Eクラッチ以外も魅力あり! ホンダCBR650RとCB650Rの高回転域でのエキサイティングなパワーに脱帽でした。

2019年3月に発売されたホンダのCBR650RとCB650Rは、ミドルクラス唯一の直4エンジンを搭載したロードスポーツモデルであり、世界中で年間3万台(!)も売れている大ヒット商品だ。スタイリングを一新した2024年型は、二輪車初のEクラッチをタイプ設定したことが話題となっているが、あらためてこの2台が持つ魅力について紹介したい。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

CBR、CBとも2020年型でフロントフォークをショーワ製のSFF-BPに変更。2024年型では圧側の減衰力を高めつつ、フォークスプリングの2段目のバネレートを低くするなどリセッティングを行い、その結果として105gの軽量化を達成。フロントキャリパーはニッシンのラジアルマウント対向式4ピストンだ。
前後ホイールは中空アルミGDC(重力鋳造)製5本Y字スポークで、スイングアームはアルミ一体鋳造製。標準装着タイヤはCBR、CBともダンロップ・ロードスポーツ2だ。
リヤサスはリンクレスのモノショックで、プリロードを10段階に調整可能だ。標準位置は最弱から3段目となっている。なお、ホイールトラベル量はフロント122mm、リヤ125mmだ。
648ccの水冷直4エンジンは、2023年型で令和2年排ガス規制に適合しつつ、初代2019年型からの最高出力95psをキープ。2024年型では吸気側のバルブタイミングを変更して低~中回転域のトルクを向上。なお、STDクラッチ、Eクラッチとも、1次/2次減速比や6段ミッションの各変速比は共通だ。
シートは前後別体式。リヤカウルは2024年型でソリッドな面構成に。なお、スチール製のツインチューブフレームについては、シートレール後端の形状や剛性バランスを最適化し、424gもの軽量化を実現している。
タンデムシートはキーロックの解除で取り外し可能で、その裏面には荷掛け用ベルトと書類入れがある。ヘルメットホルダーは付属のワイヤーを組み合わせて使用するタイプだ。
4灯式LEDテールランプを採用。ウインカーにはエマージェンシーストップシグナルが組み込まれている。
CBR650Rは、CBR1000RR-Rを彷彿させる精悍なフロントマスクに。LEDヘッドライトは新作だ。合わせてミドルカウルは側面積を低減させた新デザインとなっている。
CB650RのLEDヘッドライトは、上面をスラントさせた新デザインに。吸気チャンバーと一体化されたシュラウドの意匠も合わせて変更されている。
セパレートハンドルを採用するCBR650R。トップブリッジはアルミ鋳造、アンダーブラケットはスチール鋳造製だ。
クランプ部分が太いファットバーを採用するCB650R。キーシリンダーはタンク前方にレイアウトされている。燃料タンク容量は15ℓだ。
両モデルとも5.0インチTFTフルカラー液晶メーターを新採用。スマホとの連携を可能とした「ホンダロードシンク」も搭載されている。
左側のスイッチボックスは、4ウェイセレクトスイッチを持つ新型に。グローブを装着したままでも操作しやすいのがうれしい。

ホンダ・CBR650R/CB650R 主要諸元

車名・型式 ホンダ・8BL-RH17
全長(mm) 2,120
全幅(mm) 750(780)
全高(mm) 1,145(1,075)
軸距(mm) 1,450
最低地上高(mm) 130(150)
シート高(mm) 810
車両重量(kg) 209【211】(205【207】)
乗車定員(人) 2
燃料消費率(km/L) 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 31.5(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス) 21.5 【21.3】(クラス 3-2)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 3.0(2.8)
エンジン型式 RH17E
エンジン種類 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒
総排気量(cm³) 648
内径×行程(mm) 67.0×46.0
圧縮比 11.6:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 70[95]/12,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 63[6.4]/9,500
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 15
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
 1速 3.071
 2速 2.352
 3速 1.888
 4速 1.560
 5速 1.370
 6速 1.214
減速比(1次/2次) 1.690/2.800
キャスター角(度) 25゜30′
トレール量(mm) 101
タイヤ
 前 120/70ZR17M/C (58W)
 後 180/55ZR17M/C (73W)
ブレーキ形式
 前 油圧式ダブルディスク
 後 油圧式ディスク
懸架方式
 前 テレスコピック式(倒立サス)
 後 スイングアーム式
フレーム形式 ダイヤモンド

※【 】内はE-Clutch
※( )内はCB650R

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…