DUCATI Team KAGAYAMAがついに走り出した。2月26日(月)・27日(火)に三重県・鈴鹿サーキットで開幕戦鈴鹿2&4レース(3月10日決勝)に向けた事前テストが行われ、ドゥカティファクトリー仕様のPanigale V4Rをシェイクダウンした。
初日は前日に降った雨の影響で路面が濡れていたこともあり、コンディションが回復するのを待ってからライダーの水野涼は慎重にコースインしていく。
「涼がドゥカティでピットアウトしていった瞬間は感激した。これまで睡眠時間を削って奔走したことが少し報われた気がしたね。本当にギリギリ間に合った。カウルは、今回から合流したエンジニアのエイドリアンがフィリップアイランドから手荷物で持ってきてくれたし、ホイールは初日の夕方に届いたので、初日は1本のみで、2日目からようやく2、3セットをまわせる状態になっていた」とチーム代表兼監督の加賀山就臣。
本当は、今回のテストの前に、一度、走らせておきたかったが、パーツのデリバリーがギリギリとなってしまい本当のシェイクダウンになっていた。初めて日本でドゥカティファクトリー仕様のPanigale V4Rを走らせることもあり、各機能の動作確認を行っていった。チームスタッフも、やや緊張していた。チーフメカニックの斉藤雅彦と今年から加わった平湯恵介がイタリアでスクーリングを受けてきた。2人ともベテランメカニックだがサーキットでPanigale V4Rのファクトリーマシンを走らせるのは初めてのことだけに手探りの部分もあった。そんな中、今シーズン、ECUエンジニアとしてチームに帯同するエイドリアン・モンティの存在が大きかったという。
「エイドリアンはドゥカティことを理解しているので、ECUだけではなく、いろいろ教えてくれるので助かった。スクーリングの続きみたいな部分もあったね」と加賀山。ファクトリーマシンを走らせる条件の中には、ドゥカティの資格を持ったエンジニアをつけなければならないが、チームの誰よりもマシンを知っている人間がいるのは心強いところだ。
今回の鈴鹿テストは、まだ2月ということもあり、気温は低く、当然路面温度も上がらない。さらに冷たい風も強く転倒者も多かった。そんなコンディションの中、マシンのことを学びながら水野は徐々にペースを上げていった。
2日間のベストタイムは2分07秒274で総合4番手。トップの中須賀克行からは1秒145遅れだったが、マシンセットはほとんど変えずに、極寒のコンディションでの初ライドは上々だったと言えるだろう。
「今回はマシンの動作確認をしつつ、ベースセットを作っていくことを目的にしていました。寒かったのでセットアップも進まなかったですし、走っていてもHondaのライン取りが抜けていないにも関わらず、タイムも順位も意外によかったので驚いています。やはりポテンシャルは高いと思いますし、これからマシンセットをどこまで詰めていけるかが楽しみです。転倒もトラブルもなく終えることができたので、いい初テストになりました」と水野。
「またがってみるとタンクが小さく、シートが大きいと思いましたね。今回は、イタリアから持ってきたままの状態で走って、ドゥカティというバイクがどうゆうものなのかを感じようと思い、ポジションもいじりませんでした。これから自分好みに変えていこうと思っています。あとバイクの取り回しが軽く感じますね。ウイングは、まだ効果を感じるところまで行っていないですね。ベストタイムを出したときは、セクター4で引っかかってしまい大きくタイムを落としていたので、それがなければ2分06秒台には入っていたと思います。区間ベストを足せば2分06秒台に入っていますから」と水野は笑顔で語ってくれた。
「初テストを終えて改めてドゥカティは素晴らしいと思った。ヨーロッパからエンジニアも来てくれて、チームスタッフも頑張ってくれた。水野も難しいコンディションの中、無転倒でテストをこなしてくれてので、しっかり動作確認ができたので、レースセッティングに移行できる準備が整った。ただ、まだまだやることが山積みなのも事実。センサーの数が日本車の倍くらいあるし、ようやく初期設定が終わったところなので、レースウイークにどこまで詰めていけるかが大変でもあり楽しみでもあるね」と加賀山。
初テストを無事に終えることができたが、レースウイークはあっという間にやってくるため準備に追われる日々は続く。2024年全面全日本ロードレース選手権シリーズ開幕戦は、3月10日(日)に三重県・鈴鹿サーキットで開催される。DUCATI Team KAGAYAMAのデビュー戦は、どんなレースになるのか!? ぜひ、その目で確かめてほしい!