昭和生まれで今も現役! ホンダのレトロな原付二種バイク6選

最近人気が高い51cc〜125ccまでの原付二種バイク。通勤・通学や買い物などの普段使いから、ちょっとしたツーリングまでこなせることで、大きな注目を集めている。
中でも、昭和の時代に活躍したモデルたちのフォルムを継承しているのが、ホンダのスーパーカブ・シリーズやダックス125、モンキー125など。いずれも、昔を知るベテランライダーはもちろん、街をおしゃれに走りたい若い世代にも注目度が高いモデルばかりだ。
ここでは、そんなホンダの原付二種バイクの中でも、昭和の雰囲気を持つレトロなスタイルの注目モデル6機種を紹介する。

REPORT●平塚直樹
PHOTO●本田技研工業

スーパーカブ110

まずは、「スーパーカブ110」。スーパーカブとは、ホンダが1950年代から生産し、世界中で大ヒットしたロングセラーのビジネスバイクだ。

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スーパーカブ110

その110cc版として2009年に登場したのがスーパーカブ110。長年生産された「スーパーカブ90」の後継として発売されたモデルで、エンジンには109cc・空冷4ストロークOHC単気筒エンジンを搭載する。

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スーパーカブ90(1964年式)

車体には、1958年に登場した初代モデル「スーパーカブC100」のイメージを継承したスタイルを採用。レッグシールドや丸目ヘッドライトなど、昭和の雰囲気を残したデザインはもちろん、クラッチレバーがなく、シフトペダルを前後に操作して変速する4段リターン式シフト機構も採用。伝統の装備に今の技術を盛り込むことで、高い燃費性能と優れた実用性を兼ね備えている。

2022年にマイナーチェンジを受けた現行モデルでは、最新の平成32年(令和2年)排出ガス規制に対応させると共に、最大トルクと燃費性能の向上も実現した新エンジンを搭載している。

ボア×ストロークを従来型の50.0×55.6mmから47.0×63.1mmへとロングストローク化。最高出力は8.0PSで先代と同じだが、最大トルクは従来型の0.87kgf-mから0.90kgf-mにアップ。さらに、燃費性能もWMTCモード値で従来型67.0km/Lに対し67.9km/Lと、若干の向上を図っている。

新型の燃料タンク容量は4.1Lなので、1回の満タンにおける数値上の航続距離は278km以上を達成。街乗りから郊外のバイク旅まで、幅広い用途に対応する。

ほかにも、足まわりでは、ABS付きの前輪ディスクブレーキを採用。前後キャストホイールやチューブレスタイヤを新たに装備することで、メンテナンスのしやすさも向上している。

加えて、メーター内にはギアポジションや時計、平均燃費などを表示する機能を追加し、より実用性もアップしていることも注目だ。

なお、価格(税込)は30万2500円だ。

スーパーカブC125

一方の「スーパーカブC125」。スーパーカブ110をベースとする車体に、扱いやすく燃費に優れた123cc・空冷単気筒を搭載したシリーズの最上位機種だ。

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スーパーカブC125

2018年に登場したこのモデルは、レッグシールドや丸目ヘッドライトなど、往年のカブを彷彿とさせるスタイルを採用することはスーパーカブ110と同様。各部に配したクロームメッキのパーツなどで上品な印象とした外観や、専用のアルミキャストホイールなどによる軽快な走りも魅力だ。

エンジンには、低振動・低ノイズを追求した123cc・空冷4ストロークOHC単気筒を搭載。最新の電子制御を駆使したインジェクションシステム(燃料供給装置)「PGM-FI」の装備などで、WMTCモード値67.8km/Lという高い燃費性能も誇る。

また、ペダルを踏み込むだけで変速できるスーパーカブ独自の自動遠心クラッチ&4段リターン式変速機構も採用。初代スーパーカブC100を思わせるスリムでコンパクトなリヤキャリアなど、昔からカブを知るライダーには懐かしく、それでいて実用性も高い数々の装備が光る。

