ショットガン650試乗記|排気量650ccの空冷エンジン=味わい深い走りが楽しめる。バリエーション大充実のロイヤルエンフィールド

SUPER METEOR 650の登場から約1年。ミドルクラスのグローバルマーケットで確かな人気を獲得していることで知られるロイヤルエンフィールドから新機種が追加投入され2024年7月24日に御殿場高原ホテルにおいて発表試乗会が開催された。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ピーシーアイ株式会社

ロイヤルエンフィールド・SHOTGUN 650…….974,600円(消費税10%込み)〜

SHOTGUN 650 Premium Stencil White…….1,015,300円(消費税10%込み)

カラーバリエーション

SHOTGUN 650 Base Sheet Metal Grey
…….974,600円(消費税10%込み)
SHOTGUN 650 Mid Plasma Blue…….995,500円(消費税10%込み)
SHOTGUN 650 Mid Drill Green…….995,500円(消費税10%込み)

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ショットガン650開発の基本となったカスタムモデル。

エンジンやフレームは基本的にスーパーメテオと共通。

今回デビューしたのは「SHOTGUN 650」。ご覧の通りフレームや搭載エンジンは、先に登場しているスーパーメテオ650がベースとなっている。
ショットガン650は「カスタムのためのカスタム」を謳う新機種として追加投入。クルーザーよりは、スポーティなキャラクターを加味したモデルに仕上げられている。
フト頭に浮かんだのは、クルーザーのスーパーメテオを購入したオーナーが、ある程度その乗り味を楽しんだ後に、チョットスポーティな仕様にカスタムしたいと考える。そんな時に相応しい要素が巧みに盛り込まれたモデルがショットガンなのではないか。
実際のところは、数年前にカスタム車として提案されたモデルのひとつが具現化されたもの。スリムながら筋肉質なシルエットを誇るスポーツバイクに仕上げられている。
全体的に丸い膨らみのあるデザインが採用されたスーパーメテオはオーソドックスなティアドロップタンクを備えていたが、ショットガンはオリジナルの新型タンクに換装。タンク容量はスーパーメテオの15.7から13.8Lへ小さくなった。
左右サイドカバーも一新され、見た目の印象としては同社のトラディショナルスポーツであるINT650やそれをベースにカフェレーサースタイルを取り入れたコンチネンタルGT650に近く、両車に寄せた雰囲気が感じられるのである。
これら4機種の標準車はどれも100万円を切る価格設定で、基本的に共通の650cc空冷ツインエンジンを搭載。同クラスのバリエーションが充実されたことは、ミドルクラス人気の高さを物語る。中でもショットガンは日本市場の今後を担う起爆剤としての役割に期待されていると言う。

クラシカルな雰囲気を醸す鋼管スチールパイプフレームは、鋳造や鍛造パーツを組みあわせたバックボーン式。そこに同社のフラッグシップである空冷SOHC 8バルブの直(並)列2気筒648ccエンジンをリジッドマウント。クランクケース前方を吊るダウンチューブがボルトオンされ、そこにはオイルクーラーがセットされている。
潤滑方式はウェットサンプだが、要所へはオイルを圧送する仕組み。ボア・ストロークはほぼスクエア(僅かにショートストローク)なタイプ。センターカムチェーンで駆動される1本の頭上カムシャフトからローラーロッカーアームを介して気筒当たり4バルブが駆動される仕組み。
クランクケース左側にはダイナモ、右側には湿式多板クラッチをレイアウト。チェーン駆動用のドライブスプロケットは左側に出されている。スペックはスーパーメテオと共通だが、後端が少し撥ね上げられてフィニッシュするツインマフラーや、エンジンは全てがブラックアウトされ、クランクケースカバーやシリンダーヘッドカバーは艶のあるピアノブラック仕上げ。      
スーパーメテオの場合は、アルミ地を活かしたシリンダーヘッドと、クロームメッキ仕上げの排気系に、左右クランクケースカバーとシリンダーヘッドカバーが艶消しのマットブラックに仕上げられ明確に差別化されている。
倒立式のフロントフォークはSHOWA製セパレートファンクションのテレスコピック式で基本的に共通ながら、前輪はスーパーメテオの19インチに対して、ショットガンは18インチサイズを採用。三叉の上下ブラケットもオリジナルの手法を採用。フォークを掴む部分はフォークに対して直角ではなく斜め(地面に対して水平)となる独自のデザインを採用。
LED式ヘッドランプ部やメーター、そしてハンドルも専用設計で一新されている。当然フットレストもクルーザーモデルとしてクランクケースの前端付近に位置し、足を投げ出すようにしていたスーパーメテオに対して、ショットガンはクランクケース脇まで後退した位置にセット。シート高も高めに設定さた点が両者に大きな違いを産み出しているわけだ。
また後輪はスーパーメテオの80扁平16インチサイズからショットガンは70扁平の17インチへ変更。そしてユニークなのは、ボルトオンで脱着可能なリアフレームを備え、後席クッションはキーロック操作で簡単に脱着可能。外せば堅牢なキャリアとしても使える仕組みが採用されている。
さらに、純正アクセサリーやアパレル等の用品が豊富に揃えられており、自分好みのスタイルや機能を組み込み、カスタムを楽しむベースモデルとなる素材としての魅力も備えられているのが印象深い。

