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63歳のNzlライダーが世界最速となる実話をもとにしたドラマ・フィルム
アメリカ最古のインディアン・モーターサイクルは、2011年にポラリスインダストリーズが買収し、復活を遂げました。映画「世界最速のインディアン」国内上映の2007年当時は、それが結びつかなかったこともあり、興行的に爆発的な成功はしませんでしたが、映画を知るライダーの評価は、今も高い作品の一つです。
映画は1960年代、アンソニー・ホプキンス演じる主人公バート・マンローがニュージーランドの田舎町インバーカーギルから渡米。ユタ州ボンネビル・ソルトフラッツで開催される「ボンネビル・スピードウイーク」に出場し、世界最速の記録を打ち立てるまでを描いています。
実際のバート・マンローは1920年製インディアン・スタウトで1962年に初挑戦。時速178.971マイル(約288km/h)で最高速記録を樹立。その後も1967年に時速183.586マイル(約295km/h)で最高速記録を塗り替えるなど数々の記録を打ち立てながら、10年間参戦し続けました。
60歳を超える高齢のライダーが、これまた高年式のマシンを使って、まるで思い付きのように生まれて初めて海を渡り、レース・レギュレーションもよくわからないままひたすら夢を追い続ける。映画では、老齢に入ったマンローをホプキンスが実に人間臭くユーモラスに演じ、彼を支える少し変わった人々との交流が暖かく描かれています。
ボンネビル・スピードウイークはひたすら“直線番長”を競うレースですが、映画で描かれているのは、記録を打ち立てるまでの人生でいかに情熱を燃やし続け、困難をユーモアで乗り切るか、という人生後半の時間の過ごし方です。
記録を作った1920年代モデルの系譜、現代のインディアン・スカウトも実車展示
監督のロジャー・ドナルドソンは1970年代、主人公バート・マンロー本人のドキュメンタリー映画を製作しています。この映画の日本上映で彼は、マンローの乗るインディアン・スタウトのことを、こう話しています。
「世界最速記録を出したというインディアンのバイクも見せてもらったんだが、50マイル(時速80キロ)も出そうもない、見るからにポンコツなバイクだった(笑)」(映画.com/佐藤睦雄)
このインディアン・スカウトは現代でも生産されています。プレミアム上映日の8月19日には、シアター入り口に進化した最新のスカウトが展示されます。