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千葉県柏市にあるライダーの隠れ家的憩いの場
国道16号線から千葉県道8号船橋・我孫子線を手賀沼方向に走っていると、左手に昭和の時代に流行った別荘風の建物がやがて見えてくる。軽井沢や那須あたりの高原の緑の中にあったら似合いそうな三角屋根の木造建築に、軽量鉄骨とトタンを組み合わせた無骨なテラスの取り合わせというミスマッチ感が、かえってこの建物のユニークな個性を際立たせている。
建物の場所はライコランド柏店と道の駅しょうなんのちょうど中間点に位置し、千葉県でも有数のツーリングスポットということから休日ともなると、1日に何百、何千ものバイクが目の前の道路を通り過ぎて行く。しかし、目立つ看板を掲げていないこともあって、意外に気づかない人もいるようなのだが、じつはこの場所こそライダーの隠れ家的憩いの場である『Riders Cafe Racer』なのだ。
毎月第1日曜日に開催される「モーニングミーティング」
この店で毎月第1日曜日に定例で開催されているのが「モーニングミーティング」だ。集まってくるバイクは後述する理由でSR400が多いが、スーパースポーツあり、ネイキッドあり、ツアラーあり、アドベンチャーバイクあり、クルーザーありと参加車種に制限はなく、基本的にはオールジャンルOK(もちろん、族車や公道走行に問題がある車両の来店はNGだが……)で、125cc以下のミニバイクやビッグスクーターで訪れる常連ライダーもいる。今回は10月6日に開催されたミーティングに参加してきたのでその様子をリポートしたい。
「モーニングミーティング」は朝9時にスタートする。8時半くらいになると参加者はぼちぼち集まり始め、10時くらいには会場となる店舗駐車場はいっぱいになる。『Riders Cafe Racer』ではミーティングに合わせて特別メニューとしてボリュームたっぷりのサンドイッチとフレンチトースト、コーヒーをセットにして1000円で販売する。ミーティングの参加者たちは毎回美味しいパンを頬張り、コーヒーを飲みながら思い思いにバイク談義に花を咲かせる。
同店が主催する第1回目の「モーニングミーティング」が開催されたのは今から3年前の2021年のこと。筆者はその年の秋から彼女に誘われてこのミーティングに参加するようになった。ただ、最近は第1日曜日がイベント取材と重なることが多く、今年のミーティングはまだ2回目。じつに半年ぶりの参加となった。集まった来場者の顔ぶれは大きく変わってはおらず、久しぶりの参加にもかかわらず、常連参加者のみなさんは筆者を暖かく迎え入れてくれた。
この日の天気はあいにくの時折小雨がぱらつく曇り空で、ところによっては早朝に雨が降ったらしい。このミーティングは野外開催のため雨天は中止となる。そんなこともあって開催を危ぶみ、参加を見合わせたライダーも少なくないのだろう。いつもは30~40台くらいのバイクが集まるのだが、今回はちょっと少なく20台ほどの参加にとどまった。
プチツーリングも楽しみのひとつ
『Riders Cafe Racer』の「モーニングミーティング」の開催時間は朝9時~11時までとなるが、さらなるお楽しみはミーティングの終了時間から始まる。集まったライダーで手賀沼周辺の25kmほどのコースを約1時間かけてプチツーリングをするのだ。参加はもちろん自由だが、ミーティング参加者の中にはこちらを目的にやってくる人も少なくないようで、集まったライダーの大半が参加する。
いつも車列の先頭を走るのはみんなのアニキ分の啓さんだ。彼はSRファンの間ではお馴染みのカスタム&パーツ販売の『singlebigk』(シングルビッグケイ)の代表でもある。バイクに関しては深い知識を持ち、みんなから慕われているベテランライダーでもある啓さんは、参加者の技量や排気量などから判断して走行ペースを調整してくれる。もちろん、初心者が参加したときの心遣いも行き届いているので、見知らぬ人とのマスツーリングでも安心感がある。
このプチツーリングは初心者は運転の練習に、マスツーリングが苦手な人は排気量やジャンルの異なるバイクとの混走に慣れるように、ベテランライダーは操作の基本を今一度確認できるようにと、運転操作やツーリングでのマナーの向上という目的もある。だから、昨日免許を取ったばかりという若葉マークのライダーがひとりで参加しても不安がないし、立ちゴケなどを除けば、これまでツーリング中の事故も発生していない。
