カワサキ車伝統のライムグリーンが刺激的なデュアルパーパスモデルのKLX230S（ローシート仕様・右）。スタンダード車高のKLX230もあり、どちらも車両価格は59万4000円となっている。17インチのオンロードタイヤ＆倒立フォークを装備するKLX230SM（左）の車両価格は61万6000円。クールなバトルグレーがスパルタンな印象だ。 約1年前からアナウンスされていたカワサキの新型KLX230/KLX230S/KLX230SMが、いよいよ発売される。基本となるのはデュアルパーパスモデルのKLX230で、従来モデルから全体的な進化を遂げている。
まず要となるエンジンは、低中回転域での力強さを増して乗りやすさを向上。フレームは新設計のリヤサブフレームで足つきと乗り心地を向上しつつ、サスペンションストロークを増して快適性と走破性を同時に高めることに成功した。アルミ製スイングアームの新採用で1.2kgもバネ下重量を軽減しているのも注目で、目立たない部分もしっかり熟成されているのがうかがえる。
もっとも進化が分かりやすいのは外装パーツで、LED仕様のヘッドライト＆ライトカバー、モトクロッサー「KX」シリーズからフィードバックされたタンク、シュラウド、サイドカバーへと続くエルゴノミクスデザインのボディワークで新型らしさをアピール。アルミ製のブラックホイールリムやツートーンのシートデザインも洗練された印象で、かなりブラッシュアップされたイメージだ。
シンプルなデュアルパーパスモデルなのでさほど電子装備は搭載していないが、前後のABSは低μ路面でも効果的な制動力を発揮するよう専用セッティングを実施。左ハンドルのスイッチでABSはオフにもできるので、本格的なオフロード走行も存分に楽しめる。
大型LCDディスプレイのメーターはBluetoothでスマートフォンと接続できるようになり、着信およびメールの通知機能を搭載。専用のスマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」を使用することでGPSルート情報を記録・閲覧できたりメンテナンス情報を管理するなど、バイクライフを満喫できる多くのインタラクティブな機能が楽しめる。
デュアルパーパスモデルのネックとなるのが、足つき性に直結するシート高の問題。いくら車体が軽量といっても、足が届かないという不安はライディングそのものをスポイルする要素だ。そこで用意されたのが、ローシートモデルのKLX230S。スタンダードモデルのKLX230が880mmのシート高なのに対し、KLX230Sは35mm低い845mmのシート高に設定される。
一般的にローシートモデルはサスペンションストロークを少なく設定して足つき性を向上させるが、KLX230Sの場合は新型になってホイールトラベルが大幅に増加しており、フロントは2022モデルが158mmのところ200mmにアップ。リヤは168mmから223mmに増えており、優れた走破性を獲得している。実際に乗車すれば新設計のリヤサブフレームの恩恵でシートウレタンの厚みが増しており、その沈み込みやシート形状の最適化で数値以上の足つき性が体感できるだろう。これまで足つき性の問題でデュアルパーパスモデルを敬遠していた人は、実際に跨ってから判断してみてほしい。
オフロード車の定番ホイールサイズは、フロント21インチ／リヤ18インチ。これを前後17インチのオンロードタイヤへ変更し、アスファルトの上をアグレッシブに走れるようモディファイしたモデルを通称「モタード」とか「スーパーモト」と呼ぶ。
KLX230シリーズにも、このモタード仕様のKLX230SMが用意されている。オンロードタイヤのグリップ力を活かすために足周りは最適化されており、高い剛性と優れたハンドリングを得るためにインナーチューブ径φ37mmの倒立フロントフォークを採用。フロントブレーキはローター径をφ300mmへ拡大し、高い制動能力を獲得する。
モタードらしいスパルタンなルックスにこだわっているのもポイントで、ダーク系の外装カラーだけでなく、エンジンやフレーム、サスペンション、ハンドル、ホイールリムなどをブラックで統一。フロントフェンダーもショートタイプで、低く構えたノーズが戦闘的なシルエットを演出しているのだ。
エンジンの基本性能はKLX230と同じで低中回転域から扱いやすく、街乗りに適した二次減速比によって軽快なライディングが可能。オンロードに割り切った用途なら、クールなライフスタイルにベストマッチする相棒といえる。
カワサキのモトクロッサー「KX」シリーズのイメージを踏襲するKLX230/KLX230S。ヘッドライトをはじめ細部のデザインがブラッシュアップされ、より洗練されたイメージだ。 17インチのオンロードタイヤを履くKLX230SMは、同じ形状の外装パーツでもダーク系カラーとなり、モタード仕様らしいクールな印象。フロントの倒立フォークが骨太なシルエットを演出する。 ローシート仕様のKLX230S（写真）でも、フロント200mm／リヤ223mmのホイールトラベルを確保。標準モデルのKLX230では、フロント240mm／リヤ250mmのホイールトラベルとなっている。 モトクロッサー「KX」シリーズから継承されたフラッシュサーフェスボディを採用。ライダーの動きを妨げず、オフロードライディングの自由度を高めている。 