令和の250クラシックモデル「MEGURO S1」|60年の時を経て蘇ったメグロSGの血統です

昨年秋のジャパンモビリティショー2023で発表され、今年の大阪/東京/名古屋モーターサイクルショー2024にて広くお披露目されたカワサキのNEWモデル「MEGURO S1」がいよいよ発売! 兄貴分でW800をベースにするMEGURO K3が大人気なだけに、もっと手軽に乗れる250ccクラスのMEGURO S1は大ヒットの予感しかなく、すでに初期ロットは争奪戦という噂も……。ネオレトロというより、クラシックモデルの本流が味わえるMEGURO S1は、バイクライフに豊かな彩りを添えてくれるに違いない。


REPORT&PHOTO●川島秀俊
2023年秋のジャパンモビリティショー2023で発表されたカワサキの新型車「MEGURO S1」の正式リリースがついにアナウンスされた。待望の発売日は11月20日(水)で、価格は72万500円。カラーはエボニー×クロームメッキのみの1カラーとなる。

1964年に発売されたカワサキ250メグロSGが
現代のテクノロジーでテイスティな新型車として登場!

出るぞ出るぞ……と期待されていたカワサキが放つメグロブランドの第2弾「MEGURO S1」がついに発売! 同時発売されるクラシックネイキッドモデル「W230」の派生機種といえるものだが、専用に装備されるエンブレムやグラフィック、生地の異なるシートなどで見た目は激変! 1964年に発売されたカワサキ250メグロSGをオマージュしたルックスは、見事なクラシックの本命スタイルに仕上げられている。
メグロというブランドは1924年に創業した目黒製作所製造のオートバイが発祥で、1957年の第二回浅間火山レースで500ccクラスのワン・ツーフィニッシュを飾るなど、国内オートバイブランドでは歴史と栄光に輝く存在。1964年に川崎航空機(現在のカワサキモータース株式会社)と合併し、その血統は現在も生き続けているのだ。
そんなメグロブランド復刻ののろしは、2021年にW800をベースにする「MEGURO K3」の発売でセンセーショナルを巻き起こし、即完売という大ヒットを記録。今回のMEGURO S1は車検のない軽二輪クラスというのを考慮すると、ビギナーからベテランまで老若男女を問わずに絶大な人気を獲得しそうだ。折りしも今は『昭和ブーム』という追い風もあり、MEGURO S1で風を切る姿を想像するだけで週末はワクワクできそう。旧車をメンテナンスしながら苦労して乗るのも楽しいが、手軽に安心してレトロスタイルを満喫できるとは、待ち望んだファンには最高の新型車ラインアップといえるだろう。

気軽に乗れるインジェクション車で空冷シングルの味わい深さを追求!

クラシックスタイルのMEGURO S1は、ライディングフィールでもゆったりと落ち着いたクルージングが楽しめるよう設計されている。フレームは軽量なセミダブルクレードルで、フレームとスイングアームのねじれ剛性と横剛性を低く抑えることでガチガチさせない穏やかなコーナリング性能を実現。フロント90/90-18、リヤ110/90-17のタイヤはレトロスタイルのプロフィールで、安定したハンドリングに貢献するチョイスだ。
エンジンはKLX230系の空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒をベースに、ルックスにも配慮して曲面を多用したクランクケースやシリンダーヘッドに大きく丸みを帯びたフィンを採用。元祖メグロのエキゾーストパイプ形状が持つ伝統的な美しさを再現するため、車体右側へ排気ポートを配置している。

フィーリングとしては、粘りのあるエンジン特性を得るためのカムプロフィール、高い慣性モーメントを発揮する重めのフライホイール、低回転域でエンジンストールしにくいECUセッティングなどで扱いやすさに配慮。消音しつつも豊かな低音を感じさせるようマフラーサウンドもチューニングされており、6速トランスミッションを駆使して鼓動感あふれる走りが楽しめるのだ。
オートバイの魅力というのは様々で、たとえばハイスペックなスーパースポーツでは刺激的な走行性能が楽しめる。このMEGURO S1の場合は全く異なる方向性で、楽しめるのは言葉では表現しにくいテイスティな部分……いわば「レトロなオートバイに乗る」という感性を満足させてくれることといえるだろう。

