンジは、外観デザインはもちろん、フレーム等の車体関係から60度Vツインエンジンまで全てを一新、大きな進化を果たしている。
クラフトマンシップに則った手作業を大切にし、じっくりと手間暇かけて開発された。
クレイモデル制作を経て外観の造形も全てが一新されている。水冷の横置きVツイン。バンク角の60度と気筒当たり4バルブDOHCの基本構造は踏襲されている。
最後にプロダクトマネージャーのKYLE GOEDE氏が語る。開発にはスタイルの作り込みとライダーと一体化することに注力。スカウトを進化させることでさらに人気を高めることを狙った。象徴的なアメリカンスタイルにこだわり、美しいフレームの中にラジエターをコンパクトに納めた。どこを見ても手を抜かない仕上げを果たしたと強調する。今回5機種をリリースしたが、近い将来6機種目の新型も準備しているそう。低めのシートが基本。しかしそのライディングポジションはハンドルやステップの組み合わせで30種を超えるカスタム、つまり自分好みに変えられる。また優れたメンテナンス性も追求。そしてフラットな出力特性は、ライダーが予測のできる扱いやすいレスポンスを誇る。その一方でスポーツモードを楽しむことも可能としている。また5機種それぞれ、キャラクターに合わせた機能的な作り込みを果たす。カラーリングも豊富に揃えられていると言う。