みんなで走るコースは交通量が少ない農道が中心で、県道や短い砂利道などを一部に組み込んでいる。筆者はほぼ毎回カワサキZX-9Rで参加しており、不整地をスポーツバイクで走るのは正直不得意なのだが、啓さん曰く「ツーリング先で不意に砂利道に出くわしても安全に抜けられるように」との理由からあえて非舗装路を組み込んでいるのだとか。筆者も苦手意識が少しは薄れたようで練習がてらツーリングを楽しんで参加している。
今回、啓さんはSR400のメンテナンスのため店に残ることになったが、コースを熟知した常連ライダーがペースメーカー役を買って出たので、いつもどおり安全かつ楽しくツーリングを終えることができた。正直なところ筆者は「なんでオマエが『Motor-Fan BIKES』で記事を書いているの?」と疑問を持たれるレベルのヘタッピなのだが、運転が上手なライダーと一緒に走るのは勉強になるし、何度もミーティングに参加しているうちに顔なじみもできて、今では開催日が待ち遠しくて仕方がないほどだ。
女性オーナーらしいきめ細かさを感じる店内は憩いの空間
ミーティングを主催する『Riders Cafe Racer』はじつに居心地の良いアットホームな店で、店内は異国情緒を感じさせる落ち着いた雰囲気の空間が広がる。一見するとおしゃれな喫茶店のような風情が漂うが、店の目立つ場所にはSR400の40周年アニバーサリーモデルが展示され、工具を用いたオブジェやヘルメットが並ぶところに、ライダーズカフェであることをアピールしている。客席は大きな木製のテーブル席を中心にした10人ほどの小さな店だが、居心地の良さからついつい長居したくなってしまう。
ライダーズカフェというと店主はバイク好きのおじさん……というのが相場と決まっているが、オーナーが女性というのがちょっと珍しいところだ。この店を切り盛りする裕子さんは元イタリアンレストランのシェフという経歴の持ち主。彼女はバイクの免許の取得をきっかけとして生活が一変し、ライディングが生活の一部になったことから「仕事である調理とバイクをコラボさせたお店を開きたい」と思いたち、2019年にこの店をオープンさせたという。
そんな裕子さんの人柄を慕って、老若男女問わず、さまざまなバイクに乗るライダーたちがこの店に通うという。ちなみに裕子さんの愛車はSR400。SRマイスターの啓さんもちょくちょく店を訪れていることもあって、駐車場に並ぶバイクは自然とSRが多くなったようだ。
元イタリアンシェフ自慢のメニューはどれも絶品!
そんな裕子さんがオーナー&シェフを務める店だけにメニューはどれを選んでも間違いない。この店の料理で人気ナンバーワンは「白トリュフの香るペペロンチーノ」で、次いで「卵2個を使った濃厚カルボナーラ」「海老・イカ・アサリのペスカトーレ」と続く。さすがはイタリアンの店でシェフを務めていた裕子さんだけあってパスタ系の料理は絶品だ。いつもお腹を空かせているような若いライダーには、美味しいだけでなくボリューム満点の「元祖マカロニシチュー&ガーリックトースト」もオススメだ。
もちろん、屋号にあるとおりのカフェなのでお茶だけでも楽しめる。自慢のコーヒーは定番のブレンドコーヒーやエスプレッソのほか、ベルギー式の珍しい横式サイフォンを使ったコーヒーも旨い。苦手な人には紅茶が充実しており、手作りの蜂蜜オレンジ入りのハニーオレンジティーや三種のフルーツが入ったフルーツティー、ダイエット効果のあるシナモンティーをオススメだ。ほかにもイベント限定のメニューもあり、毎回この店を訪れるたびにどれを食べるか迷ってしまうほど。
『Riders Cafe Racer』では「モーニングミーティング」以外にもメーカー限定の「ホンダミーティング」や「カワサキ ミーティング」のほか、車種限定の「SRミーティング」、男子禁制の「女子ツーリング」などのイベントを月に何回か開催している。公式WEBサイトに随時最新の情報がアップされているので、この記事を読んで気になったならぜひ足を運んでもらいたい。ちなみに次回の「モーニングミーティング」の開催日は11月3日を予定している。
●ライダーズカフェ レーサー
住所:千葉県柏市五條谷49-10
営業時間:11:00~18:30
定休日: 不定休
https://riderscafe-racer.com