2017年に中国の重慶で設立された新興バイクメーカーKOVEは、ミドルクラスのオフロード車を中心に、開発から生産、販売までを一貫して行なっている。2021年には生産台数2万台を超え、300cc以上のオートバイの販売台数は中国国内で第4位となっている。すでに日本国内でも販売されている450ラリーは最高出力51.7psを発生する449ccのDOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載し、ダカールラリーにも出場している本格的なラリーレイドマシンだ。
KOVEはイタリアミラノで開催された国際モーターサイクル博覧会EICMA2024に出展し、新しい大排気量エンジンを搭載したオフロードモデル「800X RALLY」と、進化した450ラリーである「450 RALLY EX」を発表した。
800X RALLYはすでに欧州で販売されている800Xをベースに、ラリーレイドに求められる装備を装着したスペシャルモデルとなる。コンパクトなフレームにKOVEオリジナルの水冷4ストロークDOHC2気筒の799ccエンジンを搭載。最高出力は95psを発生し、最高速度は185km/hと発表されている。ベースの800Xでは最高速度210km/hなので、800X RALLYは低速に振ったギア比に変更されているようだ。800Xには搭載されているトラクションコントロールは非搭載となっている。2気筒エンジンを搭載しながらも、乾燥重量は165kgと軽量に仕上げている。
サスペンションは前後共にKYB製で、市販モデルとしては異例のサスペンションストロークとなる、フルアジャスタブルでストローク270mmのフロントフォーク、リヤにはストローク250mmのプリロードアジャスタブルタイプを装着する。最低地上高は293mmとなり、砂地やガレ場でもクリアしやすいクリアランスを確保。シート高は895mmと抑えられているので、ストリートでも乗りにくいということはない。
タイヤサイズはフロント90/90の21インチ、リヤは140/80の18インチを採用し、一般的なエンデューロタイヤを選択可能。フロントブレーキは800Xではダブルディスクだったが、軽量化とコントロール性を重視して800X RALLYではシングルに改められている。また、ステアリングダンパーも標準装備しているので、ガレ場での走行や高速航行時にも安定して走ることができる。
同時に発表された「450 RALLY EX」は、本格的なラリーレイドモデルとして好評の450 RALLYをベースに、このままでラリー、レースに参戦できるようにチューンアップしたモデル。すでにこの450 RALLY EXでダカール・ラリー2025へ参戦することが発表され、中国出身ライダーによるKOVEチームと、チェザーレ・ザケッティ選手とオッタヴィオ・ミッソーに選手によるKOVE ITALIAチームが出場することが決定している。また、日本のKOVE-JAPANのファクトリーチームによって、日本人ライダーと日本人スタッフによって2025年5月に開催されるタクラマカンラリーへの参戦も発表された。
800X RALLYの日本国内への導入は2025年春から夏頃を予定。450 RALLY EXの導入時期は未定。
800X RALLY Spec
- 全長×全幅×全長:2267×880×1436mm
- ホイールベース:1545mm
- 最低地上高:293mm
- シート高:895mm
- 車両重量:165kg(乾燥重量)
- 乗車定員:1名
- エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ2気筒
- 総排気量:799cc
- ボア×ストローク:88×65.7mm
- 最高出力:70kW(95ps)/9000rpm
- 最大トルク:80Nm/7500rpm
- 始動方式:セルフ
- 燃料タンク容量:19ℓ
- 変速機:6速リターン
- タイヤ:(F)90/90-21、(R)140/80-18 チューブ式
- 価格:未定