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ネイキッドなのにサーキット向け
「MT-09 SP」は、「MT-09」の上級仕様車で、より豪華なパーツが奢られ走行性能も強化されているグレードとなる。
搭載しているエンジンは888cc直列3気筒DOHCで、最高出力88kW(120ps)/1万rpm・93Nm(9.5kgm)/7,000rpmを発生する。
車体の寸法は全長2,090×全幅820×全高1,145mm、ホイールベース1,430mm、車体重量が194kgとなっている。
100ps超えで200kg切りを達成しているため、パワー感やトルク感は数値以上のものを感じるだろう。特にパワフルかつスムーズ吹け上がる3気筒エンジンはMT-09の個性の根幹と言えるだろう。
2021年から3年ぶりの大幅改良となった2024年モデルは、サーキット指向がより高められたモデルとなった。
エンジンモード(YRC:ヤマハライドコントロール)選択は、従来の「スポーツ」「ストリート」「レイン」「カスタム1」「カスタム2」に加えて「トラック」を1〜4まで設定することができる。
それに合わせてメーター表示もスタンダードに倣った4つのパターンに加えて、「トラックモード」の表示も加わった。サーキット走行に必要な情報を抽出したモードで、YRCの状況などが表示される。制御メニューに「EBM:エンジンブレーキマネージメント」と「リヤABSオフ設定」も追加された。
サーキット走行の要とも言える足回りも変更があった。スポーツ走行時の安心感と乗り心地の向上をはかるため、バネレートの強化と減衰特性を見直した。フロントブレーキキャリパーはブレンボのラジアルマウント式「Stylma」となった。
なお、採用しているショックアブソーバーに変更はなく、フロントがKYBのフルアジャスタブルタイプ、リヤがオーリンズのフルアジャスタブル・リモート調整式プリロードとなっている。
その他、メインスイッチやタンクキャップの意匠を変更。さらにスマートキーも新たに採用されている。
変化球でスーパースポーツをカモれ!
「MT-09」の初代が登場したのは2014年。軽量な車体に新開発のハイパワー3気筒エンジンを積んだことで、大型二輪の常識を打ち破る運動性能を獲得した。
そのコンセプトのまま現在は3代目にまで進化した。その途中、09のプラットフォームを使用した「トレーサー9」や「XSR900」といったモデルも誕生した。それ以外にもシリーズ展開として様々な排気量帯にMTブランドも浸透させた。
新世代のヤマハの牽引役となったMT-09だが、バリエーションが増えることで存在感の薄れを危惧した。しかし今回、モータースポーツ指向をより高めたことで個性に磨きをかけた。