圧倒的存在感と革新の融合。ビモータ「TESI H2 TERA」が描く次世代バイクの頂点【大阪モーターサイクルショー2025】

革新の象徴“TESI”構造が進化し、TERAとなる

カワサキは「大阪モーターサイクルショー2025」で、傘下のブランドであるビモータのアドベンチャー「TESI H2 TERA」を出展した。

ビモータの代名詞ともいえるハブセンターステアリングを中心としたTESIシリーズが、新たなステージに進化した。それが「TESI H2 TERA」である。単なるフラッグシップモデルではなく、TESIというコンセプトを新時代に押し広げる、ブランドの象徴的存在。ステアリング構造を刷新し、従来モデルに比べて8度広い35度のステアリング角を実現したことで、旋回性能と街乗りでの操作性を両立。構造的な剛性と路面追従性の高さはそのままに、扱いやすさとレスポンスを大きく向上させている。従来からの特徴であるフロントの沈み込みを最小限に抑える構造により、ブレーキング時の安定感も群を抜いている。

カワサキ製H2スーパーチャージドエンジンがもたらす異次元のパフォーマンス

TESI H2 TERAの心臓部には、カワサキが誇るスーパーチャージドエンジンを搭載。排気量998ccの直列4気筒DOHC水冷エンジンは、最大出力147.1kW(200馬力)を11,000rpmで、最大トルク137Nmを8,500rpmで発生させる。このユニットはEuro5に適合しながらも、回転域全体で鋭いレスポンスを保ち、都市部からワインディング、サーキットまであらゆる状況において余裕のある加速を実現する。6速トランスミッションは高回転域での加速性能を活かすクロスレシオとなっており、アシスト&スリッパークラッチとKawasaki Quick Shifter(KQS)によって変速時の衝撃を抑え、スムーズかつ俊敏なシフト操作が可能となる。

アルミとカーボンによる構造美と軽量化の追求

フレーム構造はアルミ合金削り出しプレートとトラス構造を組み合わせたビモータ伝統のレイアウトを踏襲しつつ、随所にカーボンファイバーを導入。スイングアームもアルミ製で、軽量化と剛性バランスの最適化を実現している。乾燥重量は214kgとスーパーチャージドエンジン搭載モデルとしては驚異的な軽さを誇る。外装の造形美も秀逸で、空力と冷却を意識した流麗なラインは、性能を追求する中で必然的に生まれたデザインといえる。塗装は職人の手によって丁寧に施され、細部の仕上げからも工芸品のようなこだわりが感じられる。

ÖhlinsとBremboによる最先端サスペンションとブレーキシステム

前後サスペンションにはÖhlins TTX36ユニットを採用し、プリロードや伸び/圧の減衰を外部ノブで調整可能。リアは145mm、フロントは114mmのホイールトラベルを確保し、路面状況に応じた柔軟な設定が可能となっている。さらにオプションでセミアクティブサスペンションも選択できる。ブレーキにはBremboの最高峰Stylemaキャリパーと330mmフローティングディスクをフロントに、220mmシングルディスクをリアに装備し、KawasakiのインテリジェントABS(KIBS)によって制動力を最適化。急制動時でも安定した挙動を維持する。

最新電子制御がライダーをフルサポート

TESI H2 TERAは、カワサキの先進電子制御技術を数多く搭載。トラクションコントロール(KTRC)、ローンチコントロール(KLCM)、クルーズコントロール、Kawasaki Cornering Management Function(KCMF)などが統合され、あらゆる状況においてライダーの操作を的確にサポートする。インストルメントパネルにはフルカラーTFT液晶を採用し、モード切替や走行情報、セッティングの管理が直感的に行える。全照明にはLEDを採用し、視認性と省電力性を両立している。

芸術品の域に達したプレミアムモーターサイクル

TESI H2 TERAは、単なる高性能バイクというカテゴリーに収まらない。イタリアンデザインと職人技、最先端技術が融合したこの一台は、走る芸術品と呼ぶにふさわしい存在だ。すべての車体はリミニにあるビモータの本拠地で手作業により組み立てられ、唯一無二の存在感を放つ。機械的な精密さと人間的な温もりが共存するTESI H2 TERAは、量産にはないオーラと所有する悦びをもたらす。ビモータが提案する“Performance Crossover”という新ジャンルの核となる一台として、今後のバイク史に確実にその名を刻むだろう。

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