街乗りにジャストなサイズ! カワサキ『W』の血脈を継ぐ232ccモデル、「W230」が新登場

カワサキが放つクラシックモデルの血統「W」シリーズの末弟として、かねてからアナウンスされていた「W230」が11月20日(水)に発売される。兄弟車「MEGURO S1」との同時リリースで話題的には影に隠れた印象だが、MEGURO S1より7万7000円安い64万3500円で同じスペックに乗れるというのは、かなりお得といえそうだ。ボディカラーは写真のパールアイボリー×エボニーのほか、メタリックオーシャンブルー×エボニーが用意される。


REPORT&PHOTO●川島秀俊
手軽に楽しめる250ccクラスに、カワサキから「W230」がニューラインアップ! クラシックモデルとして細部までこだわっており、造形や特性にこだわったエンジン、ワイヤースポークホイール、前後のスチール製フェンダーなど、古き佳きテイストを現代のテクノロジーで具現化。143kgという軽量な車体も、扱いやすさに貢献している。

本格的なクラシックスタイルを250ccクラスで味わえるファン待望の旧車ルックを貫いた空冷シングル

オートバイの趣味趣向は人それぞれあり、スペックを追求したりスタイリングであったり、実用性や維持費の問題……さまざまな要因から愛車候補を絞り込んで購入に至る。今回カワサキから発売されるW230は、見てスグに分かるクラシックスタイルのネイキッドモデル。カワサキ伝統の「W」というネーミングを冠するだけあり、細部までファンを満足させるべく作り込まれているのが特徴だ。雰囲気からクラシック志向のユーザー向けと思われそうだが、中身はバイクライフの本質を追求しており、幅広いユーザーへおすすめできる車両となっている。

まずはスタイリングを左右する重要ポイントを見てみよう。丸目ネイキッドなら何でもクラシックなのかというと、そうではない。フレーム構造、サスペンション形式、前後ホイール、外装パーツの質感など、あらゆる部品構成が車両のイメージを作り上げていく。たとえば旧車の定番といえるスポークメッシュホイールなどは、生産性や剛性を重視すればキャストホイールが当たり前ではあるが、あえて採用するという英断。前後フェンダーも軽量でコスト的にも優れる樹脂製にはせず、スチールフェンダーにタンクと同様の塗装を施して質感を重視している。メーターも液晶ディスプレイが全盛の時代に、アナログ二眼でレトロ感を追求。キャブレター車時代の旧車を好む人が、現代のインジェクション車で納得するスタイルに仕上がっているのだ。

気軽に安心して乗れるインジェクション車で空冷シングルの味わい深さを追求!

W230は見た目だけではなく、乗り味についてもとことんこだわっている。エンジンはKLX230系の空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒をベースにしながら、重めのフライホイールを採用することで穏やかかつ粘りのあるフィーリングに設定。低回転域でもエンジン回転を安定させるECUセッティングを施し、停止状態からの加速やUターン時のスムーズなスロットルレスポンスを実現する。

エンジンといえば外観もクラシックテイストにリファインしており、曲面を多用したクランクケース、丸みを帯びた大型フィンを装備するシリンダーヘッド、右側へスラリとエキゾーストパイプをレイアウトする排気ポートなど、「W」のイメージに沿って細部までこだわっているのだ。マフラーも純正でステンレス製キャブトンタイプを装備しており、仕上げにバフがけするという高品質なもの。加速時やパーシャルでのサウンドにこだわったチューニングが施されているので、カスタム志向の人もノーマルで満足できそうだ。

そして、特筆すべきなのはわずか143kgという車両重量! 125ccクラスに迫る軽さは走行性能や取り回しなどのすべてに恩恵があり、ビギナーからダウンサイジングを検討するベテランライダーまで、誰もが気軽に乗れるというメリットがある。

