愛車を手放すときのバイク保険の解約方法は?  将来もう一度乗るなら「中断証明書」がお得!

売却や廃車などでバイクを手放すときは、契約している保険の解約も必要だ。バイクに関する保険には、基本的に自賠責保険と任意保険があるが、それら両方について手続きする必要があり、事前に流れや必要書類を把握しておくと手間取らずスムーズだ。
また、任意保険の場合、将来バイクにもう一度乗るつもりであれば、「中断」という制度を利用すると、再加入時の保険料を抑えられる可能性大! そこで、ここでは、バイク保険の解約方法や保険料が戻ってくるケース、知っているとお得な「中断」制度の概要などを紹介する。

REPORT●平塚直樹
PHOTO●写真AC

*写真はすべてイメージです

解約の手続きが必要なバイク保険とは?

バイクに関する保険には、すべての自動車(二輪・原付含む)について加入する義務のある「自賠責保険」、自賠責保険でカバーできない範囲を補償する任意加入の「任意保険」がある。バイクを手放す場合には、どちらも解約手続きが必要だ。

なお、解約手続きは、いずれも契約した保険会社で行うが、自賠責保険では、加入手続きをバイクの購入店などに依頼することも多い。そうしたケースでは、車両のオーナーが保険会社を知らないこともあるが、自賠責保険証明書に保険会社名が記載されているので確認して欲しい。

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自賠責保険は、自賠責保険証明書に記載されている保険会社で解約手続きを行う

バイク保険の解約はどうやる?

保険の解約は、自賠責保険と任意保険のそれぞれで手続きを行う必要がある。

自賠責保険

自賠責保険では、バイクショップなどが保険会社の代理店となっていることもあるが、解約手続きは代理店ではできないため、保険会社で直接行う。また、必要な書類は、保険会社によって異なるため、具体的には、保険会社に問い合わせる必要がある。参考までに、必要な書類の例を以下に紹介してみよう。

・自賠責保険(共済)証明書
・バイクを廃車したことを証明する書類(自動車検査証返納証明書や軽自動車届出済証返納証明書など)
・本人確認書類(運転免許証・健康保険証など)
・解約払戻金の振込先となる銀行口座番号

などなどだ。上記のうち、解約払戻金について詳細は後述するが、要するに解約によって返金される保険料の一部のことだ。

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自賠責保険の解約では、バイクを廃車したことを証明する書類が必要なケースもある

また、手続きのやり方も保険会社によって違うので、これも詳細は、契約している保険会社のWEBサイトや問合わせ窓口などで確認して欲しい。なお、最近は公式WEBサイト上で手続きできるほか、必要書類を撮影してスマホの専用アプリで行える会社もある。オンラインを使った手続きの簡略化は、今後も各社に拡大される可能性は大といえよう。

任意保険

一方、任意保険についても、解約する際の手続き方法や必要書類は、契約中の保険会社によって異なる。電話するだけでOKな会社から、WEBサイト上の受付フォームから必要事項を入力するケースなど、こちらも多種多様だ。

ちなみに、任意保険では、自賠責保険と異なり、保険代理店で解約手続きを行える場合もある。行きつけのバイクショップなどが保険代理店となっていれば、解約手続きもやってくれる場合もあるので、一度聞いてみるといいだろう。

保険料は戻らないこともある

自賠責保険と任意保険は、いずれも解約した日から満期日までの保険料について、返金を受けられる可能性がある。

自賠責保険

まず、自賠責保険。保険料は基本的に1か月単位で計算されるが、実際に支払う場合は、24か月分や36か月分など年単位の月額保険料を契約時に一括で支払うことも多い。そして、そういったケースでは、解約時点で保険期間が1か月以上残っていれば、保険会社から「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」を受けることができる。

