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スペシャルパーツ武川からホンダCT125・ハンターカブ用の最強チューニングキットが登場した。その名も「スーパーヘッド4V+Rボアアップキット145cc」。以前にも現行CT125・ハンターカブ用のボアアップキットとして、同社製の「Sステージαボアアップキット145cc」を試乗記事として紹介した。20ccの排気量アップで車体に見合うパワーが得られたと紹介しているが、今回はさらなるパワーアップが図れるキットと言える。前回同様、YouTubeで無料動画を配信しているモトチャンプTVに上げられた「高回転までぶん回せ! ハンターカブ用の4バルブヘッド145ccに試乗!」という回をダイジェストにまとめてみた。
スーパーヘッド4V+Rボアアップキットの内容
まずSP武川のスーパーヘッドとは何かを紹介したい。通常のボアアップキットはシリンダーとピストンを組み替えて排気量を拡大する。SP武川製のキットだと専用カムシャフトが付属していることも多いが、シリンダーヘッドは純正をそのまま使うのが一般的。それに対してスーパーヘッドはシリンダーヘッドも専用設計されたものに交換する。燃焼室をみると吸排気バルブがそれぞれ2つずつ、計4バルブとなっていることがわかる。
バルブを押して駆動するのがロッカーアーム。カムシャフトの山に沿ってバルブを押す大切なパーツで、軸受には純正同様にベアリングを内蔵している。そのためスムーズな動作が可能となり、低回転から高回転までカムプロファイルに追従してくれる。
4バルブとなるとピストントップに掘られたリセスが4つ必要になる。そのため従来の2バルブ用ボアアップキットのピストンが使えない。そこで今回のキットには専用のピストンが付属する。本体はアルミ鋳造によるもので、精巧な削り出し技術により成形されている。アルミのため軽量かつ剛性の高い仕上がりだ。
キットのバルブ径は吸気側が21.5mm、排気側が18.5mmの仕様となっていて、バルブスプリングに不等ピッチを採用することで高回転型化に対応させている。つまり混合気を吸う能力が大幅に引き上げられているため、より多くの空気が吸えるインテークマニホールドが不可欠になる。最適なポート径とした専用インマニが付属する。
当然ながらインマニだけでなく肝心要のスロットルボディも大径なものになる。このビッグスロットルボディと大径インマニの組み合わせにより、燃焼室までスムーズな吸入効果を可能としている。
同時に装着したいパーツたち
エンジンのパワーが劇的に上がるが、キットには吸気側しかパーツが付属しない。これは好みをマフラーに合わせるためでもあるが、抜けの良いマフラーにすることでよりパワーアップが実感できることとなる。
高回転域で爆発的なパワーを生み出すエンジンになるため、できれば純正のままのクランクシャフトを保護してあげたい。耐久性にも効果的なクランクシャフトサポートアダプターなどを組み込むことがオススメだ。クランクシャフトを交換せず純正部品に装着するだけなので、作業自体も比較的簡単だ。
エンジンパワーが上がるということはエンジン内部を潤滑するオイルに厳しい条件が求められることとなる。よりランクの高いオイルを必要とするが、それだけでは発熱量に対して足りないシーンも出てくる。そこで装着すべきなのがオイルクーラー。写真のものだとスペースを取らずホースも専用品が付属する専用設計なので取り付けも楽だ。
オイルを冷却する能力を上げるのと同時に、潤滑させる流量自体を見直すとより効果的。高回転域を多用する乗り方ならなおさらオイルの流量は見直すべきで、強化型のオイルポンプを装着して対応させよう。
高回転型になると摺動面すべてに純正以上の負担がかかることになる。カムシャフトを駆動するカムチェーンも同様なので、カムチェーンテンショナーを強化型に交換して対応させよう。
スーパーヘッド4バルブ145ccの実力は?
今回試乗するハンターカブはSP武川が用意したデモ車。スーパーヘッド4V+Rボアアップキットだけでなく紹介してきた強化部品がふんだんに組み込まれた状態だ。そのため安心して試乗することができる。動画ではエンジンスタートから始まり、まず排気音が小気味良く鳴り響く。スロットルと開けるとパワーフィルターによる吸入音も聞こえてきて、まさにチューニングエンジンらしい風情が感じられる。いざ走り出すと、以前の記事で紹介した排気量アップによる速さ以上の効果を確認できる。比較的大柄な車体に対して十分なパワーではあったが、このスーパーヘッドの威力はそんなものではない。まさに弾けるように高回転までタコメーターが振られ、針の勢いのままに車体をグイグイと加速させる。もはやカブと呼ぶことに抵抗を感じるほどで、テスターは加速力の鋭さに言葉を失うほどだった。
高回転まで回した時のパワフルさと同時に純正とは比較にならない吸排気音が轟き、否が応でも気分は盛り上がる。とはいえ日常的にワイドオープンを連続させることは難しい。前走車がのんびり走っていたり狭い路地を走ることもある。こうした場合でも今回のデモ車はストレスを感じることなく走らせることが可能。高回転ばかりに注目しがちだが、実用域での扱いやすさが失われていないのだ。例えば40km/h前後の流れを4速のままで走らせてもグズついたりノッキングすることなく、スムーズに運転できる。だから長閑な田舎道を走るようなシーンでのんびり走らせることも楽しい。チューニングエンジンでありながら、普通に乗ることがストレスにならない。ツーリングで効果を体感できることだろう。