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ライダーの乗りやすさを損なわないためのV3
本田技研工業は、イタリア・ミラノで開催される「EICMA」(通称ミラノショー)に、新開発のV型3気筒エンジンを世界初公開する。
新型のV型3気筒エンジンは、大型二輪車向けに開発中とのこと。スリム&コンパクトを追求したバンク角75度のV型3気筒DOHCで、前側が直列2気筒、後ろ側が単気筒の計3気筒の機関となる。
さらに本機には、インタークーラー付きの電動ターボチャージャーが搭載されているのが特徴だ。搭載したモデルが発売されれば、新世代としては、「カワサキ・ニンジャH2」シリーズに次ぐ過給機搭載モデルがようやく登場することになる。
なぜこのような一般的ではない形状を採用したのか、それはひとえにライダーの乗りやすさの追求であろう。パワーを求めるなら直列4気筒が無視できないが、それではバイクの横幅が広くなる。
V型4気筒とすれば横幅が抑えられるものの、ライダーの股下に並列2気筒のブロックが来るため座りづらくなってしまう。前2気筒・後単気筒の3気筒とすれば、バイクはスリムなままパワーの向上を見込める。
四輪と二輪のモータースポーツを統合した成果か
さらにターボチャージャーは、過給が立ち上がるまでのタイムラグがあるため、繊細なアクセルコントロールが求められるバイクには不向きである。カワサキはそれをきらってのスーパーチャージャーの採用だが、電動ターボとすれば、過給の立ち上がりをコントロールできるようになるため、コーナリング中に急に加速し出すといったターボの弱みを消すことができる。また、低速トルクを太らせることでマイルドハイブリッドのような効果も期待できる。
ちなみに電動ターボはF1で採用される技術。ホンダはF1に参戦しているため、その見地をバイクに生かしたのだろう。また、ホンダのモータースポーツは四輪と二輪を合わせて「HRC」となった。その効果のあらわれともとらえられる。
ホンダは電動化も進めているが、心踊る内燃機関の開発も引き続き行うようだ。