クルマに貼ってある謎の「ちょうちょマーク」の意味は?バイクにも付ける必要はある?

クルマに貼り付けるマークには、有名なものだと初心者マークがあるが、最近たまに見かけるものに、緑地に黄色の蝶(ちょう)が描かれたマーク、通称「ちょうちょマーク」もある。
これは、「聴覚障がい者標識」とか「聴覚障がい者マーク」と呼ばれるもので、聴覚に障がいを持つ人が4輪車の普通乗用車などを運転するときに貼っていないと違反となるというもの。では、バイクの場合はどうなるのか? 現在は、バイクの免許を取る際に聴力試験はなくなっているため、聴覚に障がいを持つ人もバイクに乗れる。だが、運転中にこのマークを付ける必要はあるのだろうか? 

REPORT●平塚直樹
PHOTO●写真AC、イラストAC
*写真・イラストはすべてイメージです

聴覚障がい者マークとは

聴覚障がい者マークは、2008年(平成20年)6月1日、道路交通法の一部を改正する法律が施行されたことにより導入されたものだ。

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聴覚障がい者マーク

改正の主な内容は、聴覚障がい者でも一定の条件をクリアすればクルマの運転をできるようにするというもの。ここでいう聴覚障がい者とは、補聴器を使っても10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえない人のこと。より具体的な一定の条件とは、車両の前後に聴覚障がい者マークを付けて表示することを義務付け。また、運転席から確認しにくい「死角」を写す特定後写鏡(ワイドミラーまたは補助ミラー)を装着することで、普通乗用車に限定した免許の取得を可能にするというものだった。

つまり、当初は、普通乗用車に限定で聴覚障がい者の運転を認めるというものだったが、その後、対象車両が拡大。バイクに関しては、2012年(平成24年)4月1日から、大型自動二輪,普通自動二輪,原動機付自転車について、運転免許証を取得する際の聴力試験が廃止。聴覚障がい者も運転免許を取得することができるようになっている。

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現在、大型自動二輪,普通自動二輪,原動機付自転車について、運転免許証を取得する際の聴力試験は廃止された

バイクに聴覚障がい者マークは必要?

前述の通り、聴覚障がい者マークをクルマに装着することは義務で、違反すると道路交通法違反となる。捕まると、

・反則金:大型車(準中型のみ)6000円、普通車4000円
・反則点数:1点

が科せられる。ただし、対象となるのは、普通乗用車や普通貨物自動車、または準中型車(車両総重量3.5トン以上7.5トン未満)だ。

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聴覚障がい者が普通乗用車などを運転する場合は、聴覚障がい者マークを車体前後に装着することは義務

では、バイクの場合はどうか。基本的に、大型自動二輪車,普通自動二輪車,原動機付自転車を運転するときには、聴覚障がい者マークと特定後写鏡のいずれも装着義務はない。つまり違反とはならないのだ。

ちなみに、現在、二輪免許の取得に聴覚検査はないが、視力検査はあり、以下の条件をクリアする必要があるので注意したい。

【原付免許の視力基準】
・両眼で0.5以上
・一眼が見えない人については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.5以上であること

【二輪免許の視力基準】
・視力が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること
・一眼の視力が0.3に満たない人、もしくは一眼が見えない人については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること

さらに、聴覚障がい者マークを付けた普通乗用車などに対し、バイクも含めたほかの車両が幅寄せや割り込みをすることは道路交通法違反となる。もし違反すると

・反則金:普通車6000円、二輪車6000円
・反則点数:1点

を科せられる。

クローバーマークは?

身体が不自由な人が運転する場合に装着するマークには、ほかにも、ブルーの地色に白いクローバーのマークが入った「身体障がい者標識(身体障がい者マーク)」もある。これは、普通自動車を運転することができる免許を受けた人で、肢体不自由であることを理由に当該免許に条件を付されている人が、車両に装着するマークだ。

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身体障がい者マーク

こちらも、対象車は普通乗用車で、聴覚障がい者マークと違い努力義務なので、表示しなくても罰則はない。当然、バイクは対象外となるが、気をつけたいのは、他の車両が幅寄せ・割り込みをした場合、聴覚障がい者マークと同様に違反となること。反則金や反則点数も同様になるので、十分に注意したい。

障がいを持つ人が運転するクルマはもちろん、初心者マークや高齢運転者マークを付けたクルマに対しても、幅寄せなど走行を妨害する運転は、交通違反である前にマナー的にもよろしくない。くれぐれも、見かけたら道を譲るくらいの優しい気持ちで接する余裕が欲しいものだ。

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障がいを持つ人が運転するクルマはもちろん、初心者マークや高齢運転者マークを付けたクルマに対しても、優しい運転を心掛けたい

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…