純正のアクセサリーパーツが豊富に揃えられている。

穏やかながらパフォーマンスは十分。

試乗車を受けとるといかにも“鉄馬”をイメージさせられる、ズッシリとした手応えを覚える。スーパーメテオより軽量化されたとは言え車重は240kgもあるだけに、ある意味納得の重量感ではある。
また樹脂パーツの少ない造りは懐かしい。車体を引き起こす動作、ステアリングを操舵する動き、車体を取り回す時などの感覚に重量級モデルを扱うような重厚感があり、それは650ミドルクラスよりさらに上級のバイクを彷彿とさせる。
各部品の組み付けもゆったりとデザインされており、シートもワイド。車体もそれなりに厚みがあり、諸々の挙動には重さ故の落ち着きが伴う。
先程「懐かしい」と記したが、ふと半世紀以上前に当時国産最大排気量のバイクだったカワサキ650 W1に初乗りした時の誇らしげな気持ちが頭に蘇った。

さて、スーパーメテオとの明確な違いは前後ホイールサイズとライディングポジションにあるが、ショットガンはスポーツバイクとして標準的な姿勢で乗れる。
スポーツの度合いを上体の前傾具合やステップの位置で推し量ることがあるが、ショットガンの場合は、あくまでスタンード。上体はほぼ垂直に立ち、両腕や手首、そして膝の曲がりもゆったりと乗れる。
スーパーメテオは両手両足を前方に投げ出すように、あくまで寛ぎの姿勢で楽に乗るが、ショットガンの場合は、時として積極的なライディングにも対応しやすいのが特徴。
感覚的な話で恐縮だが、積極果敢な操縦を楽しむほどにスポーツ性が追及されているわけだはないが、スポーツバイクとしての基本の姿を備え、峠道を駆け抜けるようなシーンで、時にスポーティな走りも許容し身構えてくれている感じなのである。
実際、交差点でのタイトなターンやワインディングでも車体の傾きに伴って素直に向きを変えて行ける感覚はスムーズで気持ち良い。ステアリングの切れ角が33度と小さめなのでUターンなどで切れ角不足を感じるが、一般的な扱いで不便を感じることはそれほど多くはないだろう。 

エンジンは排気音も含めて全体的に穏やかな印象。実用域でのトルクが十分に太いので、非力感は全くない。クラッチミートする初期段階から十分に粘り強い出力特性が生きて扱いやすいし、加速力も十分。
スロットルを大きく開けて行けば、強かなポテンシャルを発揮できるが、雰囲気としてはドッシリと落ち付きのある心地よい乗り味を楽しむのに向いている。
エンジンの回転自体は軽快な吹き上がりを発揮することもできるが、伸びを期待するような走り方をすると頭打ち(レブリミットが作動)となる。大人びた豊かな走りを堪能するに相応しい特性なのである。
トップギヤの80km/hクルージングで、ハンドルに微振動が発生する点が少し気になったが、座り心地の良いシートと見晴らしの良いライディングポジションで、一般的な舗装路ツーリングを快適にこなせる仕上がりは好感触。
操縦性も素直で扱いやすいし、ブレーキもそれなりの握力と踏力が要求されるが、制動力に不満は感じられなかった。
少しワイドな車体やドッシリとした安定感はタンデムライディングにも良さそう。気ままに快走するスポーツツアラーとしての仕上がりには、なかなかの魅力を覚えた。

足つき性チェック(ライダー身長168cm/体重52kg)

ご覧のとおり、両足の踵は少し浮いている。シート高は797mm。それほど高い印象はないが、サイドカバーの厚みなど、車体の幅が少しワイドに感じられる。両足を自然におろすと、ステップは脛の前方に位置する。ゆったっり乗れる標準的なスタイルと言える。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…