解約返戻金(保険会社によっては「解約払戻金」)とは、保険契約を途中解約したときに保険会社から受け取れるお金のこと。前述の通り、自賠責保険は1か月単位での計算なので、未経過期間(解約日から満期日までの期間)が1か月を切っていると解約返戻金は派生しないので注意したい。

また、返金額は、居住地によっても違ってくる。本州・北海道本島・四国本島・九州本島の場合、沖縄本島の場合、本州離島・北海道離島・四国離島・九州離島の場合など、住んでいる地域で異なるほか、残っている契約期間によっても変動する。自分の返戻金がいくらになるか事前に知りたい場合は、契約している保険会社へ問合わせることをおすすめする。

任意保険

基本的に任意保険も、保険期間の初日から解約日までに経過した期間の保険料を差し引き、その残額を解約返戻金(または解約払戻金)として返還される。ただし、保険料の払込状況によっては、逆に追加で保険料を請求される場合もある。

また、返金額の算出方法が、保険会社によって異なることも同様だ。さらに、保険料の支払い方法が一括払いか分割払いかによっても変わってくるため、これも具体的には契約している保険会社に確認して欲しい。

等級は中断証明書で引き継ぎ可能

ほかにも、任意保険の場合は、等級に関して注意点もある。

等級とは、事故歴に応じて保険料の割引や割増を定める制度のこと。任意保険に初めて加入する場合、原則として6等級からスタートし、1年間無事故であれば1等級上がり7等級へ。また、逆に、事故を起こして保険金が支払われた場合、等級が下がる。等級が上がるほど割引率が高くなり、20等級で最大の割引率となる。

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任意保険の場合は、等級に関して注意点もある

こうした等級について、任意保険を途中解約してしまうと、将来的に再びバイクに乗る場合、任意保険は原則としてもう一度6等級からスタートとなってしまう。ただし、「中断」という制度を使うことで、解約前の等級を引き継げるという手がある。

これは、任意保険の解約時にあわせ、中断証明書の発行続きを行うことで可能となる。例えば、解約時点で15等級の人であれば、中断証明書を持っていれば最長10年間は15等級をキープできるのだ。

この制度を使えば、再度バイクに乗る場合、6等級からのスタートとならないため、保険料の割引率が大きくなり負担を抑えられる可能性も高い。なお、この制度は、バイクを手放す場合だけでなく、例えば転勤・留学などで海外に長期滞在するなどの理由で任意保険を解約する場合にも使うことが可能だ。

ともあれ、一旦はバイクに乗らなくなるが、10年以内にもう一度バイクに乗る可能性があるのであれば、念のため中断証明書を取っておくことも検討した方がいいだろう。

保険会社を切り替える場合も等級に注意

ほかにも、バイクは手放さないが、今加入している任意保険を途中解約し、保険会社を切り替える場合にも注意したい。こうしたケースでは、新しい契約時点から1年間同じ等級が引き継がれる場合もあるからだ。

例えば、2024年6月1日に契約を開始し、満期日が2025年6月1日となる任意保険の場合。もし、2025年3月1日に途中解約し、同日に別の保険会社の任意保険に加入すると、その人が、例えば、15等級だとして、1年間無事故で保険を使わなければ、通常は2025年6月1日に16等級に上がる。だが、途中解約して保険会社を切り替えると、新しい契約時点から1年間同じ等級(この場合15等級)が引き継がれることになる。

つまり、以前の契約を継続し、1年間無事故のままで2025年6月1日に契約を更新すれば、2026年6月1日まで16等級になるはずなのに、2025年3月1日から2026年3月1日まで15等級のままになってしまうということになる。そうしたケースでは、結果的に割引率も得にならず、保険料を損してしまう可能性もあるのだ。そのため、もし、保険会社を切り替えるような場合は、今契約している任意保険が満期日となるタイミングでやったほうがいいといえる。

このように、とくに任意保険では、解約する際の等級などにも十分に気をつけないと、思わぬ損を招くケースもあるので注意したい。

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…