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1958年に登場した初代モデルがスーパーカブC100

ほかにも、スマートキーを携帯しているだけで、ポケットなどから出さなくてもイグニションのオン・オフやハンドルロックなどが可能な「Honda SMART Keyシステム」も採用。

スマートキー本体には、オールドタイプのウイングマークをあしらった立体エンブレムも採用し、細部までレトロで懐かしい雰囲気を演出している。

2021年にマイナーチェンジを受けた現行モデルでは、最新の平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合させた新エンジンを採用。先代モデルから最高出力を9.7PS→9.8PSにアップさせたほか(最大トルクは1.0kgf-mのまま)、燃費性能もWMTCモード値66.1km/L→68.8km/Lに向上させるなどのアップデートを行っている。

また、フロントブレーキのロックを抑制し制動時の安心感に寄与する1チャンネルABSも標準装備。制動時の安定性なども向上させることで、より安心・安全な走りを実現している。

価格(税込)は45万1000円だ。

クロスカブ110

「クロスカブ110」は、スーパーカブ110をベースに、アウトドアレジャーをイメージした装備を持たせたバリエーションモデルで、2013年に登場した。

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クロスカブ110

そのフォルムは、1980年代に人気を博したトレッキングモデルの「CT110」を彷彿とさせるもの。ヘッドライトまわりの丸パイプ製ステーやアップライトなハンドルなどを採用することで、タフなイメージを演出しているのが特徴だ。

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CT110(1981年式)

また、2019年には、ホンダの工場がある熊本県とコラボして、同県のPRマスコットキャラクター「くまモン」をイメージした「くまモン バージョン」も登場している。

クロスカブ110の現行モデルも、スーパーカブ110と同様に、2022年にマイナーチェンジを敢行。変更点も同様で、前後キャストホイールやチューブレスタイヤを装備、前輪にはABS付きのディスクブレーキも採用している。

また、最新の排出ガス規制に対応させながら、最大トルクと燃費性能の向上を図った新エンジンを採用している点も同じだ。

価格(税込)は、クロスカブ110が36万3000円、クロスカブ110・くまモン バージョンが37万4000円だ。

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クロスカブ110・くまモン バージョン

CT125・ハンターカブ

「CT125・ハンターカブ」も、クロスカブ110と同様に、アウトドアテイスト満点の装備と、レトロな雰囲気を持つスタイルが人気のモデルだ。

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CT125・ハンターカブ

初登場は2020年で、ベースとなったのはスーパーカブC125。クロスカブ110やスーパーカブ110が109ccの単気筒エンジンを搭載するのに対し、CT125・ハンターカブは、スーパーカブC125とおなじ排気量123ccのエンジンを採用し、最高出力9.1PS、最大トルク1.1kgf-mを発揮。クロスカブ110のエンジンが最高出力8.0PS、最大トルク0.90kgf-mを発揮するのに比べ、より余裕ある走りを実現する。

スタイルは、やはり1980年代のCT110を彷彿とさせるもの。オフロード走行にも対応するアップタイプのマフラーや、アップライトなハンドルバー、丸型一灯のLEDヘッドライトなどを装備する。

また、リヤキャリアは、横幅409mm×前後477mmの大型サイズ。荷掛フックを4か所に備えるなどで積載性が高く、キャンプなどアウトドアでのレジャーにも十分対応する装備も魅力だ。

なお、価格(税込)は44万円だ。

ダックス125

「ダックス125」は、1960年代後半から1970年代に一世を風靡したレジャーバイク「ダックス」シリーズをモチーフにしたスタイルを持つ125ccモデルだ。

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ダックス125

元祖は、1969年に発売された初代モデル「ダックスホンダ」。空冷4サイクル単気筒エンジンを搭載し、排気量には50ccと70ccを設定していた。

大きな特徴は、折りたたみ式のハンドルやステップにより車体をコンパクトにできること。乗用車のトランクにも入れられることで、当時流行したレジャーバイクというジャンルを確立した立役者だった。

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初代モデルのダックスホンダ(1969年式)

ちなみに、車名の「ダックス」は、低くて長いフォルムが、胴長の愛らしい犬種ダックスフントに似ていることから付けられたという。新型でもそのイメージを踏襲し、車体には、胴が長いT字型の鋼板プレス製バックボーンフレームを採用。