ディテール解説

W230をベースに専用エンブレムの装備やクロームメッキ処理されたタンク、専用デザインのメーター、表皮の異なるシートなど、メグロブランドらしい個性を与えられたMEGURO S1。水平基調のクラシカルなフォルムは、眺めるだけでも所有欲を満たしてくれる。
リラックスしたアップライトなポジション、740mmの低シート高、143kgという軽い車体は誰が乗っても扱いやすいパッケージング。不安を抱えながら旧車に乗るより、イージーにクラシックスタイルが満喫できる。
エンジンはKLX230と同系統の空冷SOHC2バルブ単気筒だが、右側へエキゾーストパイプをレイアウトする専用ヘッドや丸みを持たせた空冷フィン&クランクケースカバーなど、随所に専用設計を採用。出力特性は低回転域で十分なトルクを発揮する味付けだ。
フロントフォークはインナーチューブ径φ37mmの正立タイプを採用。タイヤはフロント18インチ/リヤ17インチで、安定したハンドリングを追求する。ヘッドライトは上下にロー/ハイビームを分担させたLEDランプだが、上下にポジションランプを装備することでライト全体が点灯するイメージに仕上げる。
車体右側にスラリと伸びるマフラーは、元祖メグロの美しさを重視したキャブトンタイプのデザイン。バフ仕上げのステンレス製で、排気音にもメグロらしさを追求したサウンドチューニングが施される。
同時発売される「W230」とのツーショット。兄弟車なので車両スペックはほとんど同じだが、MEGURO S1の方が5mmシート高が低い。おもな違いはカラーリングを中心にしたデザインで、MEGURO S1の方がよりクラシックかつ上質に仕上げられている。
MEGURO S1で最大の特徴といえるのが、往年のカワサキ250メグロSGからインスピレーションを得たタンク。復刻した「MEGURO」エンブレム、クロームメッキのアクセント、ラバー製のニーパッドで独自のキャラクターをつくり出す。
メーターは専用のデザインで、ホワイトパネルと「メグロ」のロゴがノスタルジックな雰囲気を演出。液晶ディスプレイにはオドメーター、トリップメーター、時計を切り替え表示できる。
専用装備となるプレーンなシート表皮で、クラシックなテイストを追求。シートサイドからテールにかけてホワイトのパイピングを施し、効果的なアクセントを添える。
優しい曲線のサイドカバーに、赤く輝く「メグロ」の文字。カワサキ車でありつつ、歴史あるメグロブランドであることをしっかりアピールする。
タンクを中心にしたMEGURO S1の存在感は、まさに純正カスタムモデルと呼べる美しさ。優雅に流れる景色を、ともに楽しみたくなるキャラクターといえる。
W230をベースにしつつ、専用の外装で往年のメグロブランドに仕立てたMEGURO S1。W230とMEGURO S1との価格差は7万7000円だが、リセールバリューやカスタム不要の存在感を考慮すれば安く感じることだろう。

主要諸元・メグロS1

全長:2,125mm
全幅:800mm
全高:1,090mm
シート高:740mm
乗車定員:2人
排気量:232cc
車両重量:143kg
エンジン:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
最高出力:13kW (18ps)/7,000rpm
最大トルク:18Nm(1.8kgf・m)/5,800rpm
トランスミッション:6速リターン式
フューエルタンク:11L
ブレーキ:前 ディスク、後 ディスク
タイヤサイズ:前 90/90-18M/C 51S、後 110/90-17M/C 60S

メーカー希望小売価格(消費税10%を含む):¥720,500

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