インナーチューブ径φ37mmの正立フロントフォークを採用。LED仕様のヘッドライトは上下2分割で、上段にロービーム、下段にハイビームをレイアウトする。 KLX230/KLX230Sのフロントタイヤは2.75-21というオフロード車の定番サイズ。アルミ製リムはブラック仕上げで、精悍な足元を演出する。 リヤタイヤもオフ車の定番サイズである4.10-18サイズを採用。新型アルミスイングアームは、従来のスチール製より1.2kgの軽量化を実現し、バネ下重量を軽減する。 ブレーキはフロントにデュアルピストンキャリパーとφ265mmディスク、リヤにはシングルピストンキャリパーとφ220mmディスクを採用。走行ステージに合わせ、ABSはキャンセルすることができる。 軽量コンパクトな空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒エンジンは、優れた重量バランスで車体コントロールに優れる設計。フラットなトルク特性は低中回転域から扱いやすく、一般道からオフロードまで乗りやすい。 メーターはKLX230シリーズ共通の見やすい大型LCDタイプ。Bluetoothでスマートフォンと接続し、着信通知や専用アプリとの連携ができる。表示はスピード、オド、ツイントリップ、燃料、時計など、実用性に優れた内容だ。 赤いABSオフのスイッチで、停車中に任意でABSの作動をキャンセルできる。ABSはエンジンを再始動すると自動復帰する設定だ。レバーはショートタイプを標準装備する。 新デザインのサイドカバーを採用。ボディワークと巧みに調和するツートーンカラーのシートと合わせ、競技モデル「KX」シリーズの躍動感を再現する。 新たなデザインのタンク、シュラウドから流れるようなボディラインを形成。KLX230にはローシート（1万1440円）、KLX230Sにはハイシート（1万1440円）が純正アクセサリー（シート生地はブラックのみ）にて用意される。 ボディカラーはモトクロッサー「KX」イメージをアピールするライムグリーンのほか、ローシートモデルのKLX230Sにはバトルグレーも用意される。 KLX230をベースに、前後17インチのオンロードタイヤとオンロード志向にセッティングされた前後サスペンションを装備するKLX230SM。高剛性でクイックなハンドリングを実現する倒立フロントフォーク＆強力なフロント大径ディスクブレーキで、モタードらしいスパルタンな走りが楽しめる。 エンジン、フレーム、ハンドル周り、サスベンション、前後ホイールのリム部分など、車体の主要部をブラックアウトすることでクールなスタイリングを追求している。 フロントにはインナーチューブ径φ37mmの倒立フロントフォークを採用。ホイールトラベルを188mmとし、前方へ低く構えたアグレッシブなライディングポジションを実現する。フロントフェンダーは17インチタイヤに合わせたショートタイプとなる。 フロントにはセミフローティングのφ300mmペタルディスクとデュアルピストンキャリパーを装備。オンロードタイヤのグリップ力を活かす、強力なストッピングパワーを備えている。 KLX230SMのスイングアームは、オンロードタイヤのグリップ力を受け止めるため、強度に優れるスチール製を採用。二次減速比は43/14で、17インチタイヤに最適化されている。 リヤブレーキはKLX230シリーズ共通で、φ220mmペタルディスクとシングルピストンキャリパーという設定。リヤブレーキのマスターシリンダーは、リザーバータンクが一体式となった軽量タイプで、従来モデルから約100g軽量化している。 KLX230と同性能の空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒エンジンを搭載するが、カラーはブラックで統一されてスパルタンな印象。ステップには乗り心地を向上させるため、ラバーパッドが装着される。 メーターはKLX230シリーズ共通の大型LCDディスプレイ。フルデジタル表示で視認性に優れ、Bluetoothにてスマートフォンとも連携できる。専用のスマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」は、GPS記録からライディングログを閲覧したりメンテナンス情報を管理するなど、多彩な機能が利用できる。 オフロード走行を想定しないKLX230SMには、ABSのキャンセルスイッチは装備されない。ハンドルがブラックアウトされているので、ライダー目線から見る景色もクールだ。 KLX230SMには、独自カラーのファントムブルーが用意される。戦闘機をイメージさせるダーク系のブルーは、スパルタンなキャラクターにピッタリだ。 アウトドアを意識したトレッキング系のKLX230 SHERPA（左）、誰もがオフロード走行を楽しめるデュアルパーパスモデルのKLX230（中央・写真はKLX230S）、前後17インチのオンロードタイヤでアグレッシブにストリートを走れるKLX230SM（右）のラインアップが完成！ 外観は似ているが、それぞれの個性で異なったバイクライフが味わえる。 全長：2,090mm（2,080mm）
主要諸元・KLX230SM
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