しかも、新型は、より車体が大きくなったことで、2人乗りが容易なロングタイプのダブルシートも装備する。

エンジンには、最高出力9.4PSを発揮する123cc・空冷4ストロークOHC単気筒を搭載。最新の平成32年(令和2年)排出ガス規制に対応させながらも、力強い出力特性を両立している。

また、自動遠心クラッチと4速トランスミッションを採用することで、スーパーカブ・シリーズと同様にクラッチレバーの操作は不要。AT小型限定普通二輪免許でも運転できることで、より幅広いユーザーに対応する。

さらに、足まわりには、シンプルかつ高剛性なキャストホイールに、12インチサイズのチューブレスタイヤをセット。倒立フロントフォークや前後輪ディスクブレーキなどの装備で、高い走行安定性や安全性にも貢献している。

価格(税込)は、45万1000円だ。

モンキー125

「モンキー125」は、2017年に惜しまれつつも生産中止となった50ccの「モンキー」の後継機種ともいえるモデルで、2018年に登場した。

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モンキー125

元祖となるモンキーは、元々、1961年に多摩テック(東京都日野市)という遊園地の遊具として誕生したミニバイクを、市販化の声に応えて販売したもの。

市販モデルの初代は、1967年に登場。ダックスホンダと同様に、乗用車のトランクなどに積載できるほどコンパクトになることで、同じくレジャーバイク・ブームをけん引したモデルだ。

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市販モデルの初代となったモンキーZ50M(1967年式)

その後は、車体が拡大し車載はできなくなったが、手軽な原付バイクとして長年人気を博し、今でも125cc版が残るロングセラーモデルとなっている。

そんなモンキーの後継であるモンキー125は、50cc版をそのまま拡大したような愛らしいスタイルが大きな特徴だ。

エンジンは123cc・空冷4ストロークOHC単気筒で、最高出力9.4PS、最大トルク1.1kgf-mを発揮。WMTCモード値で68.7km/Lという優れた燃費性能も誇っている。

ちなみに、モンキー125の燃料タンクの容量は5.6L。スペック上の計算で、1回の満タンで走ることのできる距離は384.72kmで、原付二種バイクの中でもトップクラスの航続距離を実現している。

また、2021年9月のモデルチェンジでは、5速トランスミッションを採用。今回紹介する機種のうちで、唯一シフトチェンジ時にクラッチ操作をするモデルで、よりスポーティな走りが楽しめる。

足まわりでは、倒立式のフロントフォークとリヤ2本ショックを装備。街乗りはもちろん、郊外へのツーリングなど様々なシーンで快適な走りを楽しめるバランスが追求されている。

さらに、ブレーキには、フロントに2ポッド、リヤにシングルのキャリパーを装備したディスクタイプも採用。ブレーキング時の安心感を高める1チャンネルABSも標準装備することで、安定した信頼感の高い制動能力を発揮する。

価格(税込)は、45万1000円だ。

街から郊外まで気軽に楽しめることが魅力

原付二種バイクが高い人気を誇る背景には、50cc以下の原付一種と比べ、法規上の制限が少ないことも挙げられるだる。

例えば、50cc以下の原付一種では最高速度が30km/hなのに対し、原付二種バイクは、速度制限がなければ60km/hまでOK。3車線以上ある道路では、2段階右折をする必要がある原付一種に対し、原付二種は不要などだ(ちなみに、どちらも高速道路の走行は不可)。

そんな原付二種バイクの中でも、初代モデルが昭和の時代に生まれ、現在でも現役で販売が続けられているのがホンダのレトロモデル群。これらは、前述の通り、ベテランから初心者まで、幅広いユーザーに愛されていることが特徴だ。

しかも、多くのユーザーが、市街地だけでなく、郊外へのツーリングにも使うなど、多岐に渡る目的で乗っていることも注目点。街からアウトドアまで、気軽に乗れて楽しめるこれらモデル群が、今後も高い支持を受け続けることは間違いないだろう。

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…