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KTM 150 EXC TPI……1,130,000円
KTM2022年モデルのエンデューロマシンは、WP製サスペンションの設定を変更して安定性と応答性を向上。サスペンション内部のオイル循環を向上させ、より一貫したフィードバックを提供。様々な地形で卓越したグリップを発揮する新しいMAXXIS MaxxEnduroタイヤの採用。ファクトリーマシンにインスパイヤされた新しいグラフィック。となっている。
エンジンは2サイクル水冷単気筒、クランクケースリードバルブの150ccで6速ミッションの分離給油。セル&キックスタート。燃料噴射システムはデロルト製のスロットルボデイにコンチネンタル製のTPIとなっている。
クラッチカバーのデザインは違うものの、内容はハスクバーナのTE150iと全く同じだ。
フロントサスペンションはWP製倒立フォーク、リヤもWP製だがリンクレスとなっているのがハスクバーナとの大きな違い。なのでフレームやスイングアームも少々違う物となるが、キャスター角やトレール量が同じなのか違うのかは不明。
車重は半乾燥で96.8kgとハスクバーナよりも2.8kgも軽量。つまりリンクレスのリヤサスペンションと車重の軽さが、同じ構成のハスクバーナTE150iとの差となっている。
KTMのマシンは昔から軽量な物が多くなっているのは、メーカーとしてのオフロードマシンへの考え方の違いかもしれない。
グラフィックが変わったといっても、オレンジがベースなのでひと目でKTMと分かる。オフロードマシンのデザインって大きくは変わらないけども、タンクカバーやフェンダーのデザインやグラフィックで、毎年ちゃんとカッコよくなっている。
さて跨ってみると、やはりシート高は高い。今回試乗したエンデューロマシンは3車とも同じくらいのシート高。私が乗っても両足の半分は浮いてしまう。コースをハイスピードで走る場面も多いので、サスペンションストロークはモトクロッサーと変わらないので仕方ないことかも。平均的な日本人ライダーにはちょっと高過ぎかもしれないけど。
セル一発で始動しスタートする。このエンジン、TE150iでも書いたけども本当に気持ち良い吹け上がり。パワフルでありながら低回転でのトルクも十分出ていて、クラッチ操作に気を使わないでもガンガン走れる。とにかく伸びが素晴らしくアクセル全開時間を長く取れるので楽しくてしょうがない。
さてリンクレスのリヤサスペンションが特徴のKTMだが、普通に走っている分には過不足は何も無い。しっかり踏ん張るし衝撃もスムーズに吸収している。
ただしジャンプの着地をミスった時は、私が重いのもあるかもしれないけど突き上げ感はあった。グッと踏ん張るというよりグシャっとショックがある感じ。でもそれで跳ね上げられるとか進路が乱れるような事は無かった。リンクレスでもしっかりグリップしているし、振られる事も無いしで極限な場面は経験していないが、リンクがあるとか無いとか何も意識せずに走れる。
アクセル開ければ開けただけ前に進むグリップはしている。これがタイヤがMAXXISを履いているからなのかまでは分からなかった。またリンクレスはグリップの仕方が違うとか、リンクレスに合ったグリップをさせると、実はリンクありより速いなんて話も聞いたが、私はそこまでは試せなかったし正直良く分からない。
とにかく普通に走れるし速いし、リンクが無い分メンテは楽だし、車重は軽いので何かの時は体力使わないで済むし、大多数のライダーには大きなメリットだと思う。
いいじゃないこれ!エンジンのフィーリングは最高だし、35馬力以上は出てるとのことで速さも十分だし、シート高は高いけど軽くて扱いは楽だし、レースに出ないまでも遊びで乗るには最高のマシン。
極限を突き詰めるレースライダーでは違う意見かもしれないが、ほとんとのライダーにはお薦め!
提案ですけど、これもシート高をグッと下げたバージョンがあると、ファンライドマシンとして売れるんじゃないかと思う。
今回2サイクル150cc 2台、4サイクル250cc 1台のエンデューロマシンに試乗したが、他のマシンもきっと最高に楽しいと思われる。全体的に扱いやすい特性なので怖さが無く、乗る事に集中出来るから。
そして国産車では無くなってしまった2サイクルに乗れるのも最高じゃないか。2サイクルの気持ちよさを経験したことが無いライダーも多いだろう。是非一度この150に乗ってみることをお薦めする。
ディテール解説
主要諸元
トランスミッション:6速 スターター:キックおよびセルスターター ストローク:54.5mm ボア:58mm クラッチ:Wet multi-disc DS clutch, Brembo hydraulics 排気量:143.99cm³ EMS:Continental EMS デザイン:単気筒、2ストロークエンジン 重量 (燃料なし):96.8 kg 燃料タンク容量 (約)9L フロントブレーキディスク径:260mm リアブレーキディスク径:220mm フロントブレーキ ディスクブレーキ リアブレーキ:ディスクブレーキ チェーン :X-Ring 5/8 x 1/4" フレームデザイン:セントラルダブルクレードルタイプ 25CrMo4 スチール フロントサスペンション:WP XPLOR-USD, Ø 48 mm 最低地上高:370mm リアサスペンション:WP Xplor PDS ショックアブソーバー シート高:960mm キャスター角:63.5° サスペンションストローク(フロント):300mm サスペンションストローク(リア):310mm
ライダー紹介
村岡 力
1956年生。
70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪メインですが4輪もし時々航空関係も。モータースポーツは長年トライアル1本で元国際B級。現在は172cm85kgの重量級。業界ではジッタのアダ名で通ってます。