近年は維持費の安い125ccクラスの人気が高く、リターンライダー増加の呼水になっている。実際に走り出せば、オートバイのスペックよりもツーリングすること自体の魅力を再発見でき、大人の趣味としてバイクライフを楽しんでいるようだ。ただ、125cc以下は高速道路が利用できず、どうしても時間的な行動範囲が限られてしまう。125ccクラスの不満を解消しつつ、同等以上の扱いやすさがあり、しかも所有感を満たしてくれるW230の登場は、125ccクラスからのステップアップにも最適な車種といえるだろう。旅先のスナップに映えるW230は、きっと素敵な相棒になってくれる。

水平基調のクラシカルなシルエットは、時代を超越して愛される存在。流行に左右されることなく、いつまでもバイクライフを彩ってくれそうだ。目先のスペックを追い求めず、スマートなSOHCヘッドの空冷エンジンを搭載したことに開発者のセンスを感じさせる。
KLX230と同系統の空冷SOHC2バルブ単気筒エンジンをベースに、右側へエキゾーストパイプをレイアウトする専用ヘッドを採用。丸みを持たせた大型の空冷フィン、美しい曲面のクランクケースカバーなど、W230に合わせて造形美にこだわる。出力特性は低回転域から扱いやすいフラットなトルク特性だ。
トラディショナルなスタイルにマッチする、大型の丸型ウインカーを採用。ヘッドライトは上下にロー/ハイを分割したLED仕様だが、どちらにもポジションランプを装備することで分割点灯してもライト全体が光っているように見える。
ブレーキはフロントφ265mmシングルディスクとデュアルピストンキャリパー、リヤφ220mmディスクとシングルピストンキャリパーで十分なストッピングパワーを確保。搭載するABSは前後ホイールにセンサーを配置して常時監視している。
マフラーはステンレス製のキャブトンタイプで、表面はバフがけされるというこだわりの仕上げ。O2センサーやセカンダリーエアチャンバーを見えない裏側へレイアウトし、流麗なシルエットに貢献する。
大型のテールランプをクラシックなライトステーでスチールフェンダーにマウント。無理に現代風へアレンジせず、往年のカワサキ車を彷彿させるデザインが安心感を与える。
W230(右)の兄弟車として同時にリリースされるMEGURO S1(左)。ブランディングを変えたカスタムモデルで、車体各部のデザインが異なっている。ここからはW230独自のポイントを見てみよう。
タンク形状はMEGURO S1と同じで、独自の立体型「W」エンブレムを装着。純正オプションのニーパッド(1万6500円)を追加すれば、よりクラシック感が追求できる。
メーターは見やすいアナログ二眼タイプ。アイコニックな「W」のロゴが入るブラック基調で、クラシックな雰囲気にマッチする。左側の液晶ディスプレイは雰囲気を崩さない最小限のサイズで、オドメーター、トリップメーター、時計を切り替えて表示できる。
シートはトップ部分にワディングパターンを施しつつ、サイド面とパイピングにホワイトのアクセントプラス。MEGURO S1のシンプルなシートとは対照的なデザインだ。シート高の5mm差は、このワディングパターンの凹凸と考えられる。
撮影時には用意されなかった別カラーのメタリックオーシャンブルー×エボニー。深い色味とメッキパーツのコントラストが美しい。シートは全面ブラックなので、よりアダルトな印象を受ける。

主要諸元

全長:2,125mm
全幅:800mm
全高:1,090mm
シート高:745mm
乗車定員:2人
排気量:232cc
車両重量:143kg
エンジン:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
最高出力:13kW (18ps)/7,000rpm
最大トルク:18Nm(1.8kgf・m)/5,800rpm
トランスミッション:6速リターン式
フューエルタンク:11L
ブレーキ:前 ディスク、後 ディスク
タイヤサイズ:前 90/90-18M/C 51S、後 110/90-17M/C 60S
メーカー希望小売価格(消費税10%を含む):643,500円

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