目次
台湾レース界で活躍中!社外製パーツも続々と登場
スクーター大国台湾で2020年7月に発表されたものの、いまだ国内販売のリリースがない新型シグナス。エンジンは低フリクションのブルーコアとなり水冷化。ある回転数から高速側のカムに切り替わる可変バルブ機構VVAを採用し最高出力も9.8㎰から12㎰に大幅にアップした。足周りは伝統の12インチを継承し、フロントフォークはφ33からφ35に太くなっている。
そんな期待しかない車両に日本で乗るチャンスが巡ってきた。第一印象は「デカいな」だが、またがってみるとポジションはシグナスXそのもの。ステップにしっかり踏ん張れるスポーティさは失っていない。これなら乗り換え組も違和感はないだろう。タイヤサイズが前後共にワンサイズ太くなり安定感が期待でき、なにより迫力がある。台湾ではすでに駆動系~排気量アップまで専用パーツが登場。水冷となり油温も安定するためチューニング面も安心。潜在ポテンシャルはかなり高いゾ!
【IMPRESSION】フロント周りの剛性の高さにビックリ!
「エンジンは中速から上の力がすごくある。同じポイントで速度を確認したら新型が3km/h速かった。そして特筆すべきはブレーキだね。前も後ろもバツグンに効くし、ロックもしなかった。フロントの安定感はすごいよ。ハンドリングは高速コーナーのライントレースがしやすい安定志向。どのバンク角でも安定しているから寝かしやすい。完全に5型を超えてきたね」(キッシー岸田)
DETAIL
リヤショックは3段階のイニシャル調整が可能。新車だからか「ややリバウンドが強かった」とはキッシー岸田。排気音は静かで振動も少ない。駆動系は乗りやすさを考慮した特性でゼロ発進加速は5型のほうが速かった。
【シグナス グリファス新型】
全長×全幅×全高:1935×690×1160mm
ホイールベース:1340mm
シート高:785mm
車両重量:123kg(UBS仕様)
エンジン種類:水冷4スト単気筒
総排気量:124cc
最高出力:12ps/8000rpm
最大トルク:1.14kgm/6000rpm
タイヤ(前・後):120/70-12・130/70-12
【シグナス X現行モデル】
全長×全幅×全高:1890×690×1120mm
ホイールベース:1305mm
シート高:775mm
車両重量:119kg
エンジン種類:空冷4スト単気筒
総排気量:124cc
最高出力:9.8ps/7500rpm
最大トルク:1.0kgm/6000rpm
タイヤ(前・後):110/70-12・120/70-12
【LUGGAGE】フルフェイスヘルメット+αが収納可能なシート下スペース
シートは両車とも前方に開くタイプ。どちらもフルフェイスヘルメットが収納可能だが、深さと長さは5型のほうがやや広い印象だ。ちなみにシート座面の長さは新型(写真左)が645mmで5型(写真右)が605mm(実測値)
【POSITION】ハンドル位置が少し高いけど乗車姿勢はほぼ変わらない
新型(写真左)はシート高が10mm高く足つきは少し悪い(モデル:身長174cm)。ステップの広さはほぼ変わらず後端は踏ん張れる形状だ。ハンドルとの絶妙な位置関係はさすがシグナス。コーナー時の姿勢もラクだ
【FUEL】給油リッドのデザインと開閉方法は大きな違いあり
新型(写真左)はキー操作による開閉が可能(台湾仕様)で、飛び出しが少ないスマートなデザイン(燃料タンク容量は6.1ℓ)。対して5型(写真右)は、キーを差し込んで開閉する。凹凸を効かせたデザインが特徴的(燃料タンク容量は6.5ℓ)。
【METER】大型のフルLCDメーターでどちらも視認性はよし
新型(写真左)は中央にエンジン回転数が右上に速度が表示されるユニークなデザイン(前後連動ブレーキモデル)。併売のABSモデルはデザインが変わる。5型(写真右)は回転数表示が大きくブルーのバックライトがスポーティな印象だ。
新型シグナスのエンジン&駆動系をCHECK
エンジンがNMAXやエアロックス155系との事前情報を元に、この2台に詳しい二輪用品店「カムイ八王子」の瀧田さんにご協力いただき、シグナスXと比較してみた。
「180ccまで簡単に排気量アップできますね」 byマイスター瀧田
ヤマハNMAX155オーナーで、富士スピードウェイで行なわれる最高速アタックにも参戦中。
【CVT】
駆動系のパーツ構成は155ccベース
右が5型で左が新型。外径はφ113に対してφ129とかなり大径に。高速道路を想定した設計のエアロックス155系と予想。
VベルトはNMAX系が流用できそう
5型とはクランクケースの大きさが違うためVベルトのみNMAX155と比較。幅はNMAXの方が太く長さは新型が若干長い
サイズがひと回り大きく重量も重い
クラッチ重量は5型の2.88kgに対して新型は3.35kgと約700g重い。センタースプリングは新型のほうが柔らかかった。
より緩みにくいタイプに進化
ドライブ側を固定するワッシャとナットは、5型(写真右)のタイプから厚みがあり大きなタイプに変更。緩み防止が目的だ。
【ENGINE】
エンジンはエアロックス155系
オイルポンプの位置やクランクケースの形状からベースエンジンはエアロックス系と思われる。エアロックスはリヤ14インチのため、タイヤとのクリアランスも十分だ。
新型は大径パイプ&大容量
上がNMAX155のエアクリーナーボックスで下が新型のエアクリーナーボックス。新型のほうがダクト径が太くエアクリーナー容量も大きそう。
【通信販売も好評です!】
カムイ八王子/東京都八王子市下柚木1245-1 ☎042-678-0123
ミニバイクパーツ専門店。とくにヤマハ、スズキの2種スクに強い。ピットも完備しているので、チューニングに困ったら一度相談してみよう。
TESTER キッシー岸田
世界中のミニバイクレースで勝利を手にしたワールドミニバイクレーサー。研ぎ澄まされた身体のセンサーを武器にシグナス・グリファスを分析!