1800ccは無駄に大きなエンジン? いやいや、R-18はBMW の古くて真新しい提案である。

BMW Motorradからビッグ・クルーザーが新登場。新開発された1.8Lのボクサーツインエンジンは、見るからに巨大である。大きく重厚な車体に跨り、溢れんばかりのビッグトルクを体感する走りはバイクのイメージを変えてくれる程の驚きがありそう。そのパフォーマンスがとても贅沢な乗り味を楽しませてくれることは間違いない。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ビー・エム・ダブリュー 株式会社

※2020年12月10日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

BMW Motorrad・R-18 First Edition
丸型ランプハウスを始め、反射鏡とレンズカットはオーソドックスなデザインに仕上げられているが、光源はもちろんLED方式が採用されている。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
寝かされたフロントフォークのデザインやスポークホイールの採用がどこか懐かしい雰囲気。ブラックリムサイズは、3.50の19インチ。φ300mmのダブルディスクブレーキには対向4ピストン油圧キャリパーを装備。個性的なオリジナルのクロームメッキカバーで化粧されている。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
何度見ても驚きの大きさ。First Editionならではのクロームメッキパーツで化粧されたクランク縦置きの水平対向ツイン。1.8Lの巨大なパワーユニット。その迫力は見る者を圧倒する。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
シフトペダルはシーソー式。写真(後ろ側)のペダルを踏み込む事でシフトアップする。上のレバーはバック操作用、後退時の動力はセルモーターが活用されている。12Vアクセサリー電源(DIN端子)も装備されている。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
フィッシュテールでフィニッシュする、こだわりの造形を誇るマフラーデザイン。そのチャンバー・ボリュームの大きさも印象深い。真横から眺めるとリヤリジットにも見えるが、スチールのダブルスイングアーム方式で、シート下の見えない位置にモノショックが採用されている。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
16インチのスポークホイール左側にはφ300mmのシングルディスクブレーキに対向4ピストン油圧キャリパーを装備。ドライブシャフトは右側にレイアウトされている。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
お気づきだろうか? どこかスッキリとしたハンドルまわり。実は左右にある各種スイッチやグリップヒーター用のワーヤーハーネス(配線)はハンドルパイプ内を通されている。往年のバイクでは珍しくなかったそんな手法が改めて新鮮かつ上質に見える。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
ハンドル左側スイッチは下から順に赤いホーン、ウインカー、メーター表示を切り替えられるメニュー、そしてASC(オートマチック・スタビリティ・コントロール)をキャンセルするOFFスイッチ。向こう側には人指し指で扱うディマー&パッシングスイッチ。右列赤いのがハザードスイッチ、そして黒いのが走行モード切り替えスイッチ。RAIN、ROLL、ROCK(フルパワー)の選択ができる。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
ハンドル右側スイッチは縦に並ぶ三つ。下から順に赤いのがエンジンキルスイッチ&始動用セルスタータースイッチ。黒いボタンはイグニッションのON/OFFスイッチ(鍵はスマートキー方式)。そして一番上はグリップヒーターのスイッチ。暖かさは強中弱の3段階から選択できる。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
シンプルなシングルメーターを採用。200km/hフルスケールのアナログ式。四角い液晶ディスプレイには、モードを切り替えることで、様々な情報表示が選択できる。撮影時は、デジタル表示のタコメーターが表示される状態。走行モードのROLLとギヤポジションのN(ニュートラル)も表示されている。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
イグニッションキーはスマートキー方式が採用されている。ご覧のキーを身につけていればハンドル右側のボタン操作でイグニッションのON/OFFができる。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
裏側に折り曲げ収納されている機械式の鍵はプッシュボタンを押すと、クルン!と跳ね出てくる。燃料タンクキャップやステアリングロックの施錠、解錠にはこれを使用する。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
グンと低くワイドデザインのフロントシートとリヤフェンダー上につながる後席。シートクッションはダブルステッチで上質な仕上がりが印象深い。いずれも固定式なので、簡単に脱着できるタイプではない。
BMW Motorrad・R-18 First Edition
黒いフェンダーにホワイトのダブルピンストライプが懐かしく、如何にもBMWらしい。テールとウインカー、そしてストップランプの機能を巧みに発揮するこだわりのLEDランプ。

主要諸元

エンジン型式:空油冷4ストローク水平対向2気筒(ボクサーエンジン)
内径 x 行程:107.1 mm× 100 mm
総排気量:1,802 cc
最高出力:67 kW / 4,750 rpm
最大トルク:158 Nm / 3,000 rpm
圧縮比:9.6 :1
燃料供給方式:燃料噴射式。電子制御エンジンマネージメントシステム(BMS-K)
点火方式:ツインスパークイグニッション(BMS-O)

最高速度:180 km/h以上
燃料消費率:17.9 km/L(WMTC)
バッテリー:12 V / 26 Ah、メンテナンスフリー

クラッチ:乾式単板
トランスミッション:常時噛合い式6速、独立型トランスミッションケース
駆動方式:シャフトドライブ
フレーム:ダブルクレードルスチールフレーム、アンダービームはボルトオン
サスペンション(前/後):テレスコピックフォーク/スチールダブルスイングアーム、モノショック
ホイールトラベル(前/後):120 mm / 90 mm
ホイール(前/後):3.50-19スポークホイール / 5.00-16スポークホイール
タイヤ(前/後):120/70 R-19 / 180/65 B-16
ブレーキ(前/後):φ300 mmダブルディスク 対向4ピストンキャリパー / φ300 mmシングルディスク 対向4ピストンキャリパー、BMW Motorrad パーシャリーインテグラルABS
キャスター:150 mm
ステアリングヘッド角度:57.3°
燃料タンク容量:16.0 L
リザーブ容量:約4.0 L

全長:2,465 mm
全幅(ミラーを含む):950 mm
全高(ミラーを除く):1,130 mm
軸距:1,725 mm
シート高:690 mm
車両重量:345 kg
許容車両総重量:560 kg

試乗後の一言!

BMW Motorrad・R-18 First Edition
近田茂
悠然と、なにものにも変えがたい豊かな乗り味に独壇場の魅力を覚えた。

キーワードで検索する

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…