EM1 e:|50ccクラスのホンダの電動スクーターで、街乗りしたりちょい峠を登ってみたり。坂路はやや厳しいが、抜きん出た静粛性に感動。

昨年8月、ホンダとしては国内初となるパーソナル向け電動バイクとしてリリースされたのが、原付一種枠のEM1 e:(イーエムワンイー)だ。開発コンセプトは「ちょうどe:(いい)Scooter」で、ベンリィe:やジャイロe:シリーズらと共通の交換式バッテリーを採用。発売から間もなく1年が経とうとしている今、あらためて実力を検証してみた。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

ホイール径はフロントが12インチ、リヤが10インチ。フロントキャリパーはニッシン製のシングルピストンだ。
扱いやすい特性のインホイールモーターを選択。リヤブレーキはドラムで、左レバーを操作するとフロントにもほどよく制動力が配分されるコンビブレーキを採用。標準装着タイヤはチェンシン製のC-922だ。
500mlのペットボトルが入るフロントインナーラックをはじめ、USBタイプA電源ソケット(5V、2.1A以下)、コンビニフック、シャッター付きキーシリンダーなどを採用。純正アクセサリーでグリップヒーター(1万7270円)や接近通報装置(3万4870円)などが用意されている。
反転液晶表示のフルデジタルメーターを採用。急な坂道を上り続けるなどして、PCUやモーター、動力用バッテリーが高温になった際には、出力が制限されて左上に亀のアイコンが表示される。
ハンドル右側にはバッテリーの消費を抑えるECONモードのオンオフスイッチがあり、オンにすると最高速が30km/hに抑えられ、加速も穏やかになる。
シート高は740mm。もともとタンデム可能なU-GOがベースなので、座面は前後に長い。
シート下の前方にホンダモバイルパワーパックe:を1個搭載。セル仕様はリチウムイオンで、1個の重量は10.2kg。後方には小さいながらも収納スペースあり。なお、ベースとなったU-GOはバッテリーがフロア下にあるため、シートの下はメットインスペースとなっている。
専用充電器(ホンダパワーパックチャージe:、CVM5806Z)は5万5000円。使用電源は家庭用AC 100Vコンセプトで、ゼロから満充電まで約6時間を公称する。
灯火類はオールLEDだ。ヘッドライトは外周がポジションランプで、下段がロービーム。ハイビームで全てが点灯する。
リヤはコンビネーションランプを採用。純正アクセサリーでリヤキャリア(1万780円)やトップボックス35L(2万900円)などが用意されている。

ホンダ EM1 e: 主要諸元

車名・型式 ホンダ・ZAD-EF16
全長(mm) 1,795
全幅(mm) 680
全高(mm) 1,080
軸距(mm) 1,300
最低地上高(mm) 135
シート高(mm) 740
車両重量(kg) 92
乗車定員(人) 1
最小回転半径(m) 2.0
原動機型式 EF16M
原動機種類 交流同期電動機
定格出力(kW) 0.58(道路運送車両法上の第一種原動機付自転車に分類)
最高出力(kW[PS]/rpm) 1.7[2.3]/540
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 90[9.2]/25
一充電走行距離(km) 国土交通省届出値 53(30km/h定地走行テスト値)〈1名乗車時〉
タイヤ
 前 90/90-12 44J
 後 100/90-10 56J
ブレーキ形式
 前 油圧式ディスク
 後 機械式リーディング・トレーリング
懸架方式
 前 テレスコピック式
 後 スイングアーム式
フレーム形式 アンダーボーン
動力用バッテリー Honda Mobile Power Pack e: (1個)

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…